HOT SHOT! book
月1ペースで読んでいる小説の読書感想文です。
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獣たちの庭園/ジェフリー・ディーヴァー
私の大好きなリンカーン・ライムシリーズとは全く違う歴史サスペンス。舞台は第二次世界大戦前のドイツだ。ディーヴァーと言えば「大どんでん返し」、このテイストは健在だ。ま、スパイものだけあって黒幕は想像通りだったりするんだけども。しかし黒幕捜し以外の部分でビックリする仕掛けも用意されていて最後まで飽きない。歴史上の人物がペラペラしゃべるので、歴史好きにもお薦めのサスペンスかも。
 ニューヨークの殺し屋、シューマンはアメリカ海軍にはめられてベルリンへ向かう事になる。目的はナチスのエルンスト大佐の殺害。現地工作員との接触を試みるが暗号が違っていたために逃走、射殺事件を起こして現地警察から追われる立場に。SSやSAの暴力が支配する街でシューマンは裏社会で暗躍するオットーと知り合う。オットーと共にエルンスト殺害計画を進めてゆくシューマン。しかし現地警察のコールの捜査は、着々とシューマンを追いつめて行く…という物語。目的は一つなのだが、そこに辿り着くまでには様々なドラマがある。様々な人間模様もある。まず中盤で意外な事実が明かされて、ラストでは思わず「おお!」と叫んでしまうような仕掛けもある。しかし物語の土台は割とありがちな設定だ。それがディーヴァーの手にかかるとこんな風に味付けされるんですよ、って感じかな。
  今まで知的ゲームがモチーフだったディーヴァー作品には珍しい正義感丸出しのヒーローが登場するが、やっぱりイマイチしっくり来ない感じだ。人物を巧く描き切れてないと言うか。まずニューヨークでの生活が良く分からないので、恋人と思われるマリオンとの関係もピンと来ない。NY生活はたまーに回想されるだけなんだけど、そこが曖昧なので彼が海軍に騙された悔しさとか虚しさが伝わらないのだ。彼という人間性が良く分からない分だけ、理解できない部分も多かったかな。
 彼が冷徹な殺し屋から正義感溢れるヒーローに変貌してゆく様を見守っていくようなお話。それも彼の性格がちゃんと理解できれてば面白いんだろうけど…微妙だったなぁ。もちろんナチスの人道に反する行為は見過ごす事の出来るものではないけど、それは誰もが思う事で設定が普通だ。 もしかしたら私に読み切れていない設定があるのかもしれないけど。やっぱ私はこういうアクション・サスペンスよりは知的サスペンスの方が好きだなぁ。全作品読まなきゃ!というディーヴァーファンならいいけど、敢えて読むまでもないといった出来ではないでしょうか。ライムシリーズの次作に期待しましょう。
獣たちの庭園 獣たちの庭園
ジェフリー・ディーヴァー (2005/09/02)
文藝春秋
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コフィン・ダンサー/ジェフリー・ディーヴァー
『ボーン・コレクター』に続くリンカーン・ライムのシリーズ第二作。ライムの手足となって現場を捜索する美人婦警のアメリア・サックスも健在だ。今回は殺し屋の逮捕が目的とあって、前作とは違って凄惨な殺人事件はあまり発生しない。その代わり、殺し屋を罠にかけて逮捕しようとするライムとその裏の裏をかこうとするダンサーの壮絶な知的ゲームがてんこ盛りである。先の一手を殺し屋が読む事を見越してライム達が罠を仕掛ける…しかしその罠を殺し屋が見破って、今度は逆に殺し屋がライム達に罠を仕掛ける…騙し騙されの攻防戦。そこまでよく考えつくよ!というトリックのオンパレードである。作者の脳みそに心から感服したわ。
  今作も、キーワードになるのは“科学捜査”。現場からアメリカが採取してくる小さな砂やゴム片などから犯人の正体と彼の次なる手を先読みしようというのである。しかしそんな事も殺し屋は百も承知で、わざと現場に関係のない微粒品を置いてきたりするのである。そして殺し屋は見事な程に現場に痕跡を残さない。頭脳と頭脳の闘い、裏をかくのはどっちだ?というスリルがものすごいスピード感で描かれている。飽きないし、早く次が読みたいという焦燥感にかられる物語。ディーヴァーの真骨頂である。
 前作みたいな猟奇殺人は起きないので血みどろミステリを期待すると肩すかしを食らうが、知的ミステリ度は格段にアップしている。そして毎度のお楽しみでもある大どんでん返しも、お約束。今作も言葉を操るミステリだが、その仕掛けや文章の組み立てが非常に巧みだ。『アクロイド殺し』を初めて読んだ時のような爽快感が味わえるのではないだろうか?ターゲットの呼び方など、細かい描写に注意していればその仕掛けは割と分かりやすいのではないかと思うけれども。
  確かに面白いミステリではあった。でも何かが物足りない…と思ってしまうのは何故だろう。あまりにもお互いが騙し合ってばかりいるので、ちょっと疲れてしまったのかな。サスペンスとミステリが融合した作品なんだけど、どっちも中途半端な感じがする感じかな…。まぁサスペンスとミステリの違いをどう捉えるかによって違うのかもしれないけれど。ハラハラドキドキする殺人事件が多発するようなサスペンスではないし、純粋な謎解きミステリでもない。でも根底に流れるのは「コフィン・ダンサーとは誰か?」という問題なので私はミステリだと思っていたのだが、本の帯には「ジェットコースター・サスペンス」って書いてあったよ…。まぁそこがディーヴァー作品の醍醐味でもある訳なんだけど。知的ミステリって意味では、『悪魔の涙』の方が面白かったかな。でもライムシリーズはまだまだ続く。とりあえずは次作『エンプティー・チェア』に期待しよう。私としては、ライムとサックスがあんな風になっちゃってちょっと残念な気はしてるんだけどね…。
コフィン・ダンサー〈上〉 コフィン・ダンサー〈上〉
ジェフリー ディーヴァー (2004/10)
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ジェフリー ディーヴァー (2004/10)
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青い虚空/ジェフリー・ディーヴァー
何故だか全然チェックしてなかったディーヴァーの文庫。『ボーン・コレクター』の作品紹介で既に発売されている事を知り、ちょっと悩んだのだがとりあえず読んでみる事に。何故悩んだかと言うと、ノーチェックだったって事は無名だって事で、つまりは駄作かもしれないという危惧があったから。ディーヴァーには『監禁』を読んでからというもの“無名な作品はヤバイの法則”っていうのを適用しているのでね。
 この作品が発表されたのは2001年だが、今だからこそ解るレベルの専門用語がビッシリ!いやもちろん明らかに解らない言葉もたくさん出てくるが、さりげなーく本文中で説明されてるし巻頭に用語解説もあるので安心だ。そうは言っても、インターネットの世界を全く知らない人にはチンプンカンプンの世界でしょうな。ある程度パソコンの知識がある人限定の物語である。
 相変わらず怪しい人がたくさん出てきて、ターゲットがコロコロ変わる設定。それにいちいち振り回されていると、今起こっている問題の根本が解らなくなってくるので要注意だ。ジレットは被害者のパソコンを隅から隅まで調べて、そのパソコンにクラックしてきた犯人の痕跡を捜す。犯人は全ての痕跡を消すためのプログラムを用意している。パソコンにクラックしては身分証などを偽造し、新たなルートを奪って警察を混乱させている間に違う犯罪を犯す…ジレットはその裏をかいて犯人のルートを探る…。まさにハッカー同士のデッドヒートが640ページにも渡って描かれているのだ。いやマジで、脳みそフル回転で疲れましたわ。
 最初は被害者のパソコンにクラックするくらいですんでいた犯人の所業も、しまいにはペンタゴンの指令までも書き換えてしまう程にエスカレート。いやぁここまで行っちゃうと…恐ろしくて気軽にインターネットなんて出来ませんよホント。そのテの人にとっては他人のクレジットカードの番号を盗むなんて、バカみたいに簡単な事なのだ。ネット通販を楽しんでいる私にとっては恐怖の物語。ノートン先生のファイアウォールは万全かしら?やっぱワイヤレスは危ないかしら?知ってる人から来る添付ファイルにウィルスが潜んでいる事だってある世の中、ネットライフは危険と隣り合わせだという事を再認識させられた。最後にじんとするハートウォーミグな設定も用意されているが、そんな事よりも自分の生活に忍び寄る恐怖の方が印象深い物語だった。作品的には…標準以下って感じかな。UNIX使いのディーヴァーファン以外は読まなくてもいい作品かもね。
青い虚空 青い虚空
ジェフリー ディーヴァー (2002/11)
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ボーン・コレクター/ジェフリー・ディーヴァー
待ちに待った『ボーン・コレクター』の文庫化!映画を観た時から是非とも原作を読みたいと思っていたのだ。しかしあれから2年以上…すっかり内容を忘れていました。もちろん犯人は誰かもすっかり。まぁお陰で新鮮な気持ちで読めたけど。相変わらず違う人を犯人だと思いこんでいたりしたけどもね。
 上下巻を一気に読めるジェットコースター・サスペンス。やっぱりディーヴァーは面白い!その捜査方法はパトリシア・コーンウェルの「検屍官シリーズ」なんかよりもめちゃくちゃ専門的で、知的好奇心が刺激されるぞ。しかしライムは科学捜査の専門家、元々持ってる知識の量が異常なのだ。そんな人フツーはいないだろうし、逆にそんな捜査方法をフツーと思われても困る。そこら辺を“いかにもフィクションな”お楽しみと思えれば良いのでは。
 映画を観た時は「なんでこれがR指定?」と思ったのだが、原作は確かにR指定かも。あまりに残虐な殺害の手口に、思わず寒気が走ったシーンもあったりして。生きながらにして埋められるとか生きながらにして蒸し焼きにされるとか生きながらにしてネズミに囓られるとか…。いやー自分が死ぬ時はポックリ逝きたいもんだと心から思わずにはおれないよ。
 最近のあとがきは本文よりも先に読む読者がいる事を考慮してネタバレしないように書くのが当たり前になっているが、この本のあとがきは要注意である。シリーズ第二作の『コフィン・ダンサー』に引き続き登場する人物名を挙げてしまっているのだ。て事は彼らは今作の犯人じゃないって事だね…。その中に一人怪しいと思っていた人物がいたのだが…。ま、映画を先に観ていて犯人を覚えていればどうでもいい話なんだけどね。映画版は登場人物が多少少なかったような気がするのだが、そこら辺の記憶も定かではない。ラストもちょっと違ったような気もするのだが、覚えてない。小説のラストはちょっとした仕掛けがあって、なかなか面白かったのだ。今回ばっかりは、自分の記憶力の無さにほとほとウンザリしましたよ。やっぱりもう一度映画を観て、この楽しい物語を映像で確認しよう。めちゃくちゃ美人だという設定のアメリアをアンジェリーナ・ジョリーが演じているのもイイ感じだしね。しかし『CINEMASCAPE』の映画批評は散々だったな、そんな駄作だったっけ??…めげずにDVDを借りてきますよ。ふー。
ボーン・コレクター〈上〉 ボーン・コレクター〈上〉
ジェフリー ディーヴァー (2003/05)
文藝春秋
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ジェフリー ディーヴァー (2003/05)
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