HOT SHOT! book
月1ペースで読んでいる小説の読書感想文です。
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緋色の記憶/トマス・H・クック
『夜の記憶』以来のクック。どちらにも“記憶”という題名がついているが、シリーズものという訳ではない。ただいづれも記憶に関係のあるストーリーである、という関係だけのようだ。原題を見ても全然繋がりはないようだし。あとがきによると、もともとクックは“過去”“記憶”という要素を追求してきた作家らしい。『夜の記憶』で見せてくれた見事などんでん返しを今回も期待してしまうわ。
 主人公のヘンリーはアメリカの小さな田舎町で学校を営む一家に生まれる。厳格な父と厳しい規則に縛られた生活。ごく普通の、当たり前の一生をその村で過ごすと思っていた彼の前に、美しい女性が教師としてやってきた事から事件は始まる。世界中を旅しながら暮らしてきたという彼女の話に、小さな村しか知らなかった彼らは夢中になる。そして、いつか世界に旅立つ事を夢見るようになるヘンリー。しかしそんな夢を見ていたのは、彼だけではなかった。それが悲劇の始まりになるのである。
 物語の中心にあるチャタム校事件は一体どんな悲惨な事件だったんだろうと、読み進むにつれ気になってくる。村全体を揺るがした大事件である、やっぱり村人全員殺戮!とか超猟奇的殺人事件!などのショッキングな事件を想像してしまう、ちょっと歪んだ感性の私。しかし事件そのものは大した(失礼!)事件ではなかった。恐ろしいのは、その事件の裏に隠されていた真実である。誰が誰に何をしたのか。その引き金は何だったのか。最後の数行で明かされる真相に、老弁護士ヘンリーの悲しさをひしひしと感じる。
 自分が知っている事は、真実ではないかもしれない。所詮他人の気持ちなど完全に理解できる訳がないのだ。それが分かるようになるまで、私は随分時間がかかったものだ。それを幼いヘンリーに求めるのは酷というものだろう。しかし『夜の記憶』に比べれば、そのショッキング度はイマイチだ。幼い頃には分からなかった人の気持ちが、年をとって、その村に暮らし続けたからこそ分かるようになったヘンリー。自分しか知らない真実を、誰にも言わずに墓場まで持っていく事ができるのだろうか。そんな事を考えてしまった。できればそんな秘密を持つような人生は送りたくない。だって私はおしゃべりなんだもん!
緋色の記憶 緋色の記憶
トマス・H. クック (1998/03)
文藝春秋
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