HOT SHOT! book
月1ペースで読んでいる小説の読書感想文です。
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夏草の記憶/トマス・H・クック
クックの記憶三部作のラスト。この作品が翻訳された時は『緋色の記憶』『死の記憶』と本書で三部作だったのだが、その後『夜の記憶』が発表されていているので四部作って事になるのかもしれないな。
 この本のお薦めは、ラストの解説。あとがきと解説ってのはこんな風に違うのか、と実感できる程すばらしい出来だった。彼の作品テーマについて、目の前で母親を殺された体験を持つというジェイムス・エルロイが引用されていた。エルロイと彼は一つ違いで、スティーヴン・キングはクックと同い年らしい。三人とも大好きな作家である、1948年生まれに縁を感じるわ。
 物語は現在と30年前、ベンがハイスクールの生徒だった頃の回想が交差しながら進んでいく。アラバマ州にあるチョクトーという小さな町に転校してきたケリー。ハイスクールで優等生だったベンは、彼女に恋するようになる。しっかし優等生ってのはプライド高くて恋には奥手で、読んでて本当にイライラした。本人は自分の気持ちがバレないようにしているつもりだけど、周りにはバレバレだ。そして彼は彼女に振り向いて欲しいがために、様々な妄想を始める。彼女が危機に陥った時に助けてあげれば自分を好きになってくれるかもしれない、とか考える男なんてイヤだよう。ついに彼は妄想極まるあまり、自分を好きになってくれないなら彼女なんか死んでしまえばいい、なんて事まで考え始める。お勉強しか能のない優等生は思い詰めると恐ろしいよ。やっぱ人生は何事もハーフ&ハーフでないとね。
 今回は、文章に騙された。ふと思い出されるシーンごとのセリフ、シチュエーション、全てに騙された。物事をこうだ!と思ってしまうと、全ての状況がそのように見えてしまうものだ。それって結構コワいなあと思う。そしてその辺を確信犯でやってるから、後で仕掛けが分かるとメチャクチャ悔しかったりして。そんな事する必要あるのかな、と思ったけど、だからこそベンの苦しみが際立ってくるのだ。相変わらずイヤらしい仕掛けしてくれるわ。「生あるものの芯に潜む悪意の源」、それは自分がかわいい人間にこそ身近に感じられるんじゃないかと思う。悪意なんて、持つだけ虚しいものだ。そう思える人間でありたいと私は思うよ。
夏草の記憶 夏草の記憶
トマス・H. クック (1999/09)
文藝春秋
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テーマ:本の紹介 - ジャンル:小説・文学

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