HOT SHOT! book
月1ペースで読んでいる小説の読書感想文です。
201710<<123456789101112131415161718192021222324252627282930>>201712
スポンサーサイト
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
蜘蛛の巣のなかへ/トマス・H・クック
わりと“救いようのない不幸”を題材にする事が多いクックだが、前作『闇に問いかける男』は希望が持てる終わり方で面白かった。今回のエンディングはどんな感じなんだろう?そしてそこに辿り着くまでにどんなギミックが隠されているんだろ?今回も胸がきゅんとするような切なさに溢れた作品なのかしら?とワクワクしながら読んだのだが…。うーん、私が読んだ彼の作品の中ではワースト1かな、ハッキリ言って全然面白くなかったです。
  テーマは「父と子の愛」なんだけど、主人公のロイが人間的に幼すぎて全く同感できないのだ。30歳過ぎても父を憎んでいたり昔の恋人との別れを引きずってプチ人間不信に陥っていたり。くだらない事で末期ガンの父と真剣に口喧嘩すんなよ…もうイイ年したオトナなんだから!と突っ込みたくなるシーンが満載。事件の裏に潜んでいる事実を何も知らずに勝手に町を出て友人も恋人も作らずに教師生活を送って、20年ぶりに故郷に戻ってきたと思ったら都会人ぶった振る舞いで父をイライラさせて…。ハァーと溜め息をつきたくなるほどコドモだ。なので最後に父と和解する結末にも、感動はあまりなかった。そんな幼い頃の感情のもつれなんか、とっくに自分で消化しておくもんだろう普通?って感じだよ。
  田舎町の保安官っていうのがどういう立場の人なのか良く分からないんだけど、物語に登場する保安官にはワルモノが多い。で、本作には登場する保安官とその手下は、揃ってワルモノである。しかし何で彼らが野放しになっているのか…。田舎町とはそういうもんなのか??生まれた町から一歩も出ないで人生を終えるという生活や、家族代々同じ場所に住んでいて住民は皆知り合い、みたいな所に住んだ事がないので、この閉鎖的な町が抱える問題っていうのもイマイチ理解できなかった。親子揃って保安官という一家が登場するのを見て「特定郵便局みたい…」と思ったのだが、あながち間違いじゃないのかもね。
 タイトルの「蜘蛛の巣」とは、家族との絆、土地のしがらみなど、ロイの故郷そのものの事である。蜘蛛の糸に絡まってしまったロイは、蜘蛛の巣の中心にいる人物を引きずり出そうとする。しかし巣の中心にいる蜘蛛は老獪なのだ。そう簡単には尻尾を出さない。結局彼は自分の手を汚す事なく面倒な人間を片づけてしまう。彼に操られていた弟の仇を取らなければ…!とロイが決意するまではまだいいが、その解決方法が単純過ぎ。もっと頭使って策略で彼を貶めてくれるのかと思ったら、最後は暴力かよ。一生懸命最後まで読んだのに、この結末には心底ガッカリした。本の帯に「9.11のワールドトレードセンター崩壊以後、クック作品は変わった」と書いてあったが、変わらなくていいですよ先生…。確かに9.11の事件は作風をも変えてしまう程の衝撃だったろうとは思うけれど、『夜の記憶』を読んだ時の感動はどこへやらって感じ。唯一、あんなに情けなくてダメダメだったロイがちょっぴり成長したのだけが救いだったかな。それも前述の通り元が悪すぎるだけなので、感動すべきポイントじゃないとは思うんだけどね…。クックファンも読む必要はないでしょう。感動を期待すると、エラい目に遭いますよ。
蜘蛛の巣のなかへ 蜘蛛の巣のなかへ
トマス・H・クック (2005/09/02)
文藝春秋
この商品の詳細を見る
スポンサーサイト

テーマ:本の紹介 - ジャンル:小説・文学

コメント
この記事へのコメント
コメントを投稿する

管理者にだけ表示を許可する
トラックバック
この記事のトラックバックURL
この記事へのトラックバック
copyright © 2004-2005 Powered By FC2ブログ allrights reserved.
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。