HOT SHOT! book
月1ペースで読んでいる小説の読書感想文です。
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うつくしい子ども/石田衣良
『池袋ウェストゲートパーク』以来、久しぶりの石田作品。テンポが良くて読みやすい文体は変わらず。著者初の長編だそうだが、275ページはかなり軽めの分量だ。素晴らしいあとがきにも書いてあったが、この物語は主人公による一人称と、新聞記者・山崎の動きを著した三人称を交えて書かれている。それがちょっと新しい感じで、違和感のある人もいるかもしれない。でも全編マコトの一人称だった『池袋…』よりは読みやすいのでは。 まぁ作品の出来は今ひとつと言った感であるけれども。
 被害者は9歳の少女。遺体に噛みついた痕がある。そして犯人は近所に住んでいた13歳の少年。とくればピンと来るのが1997年に起こった酒鬼薔薇聖斗事件だろう。 この作品が書かれたのは1999年、あとがきによるとこれは酒鬼薔薇事件を別の観点からとらえようと筆者が意図的に執筆した作品なのだそうだ。それにしてもね…あの結末はどうなんでしょう。もちろんこれはノンフィクションではない。しかしラストがああでは、読者が作者の意図を 読みとるのは難しいと思うよ?単にあの有名な事件をパクって小説書きました、といった感じの仕上がり。もうちょっと真実に近い形で家族の苦しみや主人公の成長を描く事も出来たのでは。
 猟奇的な事件が起こった時、犯人や被害者を追ったドキュメンタリーものが出版される事は多い。好奇心旺盛な人たちがそれを買い求め、ベストセラーになったりする。しかし身近に犯人がいた、という人たちの心境はどんなものか。家族が犯人だった場合、遺されたものはどのような対応をしたら良いのだろう。そして犯人が顔見知りだった場合、犯人やその家族を温かい目で見る事が出来るだろうか? 自分の恋人の弟が殺人犯だったとしても、本当にわだかまりなく彼と結婚する事が出来るのだろうか? 例え犯人が成人であっても、その罪は家族に大きな影を残す。理不尽だと思いながらも、彼らを敬遠してしまう人たちの気持ちも、分からないではないのだ。
 この作品を読んだ後、ネットで酒鬼薔薇事件を調べてみた。 主に当時の新聞記事を読んでいたのだが、中には犯人の顔写真を掲載している 個人サイトもあった。悪趣味である。しかしそれを見たいと思っている人がいるから、そのようなサイトがあるのだろう。事実、私も思わず見てしまった訳だし。犯人の顔が分かったからと言って、どうという事はないのだ。ただのヤジ馬根性である。「殺人の動機を知っても意味がない」という森作品の根本が、何となく分かったような気がした。
うつくしい子ども うつくしい子ども
石田 衣良 (2001/12)
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