HOT SHOT! book
月1ペースで読んでいる小説の読書感想文です。
201708<<123456789101112131415161718192021222324252627282930>>201710
スポンサーサイト
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
オデッサ・ファイル/フレデリック・フォーサイス
以前この本を読んだ頃、私はドイツにかぶれていた。ドイツが好きで好きで、いづれは絶対ドイツに住むんだと密かにドイツ語の勉強なんかもしていた。しかし『アンネの日記』には、かなりへこたれた。ナチスが行った非道で身勝手な政策の数々。しかしそんな時代の中で、国防軍として本当に国のためにと戦った人たちもいたのだ。そんな人たちにSSはどんな事をしたのか?老人の日記には、彼らが同志に対して行った行為も書かれていた。そんな彼らを救う組織が世界で暗躍している、という事実に基づいて書かれたのが本書である。この本を読み終えた時、どこにぶつけたらいいのか判らないような虚しい怒りを感じてしまった。
 物語はエジプトのロケット計画と、ミラーのロシュマン追跡劇とが平行して進んでいく。エジプトのロケット計画に深く関わっているナチス残党と、ロケット開発を阻もうとするイスラエルの組織。それらがオデッサという組織に繋がり、ひいてはミラーが発見した日記によって追われる事となるロシュマンに関わってゆく事になるのだ。事実とフィクションが渾然一体となって進んでいくフォーサイスならではのスリリングな展開。当時の世界情勢とそれぞれの力関係が分かっていた方がより楽しめるが、私のように知識ゼロの状態で読んでもそのスケールの大きさと素晴らしい着眼点に圧倒される。ストーリー上それはちょっと無理があるんじゃあ…と思われるような設定も、気にならないくらいだ。
 その無理めな設定も、なぜミラーがロシュマンを執拗に追跡するのかが分かると納得できる。あまりに狂人じみたミラーの行動に一時は引いてしまったが、理由がわかればキレイにまとまるというものだ。ちょっと皮肉な終わり方もイイ。そしてナチスという負の遺産を背負った次の世代のドイツ人の苦悩は、日本人である私たちにも通じるものがあって心が痛い。
 フォーサイスの作品が気持ちイイのは、全てがハッピーエンドではないところだ。ハリウッド映画のように何もかも丸く収まって善が勝つ、なんて現実ではあり得ない。諦めに近い絶望感と、それでも悪は裁かれるのだという期待感をうまく織り交ぜた終わり方に余韻が残る。善を悪が追っていくという追跡劇にハラハラしながら一気に読める社会派小説。フォーサイス作品に出てくるヨーロッパの名車たちをネットなどで追跡してみるのも面白い。
オデッサ・ファイル オデッサ・ファイル
篠原 慎、フレデリック・フォーサイス 他 (1980/05)
角川書店
この商品の詳細を見る
スポンサーサイト

テーマ:本の紹介 - ジャンル:小説・文学

コメント
この記事へのコメント
コメントを投稿する

管理者にだけ表示を許可する
トラックバック
この記事のトラックバックURL
この記事へのトラックバック
copyright © 2004-2005 Powered By FC2ブログ allrights reserved.
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。