HOT SHOT! book
月1ペースで読んでいる小説の読書感想文です。
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心の砕ける音/トマス・H・クック
「このミステリーがすごい」と「週刊文春ミステリーベスト10」の常連であるトマス・H・クックの新作。この作品はクックの代表作である記憶シリーズの次に発表された作品で、2001年度の「このミス」では5位にランクイン。記憶シリーズに比べると胸が痛くなるような切ない物語ではなくなっているが、よりミステリっぽい設定になっている。ファンとしては記憶シリーズの方がショッキングで良かったが、こちらも謎が謎を呼ぶ展開でなかなか良い。キャラ設定や舞台設定に惑わされない、クックは本当にストーリーテラーだなぁと感心させられる。
 とは言え、物語の設定は大変わかりやすい。どこか影のある美女に惹かれていく弟、それをどこか心配しながら見守る兄は彼女の過去を知る事になり…あとは、言わずもがなって感じ。問題は、彼女は一体何者なのかって事と、弟を殺したのは本当に彼女だったのかって事である。彼女の正体は物語が進むに連れ想像がつくのだが、それがちょっと意外な結果だったのだ。大半の読者は騙されたんじゃないかと思う。弟の死に関しては、結末を知ると案外あっさりって感じ。しかしやり場のない辛さ切なさっていうテーマは、相変わらずクックの十八番のようである。
 そしてラストもねぇ…。あれじゃあオトナすぎてちょっと納得できない。つい最近読んだ短編に双子の兄弟を好きになってしまう女性の話があったが、兄弟だろうと双子だろうと、所詮は違う人間なのである。どっちも好きなんてあり得ないし、どのような結論を出したって誰かは傷つくのだ。だったら傷つく人間が少ない方がいいのではないかと私は思ってしまうのだが。人を好きになる気持ちなんて、そんな簡単に制御できるものではない。どっちも選べなかったんだったら、どっちもそんなに好きじゃなかったんじゃないの?この恋愛物語に夢中になれなかったのは、ドーラのキャラクター設定のせいかもしれないな。好きになってはいけない人を好きになってしまってどうしよう~みたいなジレンマとは無縁な女性だったし、ドーラって。
 男性の視点から見た恋愛模様がメインなので、男性が読んだら共感できるところもあるのかもしれない。私は女性キャラに魅力がなかったのでイマイチ入り込めなかったけど。どちらかと言うと兄のキャルが地方検察官なんて固い仕事に就きながら恋人もつくらず、唯一の楽しみは毎週の売春宿通いっていう設定の方が面白かったよ。エリートサラリーマンって、どっか歪んだところがある場合が多いからねぇ。イイ年したオトナが“初めての恋”におろおろして自分を見失っていく物語。一言言わせてもらうなら、「若いうちに飽きるほど恋愛しとけ!」って感じかな。
心の砕ける音 心の砕ける音
トマス・H. クック (2001/09)
文藝春秋
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