HOT SHOT! book
月1ペースで読んでいる小説の読書感想文です。
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天使の囀り/貴志祐介
 『十三番目の人格-ISOLA』以来、久しぶりの貴志祐介。何となく軽い日本の小説を読みたいな、と本屋を物色している時に見つけたのが本書だ。ずっと読みたいと思っていたのに、何となく機会を逸していたので迷わず購入。初版は平成12年12月だから、1年半も前に文庫化されていたのだが、ずっと前に読んだ『クリムゾンの迷宮』よりも前に書かれた作品だとは思わなかったなぁ。はっきり言って『クリムゾン…』よりも断然面白かった!これぞ日本のホラー!って感じで、大満足の一冊だ。
 まず物語は、高梨が早苗に送ったメールの文章から始まる。これが結構新鮮。メールで近況を報告しながら、状況を読者にも説明しているのだ。ここでの登場人物が後に重大な意味を持ってくるのだが、高梨の視線から彼らの様子が描かれているので公平感がある。ま、一週間に一回くらいのメール交換とは言え、こんなに長いメールを受け取っても読むの大変だけどねぇ。
 物語は早苗と、信一という男性の二人の周りに起こった出来事が同時進行で進んでいく。信一は美少女ゲームにハマっているフリーター。彼がネットでとあるサイトのチャットに参加した事から、自己啓発セミナーに引きずり込まれていく。早苗は高梨が自殺した事を機に、新聞記者や学者と協力しながらアマゾン調査隊のメンバーの自殺事件を追うのだ。それが最終的にどう結びついていくのか…。ここら辺の描写は、かなり怖かった。『黒い家』とは違う、生々しくてグロテスクなシーン。私は、心理的な恐怖よりもこういうドロドロのが好みだけど♪
 しかし自殺者の身元を調べていくシーンや、学者が高梨に面影が似ているという設定がちょっとあざとかったかなって感じ。肝心のモノの正体が解明されるのを読者は心待ちにしているのに、回り道が多すぎてイライラするのだ。しかも科学系の専門用語が多くて説明的。まぁそんな事も気にならない程、プロットがしっかりしていて面白い話だったからいいけどさ。本書の解説もお薦めの一つ。何と『リング』の瀬名秀明が楽しい解説を寄せてくれているのだ、一粒で二倍おいしいって感じ。本書は絶対に損はさせません!「こんな話ある訳ないじゃん」と思わずに、良質のエンタテイメント小説を右脳で楽しめば良いのではないでしょうか。
天使の囀り 天使の囀り
貴志 祐介 (2000/12)
角川書店
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