HOT SHOT! book
月1ペースで読んでいる小説の読書感想文です。
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●犬神家の一族 ●夜歩く ●蝶々殺人事件/横溝正史
あまりにも有名な『犬神家の一族』は、丁度読み終わった頃にテレビで石坂浩二版の映画を再放送していたので、そっちも併せて観たりして。島田陽子が美しくてビックリしたなぁ。これは『獄門島』と『悪魔の手鞠唄』を合わせた様なプロット。莫大な遺産を引き継ぐ、というあたりは『女王蜂』にも似ている。ドロドロとした血縁関係と愛憎劇というテイストもお約束、これこそが横溝ワールドの集大成なのかもしれない。あまりにも偶然が重なりすぎる設定なので、私はそんなに好きな作品ではないのだけれど。
 『夜歩く』は、「顔のない死体」モノ。『本陣殺人事件』に収録されている『黒猫亭事件』と同じテーマを扱った作品だ。テーマは同じだが、より濃密な設定になっていて奥が深い。テーマ以外にも、探偵小説のとある手法が使われていてオモシロイ。あまり世に知られていない作品だが、それはやはり設定に問題があったのだろうなぁ…。当時は差別に対して寛容だったのかもしれないが、「せむしのくせに!」はどう考えてもヤバいでしょ。犯人がバレる過程の詰めがイマイチ甘かったかな、という感はあるが私は結構好きな作品である。
 『蝶々殺人事件』は、金田一耕助が登場しない物語。由利先生シリーズの三作が収録されている。物語の記録者である新聞記者の三津木と私立探偵をやっている由利先生のペアが事件を解決してゆくという、ホームズとワトスンのような設定。だが、新聞記者が警察に入り込んで情報もらってくっていうのはどうもリアリティに欠ける。それとも昔はそういう状況もアリだったのだろうか?でも表題にもなっている『蝶々殺人事件』は最後にちょっとしたオチがあってイイ感じだ。今後この二人のペアが活躍する作品はあるのか、期待しながら横溝三昧しようかな。
 血縁と財産ネタはもう尽きたのか、『蝶々…』では濃密な男女関係というテーマが取り上げられている。理性が押さえきれない程、誰かを狂おしく想う心。それがどんなに歪んだ愛情であっても、どこかでそれを受け入れてしまう女性が描かれている。男女の愛情というテーマはいつの時代も変わらずにあるのだけれど、昔の男性の視点から描かれた世界はかなり強引で淫靡だ。愛した女を連れ去って船に三ヶ月も監禁した挙げ句、女の背中一面に蜘蛛の入れ墨を入れてしまう男。実兄から求愛され、殺人を企む女。今となっては変態猟奇事件としか扱われないような設定が、切なく思えてしまうのは時代のせいだろうか?いや、やっぱりそこが横溝ワールドなんだろう。今ほど女性が強くなかった時代に、不条理な愛から必死ですり抜けようとする彼女たちが痛々しかったりもするのだ。今後はそんなに有名じゃない作品が続く横溝三昧。そんな中に、キラリと光るお気に入りの一作が見つかったりすると、より嬉しい気持ちになるよね。
犬神家の一族 犬神家の一族
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夜歩く 夜歩く
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蝶々殺人事件 蝶々殺人事件
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