HOT SHOT! book
月1ペースで読んでいる小説の読書感想文です。
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●幽霊座 ●幽霊男/横溝正史
『幽霊座』は金田一シリーズの短編集。表題作の他『鴉』『トランプ台上の首』が収録されている。『幽霊座』は歌舞伎のお話。さりげなくエラリィ・クイーンを引用しているが、要するに大がかりなトリックものってヤツだ。複雑な人間関係は相変わらず、短い中にいろいろ詰め込んであるので読み応え充分の短編である。『鴉』は密室もの。密室から姿を消した夫、三年後再び繰り返される悲劇…とネタは面白そうなのだが、トリックや動機などに多少不満が残る。あの短さで横溝ワールドを語るのは、無理があるんじゃないかなぁといった感じだ。
 『トランプ台上の首』は題名通り、首を切り取られた死体を巡る物語。発見されたのが“首のない死体”ではなく“胴体のない死体”という所がミソだ。首だけが発見される、というシーンもショッキングで良い。しかしなぁ…トリックは今ひとつといった感じ。これじゃあ土曜ワイド劇場だよ…。「何故胴体を隠したかったのか?」と一生懸命考えちゃった私がバカみたいじゃん!種明かしまでのストーリーが面白かっただけに肩すかし食らった感じ~。まぁ中にはこういう作品もあるという事で。
 『幽霊男』は、死体を芸術的に演出する男の物語。ヌードクラブに所属するモデルたちが次々と猟奇的に殺されていく。ひとクセもふたクセもあるヌードクラブの会員たち、そして“幽霊男”と名乗る怪しい客。ノーマルではない男達が巻き起こす悪趣味な殺人事件である。そのアブノーマルさが当時は新鮮だったのかもしれないが、トリックや真犯人の正体などは結構強引。特に最初の被害者の弟である浩吉クン、君の行動はかなり突飛で強引だぞ。殺人現場を芸術的に演出するという目的以外には、あまり美しさを感じない物語。吸血癖のあるエキセントリックな画家、美しい謎のマダムなど、横溝ストーリーを構築する登場人物は揃ってるんだけどね。惜しいお話である。
 横溝三昧も終盤に入るとそれなりに駄作もあるものだなぁと思うが、まぁ人気作家ならそれも仕方ないかと思うし。赤川次郎だって、全てが傑作って訳じゃないでしょう、きっと。私は読んだ事ないので分からないけれど。しかし横溝正史は「男装した女性」が好きだなぁ~。当時は新しいギミックだったのかもしれないけど、デタラメさ加減という意味では結構スレスレの線だと思うぞ。しかしそれも戦後のドタバタを表す一つのキーワードなのかもしれない。今ほど全てが自由じゃなかった世界、そんな日本を実際に生きた作者の言葉は、歴史物とは違うリアリティに溢れているのだ。
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