HOT SHOT! book
月1ペースで読んでいる小説の読書感想文です。
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クロスファイア/宮部みゆき
宮部みゆき初期の代表作がやっと文庫化された。ずっと気になっていた作品であるのだが、超能力モノはちょっとなぁ…。彼女の超能力モノの中で『魔術はささやく』は結構好きな作品なのだが、『龍は眠る』はあらすじ読んだだけで買う気になれなかったもんね。これも本屋でウンウン悩んだ挙げ句、とりあえず上巻だけ買ってみた。思っていたよりも面白かったので結局下巻も買ったのだが、下巻からの展開はどーなの?って感じ。やっぱり私は超能力モノはダメなのかも!
 最初は、超能力を持ってしまった人間の苦しみや悲しみ、みたいなものが人間くさくて良いなと思った。しかし相変わらず宮部作品の主人公たちは“やりすぎクン”である。アンタそこまでやらなくても…という派手な描写が続く。と、リアリティがなくなってくるのよね~。特に題材が超能力なのだから、“何でもアリ”である。それでもイヤがらずに読んでいたのは、淳子の根底にある悲しみに同情しちゃったから。でも、下巻に入ると展開はますます“あっちの方向”へ。う~む、これが映画化までされるような物語なのか?『魔術はささやく』の方がミステリしててイイと思うんだけどなぁ。
 超能力を殺人の手口に使う淳子と、事件を追う刑事の話が交錯しながら物語は進む。そこら辺がミステリ仕立てではあるのだが、純粋なミステリ小説としてはあまり出来がよろしくない。特に倉田かおりという新たな念力放火能力を持つ少女が出てきたあたりから、ぐちゃぐちゃな展開になってくる。淳子、石津、倉田と、物語のキーマンがゾロゾロ出てきて収拾がつかなくなってる感があるのだ。やっぱりガーディアンという組織は、いけなかったね…。思想は理解できるけど、警察に圧力かける程の力を持ったアンダーグラウンドな組織ってあたりがイカン。アメリカが舞台の物語なら「そんなのもあるかもね~」って感じですませられたかもしれないけれど。
 終盤は、淳子のラブストーリーと化している。ラストはハッキリ言ってチープなのだが、相手の男の子が好みだったのでまぁ良しとするか。彼女の作品には珍しい、クールで上品な金持ちの20代男性。いかにもなキャラなので、あざとさを感じてちょっぴり不快ではあるが。作者が現代社会に対して言いたい事を全て詰め込んじゃいました!みたいな出来の作品。お陰で物語の軸がズレてしまい、結局何が言いたかったのかよく分からない結果となってしまっている。彼女が言いたい事はよーく理解できるんだけどね、物語としてそれを読まされるのはどうかなぁと。扱うテーマを2つくらいに絞っていれば、かなりイイ出来の作品だったのではないでしょうか。スティーブン・キングの『ファイアスターター』へのオマージュとも言える作品。でも天才・キングが書く物語と比べちゃあ、可哀想だよね。
クロスファイア(上) クロスファイア(上)
宮部 みゆき (2002/09/10)
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クロスファイア(下) クロスファイア(下)
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