HOT SHOT! book
月1ペースで読んでいる小説の読書感想文です。
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シャーロック・ホームズの思い出/コナン・ドイル
『シャーロック・ホームズの冒険』に続いて発表された短編集。最後に収録されている『最後の事件』でホームズを行方不明にし、ホームズ物語に終止符を打った事で有名な作品集だ。しかしその後の読者からの反響に答え、8年後に発行された『バスカヴィル家の犬』でホームズは復活する。ホームズが何故生き返ったか、は『シャーロック・ホームズの帰還』に収録されている『空き家事件』で明らかにされるが、一瞬でもホームズがこの世を去る事になるこの短編集は、ホームズ物語の中で最も印象に残る作品と言っても良いだろう。
 本書に収録されている作品の中で注目すべきは『グロリア・スコット号』と『マスグレーヴ家の儀式』である。『グロリア…』はホームズが初めて探偵の仕事をした事件、『マスグレーヴ…』は探偵という職業について初めて扱った事件なのだ。『グロリア…』は学生時代に、同級生の父の死の真相を明らかにした事をホームズ自身が語るという物語。『マスグレーヴ…』はかつての同級生からの依頼で、彼の家に代々伝わる言い伝えの謎を解いた物語。『マスグレーブ…』の冒頭ではホームズが部屋の中で銃を撃ち、壁に弾痕でV.Rという文字を作ったというエピソードが紹介されている。このエピソードはファンの間でも有名で、ホームズの部屋を再現した博物館の壁にもV.Rの文字が描かれているらしい。この2作は、そういう意味でもファンの間では人気の高い作品なのだと言う。
 『白銀号事件』は失踪したサラブレッドにまつわる物語。『黄いろい顔』は妻の怪しげな行動の謎を解いて欲しいと依頼される物語。この二つは設定や結末がずさんで、あまり良く出来た作品ではない印象だ。『株式仲買店員』は『シャーロック・ホームズの冒険』に収録されている『赤髪組合』と似たような設定で奇抜なアイディアが面白い作品。『背の曲がった男』は現場に残された不思議な足跡から、誤認逮捕されている容疑者を救う。『入院患者』は開業医の出資者を巡る因縁の物語。『ギリシャ語通訳』は不思議な屋敷でギリシャ語の通訳をした男が事件に巻き込まれて行く物語。『海軍条約文書事件』はワトスンの幼なじみが機密文書を盗まれる事件。これは言葉の問題から違う人間が疑われるのがちょっと面白い。『最後の事件』はその名の通り、ホームズの最後を描いた物語。ラストの手紙がかなりグッとくる。彼が生き返ると知っていなかったら、かなりショックだっただろう。当時の読者の心情が偲ばれるなぁ。
 子供の頃読んで印象に残っていたのは『白銀号事件』の料理と『ギリシャ語通訳』のちょっとした仕掛けの話。『白銀号事件』では夕食にアヘンを混ぜて当直を眠らせる、というエピソードがあるのだが、その時の料理がマトンのカレー料理だった。私はこれを読んでマトンが羊だと言う事、マトンは匂いのある肉だと言う事、そしてアヘンには匂いがあるという事を初めて知った。そして『ギリシャ語通訳』では通訳をしている最中にこっそりと質問文を混ぜて、ギリシャ人から状況を聞き出すという設定に唸らされたのだった。今となって読んでみると、ギリシャ人は筆談だったというからちょっと無理がある設定だったかな、と思ったりもするけれど。そして忘れてならないのは『最後の事件』に登場するモリアーティ教授。彼はホームズの仇敵として有名だが、映画『ヤング・シャーロック ピラミッドの謎』のオチにも使われているのだ。スタッフロールの後に用意された短い映像を観た時の感動と言ったら!この粋な演出も、数あるホームズの思い出の中でも忘れられないエピソードの一つである。
シャーロック・ホームズの思い出 シャーロック・ホームズの思い出
延原 謙、コナン・ドイル 他 (1953/03)
新潮社
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