HOT SHOT! book
月1ペースで読んでいる小説の読書感想文です。
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シャーロック・ホームズの帰還/コナン・ドイル
『シャーロック・ホームズの思い出』の『最後の事件』で滝壺に落ちて行方不明になってしまったホームズが復活した『空家の冒険』を収録した短編集。原書では13作品が収録されていたが、本書からは3篇が割愛されて『叡智』に収録されている。何故この本が13などという縁起の悪い数になっているか、が解説で説明されているのだがこれがなかなか面白い。当時の読者の熱烈ぶりは恐ろしいものがあるが、その気持ちはよーく分かるよ。今読んでも充分面白いもんね。
 『空家の冒険』は復活したホームズが自分の命をつけ狙う悪党を捕まえる話だが、そんな事よりも読者にとっては“なぜ滝壺から助かったのか”という説明の方が大いに気になるところである。これについてはちょっと面白い話があって。大槻ケンヂが『わたくしだから』という本の中で滝壺に落ちる前にホームズが使った技について説明しているというので読んでみた。確かに本書でホームズは「僕は日本のジュウジュツを知っていたので…」と語っているが、何も柔術をカタカナ表記しなくても良いだろう、と私も思っていたのだ。そしたらやはりそこには深い謎が隠されていたのだった!ジュウジュツは原書では「BARITSU」と書いてあるらしい。バリツとは何か?何故カタカナでジュウジュツと訳されているのか?その辺はあまりに長い説明になるので前述の本を参照という事で割愛。興味のある方は面白いので是非読んでみてください。
 『踊る人形』は暗号解読モノとしてあまりに有名な作品。『美しき自転車乗り』は遺産相続騒動に巻き込まれた女性が体験した恐怖の物語。『プライオリ学校』『第二の汚点』は意外な犯人にビックリする物語。『黒ピーター』『アベ農園』は同情されない被害者が登場する物語。『犯人は二人』はこれまでとは逆の立場で世の悪を成敗するのが楽しい物語。『六つのナポレオン』『金縁の鼻眼鏡』は意外なトリックが有名な作品だ。私は『第二の汚点』が一番好きかな、ラストのホームズの台詞が最高にカッコイイのだ。やはり男はスマートでスノッブでストイックでなければね♪
 今までの短編集と比べると多少質の落ちる作品が多いような気もするが、『空家の冒険』はシャーロキアンには欠かせない物語なので必読だ。しかしいづれも「物事を相対的に見て現状を科学的に検証する」というお手本が満載な物語ばかり。こんな風に世の中を見ていたら、不思議な出来事などこの世にはないと思える事だろう。『プライオリ学校』の推理には齟齬があり、それをドイル本人も知っていたと解説には書いてあったが、物事を相対的に見ていればそれも誤差の一つに過ぎないと言える気もする。そんな事が気にならないくらい、ホームズの観察力と解析の速さには驚くばかりでウットリだ。しかし本当にスゴいのは、そんなキャラクターを生み出したドイル本人だよね。ホームズに傾倒すればする程、ドイルの才能に感服している私なのであった。
シャーロック・ホームズの帰還 シャーロック・ホームズの帰還
延原 謙、コナン・ドイル 他 (1953/04)
新潮社
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