HOT SHOT! book
月1ペースで読んでいる小説の読書感想文です。
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恐怖の谷/コナン・ドイル
ドイルが最後に書いたホームズ物語の長編。以降は全て短編になる。これも『緋色の研究』『四つの署名』同様、一部を現在の事件、二部を事件の発端となる時代の話をする形をとっている。ホームズの長編で、二部形式をとっていないのは『バスカヴィル家の犬』だけなのだそうだ。しかし本作は第二部がかなり面白い!他の長編の第二部は時代考証や舞台設定がゴタコタしていて飽きてしまう場面もあったのだが、この作品は第二部だけでも独立したミステリになっているのだ。もしかしたら代表作である『バスカヴィル…』よりも面白いかもしれない。
 物語は、モリアティ教授の動向を探っている情報屋から受け取った暗号の手紙を解読するシーンから始まる。これが冒頭からいきなり楽しいのだ。今まではあまり見る事のなかった“調子のいい”ワトスンとのやりとりが絶妙で面白い。数字とアルファベットからなる暗号を即座に“何かの本のページ数を表している”と判断するのがどうもスッキリしないが、暗号についての論文を書いた事のあるホームズが言うのだから、プロから見ればそこまでは初歩中の初歩なのだろう。そう思って読まないと、その後の展開が面白くないからね。
 暗号の解読を終えたところでマクドナルド警部から、暗号通りの人物が惨殺されたというニュースを聞く。ここで舞台はサセックス州へ。館の周りをとりまくお堀、毎晩揚げられる跳ね橋。怪しげな靴跡、微妙に食い違う証言。殺人事件のトリックは途中で分かったのだが、事件の裏にあんな物語が隠されていたとは知らなかったなぁ。子供の頃読んだ時にはあまり印象に残らなかったんだろうか?まさに大どんでん返し、これこそ私の大好きな展開だ。
 本作の裏側を読みとるキーワードは“モリアティ”と“年代”である。第一部が起こった時期は明記されていないのだが、第二部が1875年と書いてあるので第一部は20年後の1895年の出来事だと推測される。しかし解説では“第一部は12年後なので、モリアティに関する情報に齟齬がある”と指摘しているのだ。「最後の事件」は1891年に起こったのだが、その時ワトスンはモリアティ教授の事を知らないと言っている。しかし本作が1887年に起こっているなら1891年の時点でワトスンはモリアティを知っているはずだ、という指摘である。しかし本作の第一部の最後で登場人物は確かに「20年前の話ですが」と言いながら昔の話をするのである。第一部が20年後の1895年ならば齟齬はない筈だ。訳者がどこから12年後という設定を読みとったのかは不明なのだが、気になるなぁ…。今度読む時は、年代の表記に注意してみよう。私の最も不得意とする分野なんだけどね!
恐怖の谷 恐怖の谷
延原 謙、コナン・ドイル 他 (1953/08)
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