HOT SHOT! book
月1ペースで読んでいる小説の読書感想文です。
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シャーロック・ホームズ最後の挨拶/コナン・ドイル
60歳になったホームズが最後に扱った『最後の挨拶』を含む短編集。これでホームズ物語も最後なの?と思わせるような題名だが、この後にまだ短編12篇が収録された「事件簿」が発行されるのでひと安心。ただし「事件簿」は全て以前にホームズが扱った事件を発表しているので、『最後の挨拶』はまさにホームズの“最後の事件”である。
 『ウィスタリア荘』は友人の館に招かれたイギリス人紳士が体験する不気味な一夜から壮大な復讐劇が始まる物語。『ボール箱』は「思い出」の1篇として発表したのだが、その残虐性と不倫性から収録を延ばしたと言われる作品。人間の耳には遺伝の兆候がよく現れるというのを知った物語だ。『赤い輪』は不思議な下宿人に悩む女将の相談を解決するのだが、鏡を使ったトリックが印象的な物語。子供の頃に読んだ時の本の挿絵が今でも頭に浮かぶ。『ブルース…設計書』は「海軍条約文書事件」同様、国家機密が盗まれる事件。一見事故死に見える死体を他殺だと見破るホームズの観察力に感心する。
 『瀕死の探偵』はホームズが東洋の伝染病(失礼な!)にかかって瀕死状態に陥る物語。熱に浮かされたホームズが「あんなに繁殖力の強い牡蠣がどうして海底を埋め尽くさないのかが不思議でならない」などと言う様がかわいらしい…。『フランシス…の失踪』は失踪した資産家の娘を意外な所から発見する物語。これを読んだら、棺の形が気になってしょうがなくなるだろう。『悪魔の足』は恐るべき毒物を使ったトリックを暴く物語。現代では無理なトリックだと思うが。『最後の挨拶』は養蜂と読書の隠居生活に入っていたホームズが担ぎ出されて国家の危機を救う事件。最後のオチに使われた本のタイトルがめちゃくちゃお茶目で笑える。どれも秀逸で、外れがない。今までの短編集の中で一番面白かったかもしれないな。
 傑作揃いの短編集だったせいか、子供の頃に読んだ作品が多く収録されていた。前述の通り『赤い輪』と『フランシス…の失踪』のトリックは今でも覚えていた程だ。しかしファンとしてはやはり『最後の挨拶』が一番気になる作品だろう。あのホームズが60歳になってる!でもその行動力と知性には全く衰えがない!その粋な性格も変わっていないし。犯人が「一生かかってもこの仇は必ず返す」と毒づいた時のホームズの台詞が最高なのだ。「おきまりのスイート・ソングだね。そんなものは若い時から聞き飽きている」なんて言えちゃうホームズは、やっぱり好みだなぁ…♪『ボール箱』で紹介されるエピソードからしても、ホームズの才能にウットリする。ワトスンの挙動から彼が何を考えていたかを言い当てるシーンなのだが、これも子供の頃から深く印象に残っていたエピソードだ。これは『ボール箱』が「思い出」から削除された時に違う作品にも引用されたエピソードだと言うから、ドイル本人も気に入っていたのかもしれない。「目で見るのでなく、頭で見なければいけない」とホームズは言う。ホームズ物語を読むたびにそう心がけようと思うが、彼のように出来る訳はないのだ。フィクションだと分かっていても、それがなんか悔しくて。とりあえず身近な旦那でも観察しながら、“ホームズの眼”を学ぼうかしらね…。
シャーロック・ホームズ最後の挨拶 シャーロック・ホームズ最後の挨拶
延原 謙、コナン・ドイル 他 (1955/04)
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