HOT SHOT! book
月1ペースで読んでいる小説の読書感想文です。
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波の上の魔術師/石田衣良
2002年4月からフジテレビで放映されていたドラマ『ビッグマネー!~浮世の沙汰は株しだい』の原作。作者は『池袋ウェストゲートパーク』の石田衣良。ドラマが始まった時から読みたくてしょうがなかったのだが、私はハードカバーは買わない主義。1年半待って、やっと文庫本を手に入れたという訳である。本文も300P弱なので軽い気持ちで読める。ドラマを見ていた人にも違和感なく、と言うよりむしろドラマを見ていた人の方が細部まで状況が把握しやすい事だろう。
 物語は株式市場を舞台に展開するが、株の知識があまりない人でも解るようになっているので安心だ。どちらかと言うと、数字に弱い人の方が大変かもしれない。買った金額より高い金額で株を売れば儲かる、というのが普通の株取引だが、投資家である小塚老人は信用取引を行っているのだ。つまり相場の高い時に先に売り注文を出して、株価が下がったら買い戻す。この時の差額が利益になるという仕組み。このシステムを理解していないと、「秋のディール」の仕掛けや興奮が半減するので、株数と株価とその差額による利益額、なんてモノが速攻で解ると大層スリリングで面白い事だろう。数字苦手な私は小塚老人の説明ナシでは理解不能でしたが。
 私の大好きなクライムサスペンスもの。ただね…ドラマの時も思ったんだけど、内部協力者が多すぎなんだよ!金にモノ言わせて内部協力者を作るのも必要なんだろうけど、ちょっとリアリティに欠けるんだよなぁ~。私はおしゃべりだけど、会社がらみの極秘情報は同業他社の人には絶対にしゃべらないよ。その辺のモラルが欠けてる人間がいてこそ成功する計画。そこだけがちょっと気になったかな。登場人物像はドラマ通りで間違いない。て言うか植木等が演じた小塚老人は本当にピッタリだったなぁ~。ドラマの方が人間模様がより深くなっていて、「秋のディール」の仕掛けも解りやすいかもしれない。本を読む前にドラマのビデオをレンタルするのもお薦め。ドラマの出来も素晴らしいよ。
 タイトルの「波のうえの魔術師」とは小塚老人の事である。株の値動きを波に例えて、株は波の低い時に買い、高い時に売る。この波の動きを的確に読めなければ、相場師とは言えない。そのために白戸がどれほどの努力をしてきた事か。金儲けはラクじゃないのである。物語の終盤に小塚老人が白戸に引導を渡すシーンがあるが、これはなかなか感動的だ。日本のGDPは500兆円。それに対して日本の総資産額は約8,000兆円。1%で運用しても80兆円の利益が出る。その莫大な国の資産を、これからは若い世代が有効に活用していかなければならないのだ。「市場という新しいフロンティアは目前に拓けている。この国の富を守り育むひとりの自由な兵士になるといい」と言われた白戸は、「秋のディール」のツケを払って新しい海へと繰り出していく。何と爽快で感動的な話なんだろう!スティーヴン・キングの『刑務所のリタ・ヘイワース』を読んだ時と同じような読後感。金を稼ぐというよりは金を産むという発想、私は気に入ったぞ。人生一度きり、相場張る位の度胸も必要かもね。
波のうえの魔術師 波のうえの魔術師
石田 衣良 (2003/09)
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