HOT SHOT! book
月1ペースで読んでいる小説の読書感想文です。
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黒革の手帳/松本清張
2004年10月からテレビ朝日系でドラマ化されると聞き、改めて原作を読み直してみる事にした。この作品が最初に発表されたのは1980年。横領額や社会における女性の立場が今とは随分違う設定ではあるが、巧妙でスピーディな展開が気持ちいい名作である。
  器量は十人並みの元子が頭脳と度胸だけで男達を手玉に取ってゆく物語。また社会的な地位のある男たちがちょっとした下心で身を持ち崩してゆく様も小気味いい。出世するのは男性行員だけ、女性行員は「若ければ若いほどいい使い捨て」という銀行への仕返しとして奪った横領金。彼女は架空口座の詳細を綴った黒革の手帖を楯に、横領金の全額を“無償で”受け取る事に成功する。銀座のママとなった元子は、雇っていた波子というホステスに入れ込んでいた楢林という開業医から五千万円を脅し取る。その時の楯となったのは彼の脱税行為を立証する隠し口座の詳細を綴った文書。しかしこの行為が、後に元子を追いつめてゆく事になるのだった、という物語。今や架空名義の銀行口座なんて簡単には作れないが、当時の銀行の立場や医師に対する税の優遇措置などをさりげなく糾弾する手口が面白い。しかし医師の優遇措置って今でもあるのだろうか?これにはかなりムカついたわぁ。
 第三の黒革の手帖を手に入れる段取りがあまりにもスムーズなのでちょっと違和感があったが、それも物語のフックだった事が後に分かる。この物語から学ぶのは「身の丈にあった生き方をしよう!」という事である。彼女がつまづく原因となったのは、とある巨大クラブを手に入れようと言う野望を抱いた事。これさえもっと慎重に、今できる事できない事を冷静に判断していればあんな目に遭う事もなかったのに…。しかし経営にはある程度の冒険が必要な時もある。同じ経営者として、いろいろ考えさせられたなぁ。
 元子は30代半ばという設定。そんなママに言い寄る男たちが他の人から「彼は30~40の中年増が好みなんだよ」と言われているのにちょっと傷ついたりして。…30代半ばで中年増ですか…。 今は30代なんてまだまだ現役じゃん?とか思うけど、それは自分が既にニア・フォーティな年だからかしら…。ドラマでは元子を米倉涼子が演じるらしいが、彼女じゃちょっと美人過ぎかなぁ。でも彼女のライバルとなる波子が釈由美子っていうのはナイスキャスティングかも。十人前の器量で恋愛経験の少ない元子と、美貌と度胸で成り上がってゆこうとする波子。男が下心で身を持ち崩すのと同じように、女の性(サガ)が女性達の運命を変えてゆく。今は文庫版でしか入手できないが、スピーディでスリリングな展開にワクワクしながら上下巻を2日くらいで読めてしまうのではないだろうか。しかし私が読んだ第二版のハードカバーには今は規制されているはずの言葉が結構使われているのよね…。現在の文庫版では修正されているのか?禁止用語にはうるさい私は、ちょっと気になるのであった。
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