HOT SHOT! book
月1ペースで読んでいる小説の読書感想文です。
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続巷百物語/京極夏彦
2005年5月にWOWOWで放送されたドラマ『巷説百物語~狐者異』の原作。それぞれが独立した短編の形を取っているが、共通したテーマが根底にあるため、一つの長編物語のような仕上がりになっている。分量は約760P、新書の厚さにして約5センチという大作である。これを2ヶ月に渡ってちびちび読んでいたので、読むたびに前の“仕掛け”を思い出すのに必死(笑)。全ての登場人物それぞれが背負った運命と業、そしてその生涯をしっかり理解して記憶してから読まなければいけないのでかなり大変だ。でも最終ページは、ちょっと泣ける。いや、泣くと言うかその前に「ええっ?これで終わり?」という気持ちになってしまうかもしれないけれど…。
 『野鉄砲』は百介が兄の軍八郎に頼まれて、八王子で起こった“頭に石がめりこんだ死体”に関わる殺人事件の真相を暴く物語。ここでは蝙蝠組の島蔵親方と治平にまつわる悲しい過去が明らかになる。『狐者異』は、何度斬首されても生き返る悪人・祇右衛門の謎を解き明かす物語。おぎんの過去と又市、小右衛門との関係が語られている。『飛縁魔』は丙午生まれの女と火事にまつわる物語。その後の物語に大きく関わってくる“白虎のおきょうと朱雀のおきく”という希代の悪女たちが登場する。『船幽霊』は百介とおぎんが、秘技「飛火槍」にまつわる事件に巻き込まれる物語。 北林藩、右近、太郎丸、楓姫、小右衛門など、次の『死神』に繋がるエピソードが満載だ。
 『死神』も以前WOWOWで『怪~七人みさき』という題名でドラマ化されている。北林藩にこれまでの登場人物全ての業が集結、そしてついに物語は収拾されるという壮大な物語だ。そして『老人火』は『死神』より六年後、一件落着して平和を取り戻したかに見えた北林藩に起こった新たな事件とは?という物語。その六年の間に闇の社会では大きな抗争があり、治平と西の傑物・十文字狸が死んでしまったらしい。私としてはこの辺の話をもっと知りたいと思うのだが…。数々の謎を残したまま、この時代での物語は一応決着する。え~?なんかスッキリしないんですけど?
 というモヤモヤはいくつか残るが、それは次作『後巷説百物語』で解明される事を期待しよう。前作では語られる事のなかった又市たちの過去。それを知ってしまったら、最終ページでは思わず胸がきゅんとしてしまうでしょう。御行姿から抜け出せなかった又市が黒装束を身に纏った時の決意は如何ほどのものであったのか。憎めない、いやどちらかというと愛すべき悪人達の末路を、もうちょっと知りたいと思う。 一言で言えば、「必殺シリーズ」の妖怪版。前作よりも人間味あふれる物語が多かったな、と感じたのは、やはり主要メンバー達にまつわる物語ばかりだったからだろうか。特に私は丙午生まれなので、『飛縁魔』はとても興味深く読ませてもらったわっ!しかしWOWOWのドラマのキャスティングが絶妙だったせいで、おぎんが出てくるたびに小池栄子の顔が浮かんでしまった…。前の遠山景織子もなかなか良かったけどね。WOWOWのドラマの出来は悪くないので、併せて見るのもお薦めです。
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京極 夏彦 (2005/02/24)
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