HOT SHOT! book
月1ペースで読んでいる小説の読書感想文です。
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双生児は囁く/横溝正史
これまで文庫本に収録されていなかった短編集。収録されなかった理由は様々なんだろうけど、なかなか面白かった。まぁ確かにちょっと「あれ?」と思う作品もない訳じゃあないんだけどもね…。
 『汁粉屋の娘』は、汁粉屋に勤める姉妹の悲しい結末を描いた物語。姉妹ならではの嫉妬が招く悲劇…と言えば格好はいいが、その死に様が何ともあっけない。野球の流れ球が頭に当たって死ぬなんて…本当にあるのかなぁ??『三年(みとせ)の命』は博士の家の前に捨てられていた美青年の不遇な一生を、復讐というキーワードを交えて描く。正体不明の美青年が巻き起こす騒動が進むに連れ、彼の正体が暴かれてゆく。うーん、美しいモノに対する独占欲という気持ちは分からなくもないけど、やっぱそれは上流階級ならではの遊び、みたいなもんなのかも。『空き家の怪死体』は空き家で見つかった死体の身元を調べてゆく物語。目撃者の証言と死体の風体が違っていたりして最初は面白かったけど、正体が分かってからはあれよあれよと事件は解決。しかも犯人からの手紙で事件の詳細が明かされるというお馴染みの手法で最後はバタバタな展開だったかな。
 『怪犯人』は温泉地で起きた地震をきっかけに、男爵家の赤ん坊取り替え事件が発覚する物語。最後にちょっとしたどんでん返しが用意されていて、スッキリ読めるお話だ。『蟹』は、どちらかというと江戸川乱歩チックな異形モノ。シャム双生児とか…見せ物小屋とか…小男とか…時代を感じる設定である。でも本作の中では一番“横溝らしくて”面白かったかな。『心』は記憶を失った男の身元を探すと、そこには意外な事件が隠れていた…という物語。言わんとしている事は分かるんだけど、その終わり方はどうなの??というストレスが溜まる話。物語を完全には理解できてないのかもしれないな。『双生児は囁く』は双子のタップダンサーである夏彦と冬彦が連続殺人事件の真相を暴く物語。割と分かりやすい探偵小説だが、凶器についてはイマイチ納得できないなぁ…。もうちょっと説明が欲しい感じだ。ちなみにこの双子の探偵は『双生児は踊る』という作品にも登場していて、この作品は角川文庫の『ペルシャ猫を抱く女』に収録されているが絶版になっているようである。
 なんですぐ銃が使われるのか、とか普通の人がクロロフォルムを常備してると思うなよ、とかいう不条理を忘れる努力は必要だが、それも横溝作品の醍醐味の一つ。文体から滲み出る“時代”という匂いが愛おしい作品たちだ。特に『双生児は囁く』に出てくる真珠の展示場は、現代ではあり得ない虚飾の世界でとても美しい。江戸川乱歩の『パノラマ島奇談』にも通じる、幻想の世界。このシーンは想像するだけでとても楽しかった。他の作品はまぁね…という出来ではあるが、『双生児は囁く』はお薦めだ。ヒロインの美しさがこれまでの横溝作品とは違って現代的な所も良かった。小麦色の肌に彫られたハートのクイーンの入れ墨なんて、ものすごくセクシーでしょ?そう言えば『蟹』にも入れ墨がモチーフに使われていたっけ。横溝先生も入れ墨にエロティックな魅力を感じていたのかもね。
双生児は囁く 双生児は囁く
横溝 正史 (2005/05/25)
角川書店
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