HOT SHOT! book
月1ペースで読んでいる小説の読書感想文です。
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墜落の夏/吉岡忍
本書は日航ジャンボ機墜落事件についてのノンフィクションである。1.真夏のダッチロール 2.三十二分間の真実 3.ビジネス・シャトルの影 4.遺体 5.命の値段 6.巨大システムの遺言 という章立てで事実を追っている。第一章では、事故が起こった直後からの地上での動きを主に説明している。航空機が墜落したら航空会社はどのような動きをするのか、『沈まぬ太陽』と併せて読むとよく分かるだろう。
 第二章は落合由美さんのインタビューとヴォイスレコーダーをメインに、機内の状況と123便が操縦不能に陥った原因を航空機の構造を説明しながら詳しく解明している。この説明は大変分かりやすく、何故123便がダッチロールという現象に陥ったかが良く理解できた。航空機が何故浮くのか、も良く分かる。私はネットでヴォイスレコーダーを全て聞いた後だったので、そのリアリティは思わず鳥肌が立つほどだった。落合由美さんが病院で夫と会ってすぐ「四人しか…」と言うと夫が「しゃべらなくていいから」と言ったというシーンには、思わず涙が溢れてしまったよ。
 第三章は、123便が大阪行きの最終便の一便前だった事、お盆休み中の便だった事、などの状況から乗客をカテゴライズして、事故の傷跡を追っている。機内で書かれた遺書の全ても紹介されていた。400家族にのぼる遺族達のその後の人生も、インタビューを元に詳細に描かれている。それはあまりに悲しい物語で、乗客の多くがサラリーマンであった事が不幸を増長させた原因にも思える。身を粉にしながら会社のために働いていても、遺書に書かれているのは家族への思いばかりだ。胸が締めつけられる。
 第四章、第五章は遺族達に突きつけられる、辛い現実を描く。特に第四章に描かれた身元特定までのドラマは、かなり辛い。航空機事故の遺体は損傷が激しいと聞いてはいたが、これほどとは…。 身元不明のまま火葬された遺体は、四百数十にも及ぶ。そして最後の第六章で説明されているのは、今回の事故の原因調査についてである。最近の新聞でも「急減圧はなかった」との見方を重要視する記事が掲載されたが、事故調査委員会の調査結果について遺族は未だに納得していない。そこには日航社とボーイング社の思惑が絡んでいる。本来なら非公開であるはずのヴォイスレコーダーがメディアを通じて公開されたのも、関係者からのリークによるものだ。この事件には、まだまだ闇が潜んでいる。あの大惨事を風化させたくない、同じ悲劇を二度と起こさないで欲しいという遺族達の思いは通じているのだろうか。犠牲になった乗客、そして最後まで操縦不能の航空機と格闘したコックピットクルーの事を思うと、深い悲しみと同時にふつふつとわき上がるような怒りを感じる。
墜落の夏―日航123便事故全記録 墜落の夏―日航123便事故全記録
吉岡 忍 (1989/07)
新潮社
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