HOT SHOT! book
月1ペースで読んでいる小説の読書感想文です。
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デスペレーション/スティーヴン・キング
「絶望」という名の寂れた鉱山町、デスペレーション。巨大な体躯の警官が狂気を帯びた言葉を吐きながら人々を拉致してゆく様子で始まるストーリーで、しょっぱなからかなりイっちゃってる。イカれた警官が台詞の最後に必ず「タック!」という意味不明の単語を入れるのが怖いよぅ~。まぁタックの意味は追々分かってくるんだけど。何故か徐々に身体が崩れてくる警官、最後のマリンヴィルを拉致した時はくしゃみをしながら口から血だの内蔵だのを吐きまくる。このシーンは流石に食事しながらは読めなかったなぁ、久々に匂い立つ血のイメージってのを味わったぞ。
 この本はリチャード・バックマン名義の『レギュレイターズ』と対になっている。どちらの表紙も藤田新策さんが描いていて、上下巻を横に並べると一枚の絵になるという仕掛け。対と言ってもサイドストーリーという内容ではなく、登場人物の名前が同じというだけの設定だ。しかし『レギュレイターズ』はかなりハチャメチャなストーリーなので、あんまり好みじゃないかもしれないなぁ。バックマン名義の本は本家キングよりもスピーディな展開で文体もシャープで好きなんだけど。特に『痩せゆく男』は面白かったなぁ、シニカルなラストがすごく印象に残っている。
 特殊な力を持った子供が悪に立ち向かっていくという設定は、昔の『トウモロコシ畑の子供たち』や『呪われた町』を彷彿とさせる。形のないもの、悪霊の類にスピリチュアルな力で闘っていく…ハッキリ言って好みじゃない設定なのだが、徐々に悪の正体が分かってくるストーリー構成が気持ち良くて、ぐいぐい引き込まれていく。そこら辺がキングの巧みなところで、私の好きなところ。ちょっと意味分からない系でありながらも切ないラストが泣ける。何もそこまで辛い思いをさせなくても、と思ったりもするけど、そうしてデヴィッドはオトナになってゆくのね。
 今回のあとがきには解説という形でこれまでのキング作品のリストが紹介されている。また、キング作品の作風の流れなども分析されていてかなり面白い。キング作品は1974年のデビュー作『キャリー』から2000年末までの間を三期に分けて見る事ができるらしい。第三期の始まりは96年の『グリーン・マイル』から始まるが、この作品は第三期に分類される作品群とは明らかに作風が違う。子供とモンスターと言うテーマは第一期のものだ。キングも回顧主義になっちゃったの?なんて考えると、ちょっと淋しいようなガッカリしたような。何と言っても新作は“娘に捧げる正統派ファンタジー”らしいからなぁ、う~んこれは…。ま、その前に『レギュレーターズ』を読んでみようかな。やっぱ私はキング大好きなんでね。

デスペレーション〈上〉 デスペレーション〈上〉
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