HOT SHOT! book
月1ペースで読んでいる小説の読書感想文です。
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千里眼 ミドリの猿/松岡圭祐
水野美紀主演で映画化もされた『千里眼』の続編。感想文でも書いたが、一作目の『催眠』の主人公・嵯峨と前作の主人公・岬がついに出会う事になる。そして映画版『催眠』で原作とかなり違っていた由香の変貌ぶりの理由も明らかになった。映画版『催眠』の感想文で「これじゃあ単なるオカルトだよ」と書いたが、それには深い意味があった訳だね。
 しかしこれで『催眠』ワールドの全てが丸く収まった、と思ったら大違い。このシリーズはまだまだ続くんである。一作目の『催眠』から続きこの本のタイトルにもなっている“ミドリの猿”の謎は明かされないままだし、ラストには驚愕の事実が判明して岬は捕らえられてしまうし。この本は次作『千里眼 運命の暗示』の上巻扱いと言ってもいい内容なのだ。そして物語は更に『千里眼 洗脳試験』へと続くらしい。当初『千里眼』シリーズは全三作とされていたのに、ワールドはまだまだ広がっていくのね。
 今回の敵はメフィスト・コンサルティングという史上最大のマインドコントロール組織である。それに政府の思惑も相まって、知美、岬、嵯峨、嵯峨の前の上司の倉石が陰謀に巻き込まれていく。『催眠』ワールドのどれから読んでも齟齬はないが、できれば映画も原作も全て知った後に読むと、様々な軌道修正がいじましくて面白い。本作の嵯峨は明らかに映画版で嵯峨役を演じた吾郎ちゃんをモチーフにしてるしね。小説『催眠』の嵯峨とは全然違う見かけに変身してるのだ。
 今回のテーマは「人を自分の思い通りに動かすのは可能か」という事である。それは一見難しい事のように見えるが、マジックの世界では当たり前の定義。ドラマ『古畑任三郎』でも同じテーマを扱ったお話があった。相手に「自分に選択権がある」と思いこませる手段、これは結構奥が深い。何かを決断しなければいけない時、「選ぶ道はこれしかない」という状況に陥るのはよくある事だ。でもそれは、何重にも張りめぐらされた蜘蛛の糸の中で相手の意のままに操られているだけかも知れない。そういう道を選ばざるを得ないように仕組まれた罠かも知れない。そんな事を考えてしまう物語。できれば操る側にいたいものだと思うけれど、私みたいに単純で面倒くさがりなヤツには絶対できないんだろうな。陰謀を企む、これは結構根気がいるもんだと最近の仕事でもしみじみ感じたりしている私なのであった。
千里眼 ミドリの猿 千里眼 ミドリの猿
松岡 圭祐 (2001/03)
小学館
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