HOT SHOT! book
月1ペースで読んでいる小説の読書感想文です。
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血まみれの月/ジェイムス・エルロイ
『ブラックダリア』以来久しぶりのジェイムズ・エルロイ。『BLOOD ON THE MOON』という原題に惹かれて読んでみた。そしたらメチャクチャ面白かった。やっぱ好きだわ、エルロイ。映画版『LAコンフィデンシャル』はデタラメな作品だったけど、原作は面白かったし。これはロイド・ホプキンス3部作の第一弾らしい。これは全シリーズ読むしかないでしょう!
 エルロイ作品には必ずトラウマを抱えた主人公が登場する。ロイド刑事も幼い頃に大変な経験をしたがために、大きな音や音楽に対して拒絶反応を起こしてしまう。しかしそれがラストシーンでは…というオチは王道。身長2メートル、見た目が良くて女好きな主人公、それでいて頭脳明晰。そんな彼の天賦の才能を見抜き、尊敬し理解しつつ彼を助ける昔のパートナー。そんな設定も王道。でもじわじわと犯人を追いつめていくスリル、犯人の狂気ぶりがめちゃくちゃ高価なスパイスになっているって感じだ。血みどろ、狂気、頭脳明晰、胸キュンな恋愛感情。私がハマるキーワードてんこ盛りな一冊なんである。
 これは犯人が先に分かっていて、それを警察が追いつめていくタイプのストーリー。これまで決して捕まる事はないと安心していた彼が、ロイドの頭脳によって初めて挫折するのだ。その過程に出来過ぎ感やご都合主義っぽい匂いが一切しない、正統派の推理小説。ただ今回のキーワードは「詩」。それだけに作中には何度も詩が登場するのだが、日本語に訳すとどうもね…。多分原文では韻を踏んでいたり、スラングとひっかけてあったりするんだろうが、そういう作者の狙い所が全然つかめなかったのが残念だ。原文も一緒に掲載してくれれば良かったのに。もちろんそれを読み解くほどの英語力は持ち合わせていないんだけども。
 車やオーディオなど、さりげない所でマニアックな小道具が使われていてちょっぴり嬉しい気分になれる作品。『ブラックダリア』事件もちらっと登場する。いろんなロスアンゼルスの顔が見れるのもロス好きな私には嬉しい舞台設定だ。やっぱ頭脳明晰な主人公はいいわ~。女好きにも程があるぞって思うけど。こんな旦那は欲しくないけど。光や音、色などの感覚を楽しめる作品。叙情的なエンディングもマル、である。
血まみれの月 血まみれの月
ジェイムズ エルロイ (1990/07)
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