HOT SHOT! book
月1ペースで読んでいる小説の読書感想文です。
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ルー=ガルー ― 忌避すべき狼/京極夏彦
京極夏彦の新作は文庫化まで待てない。これは“読者からの応募による未来社会の設定を盛り込んだ画期的なインタラクティブ小説”らしいよ。あの京極夏彦がSFを書いたらどうなるのか…期待半分不安半分で、読後の感想としては“微妙”って感じかな。
 SFと言ってもそう未来の話じゃないので、SF嫌いな私でも大丈夫な設定になっている。確かに50年後の世界はこうなってるかも、と思わせるような社会。動物を食べちゃいけない事になってるから食べ物は全て合成食品だし、他人との交流はメールが主流だ。みんな自分専用の端末を持っていて、それを持っている事が“自分が存在する証”になっている。そして近未来では「がんばって」という言葉を他人に言ってはいけないらしいよ。他人との接触(=リアルコンタクト)を異常に嫌うようだし、世の中全てが滅菌されていて有機物を嫌がる傾向のようだ。そんなんでどうやって子供作るんだろ?なんて余計な心配してしまったわ。
 主な登場人物は「いかにも」京極夏彦が好きそうなお人形タイプの女の子である。しかしその子たちは皆、普通に男言葉でしゃべる。それがどうも馴染まなくてねぇ…。コンピュータおたくの女の子の押しつけがましいしゃべり方もイヤだったし、京極作品にしては珍しく話し言葉が不快な作品だった。ストーリーも荒唐無稽な冒険活劇って感じだし、ラストもいまいちしっくりこないし。あまり私好みではなかったかな。
 伏線をてんこ盛りに張りすぎて、結局消化できてない造りの作品。いかにも怪しい人が思った通りの悪人だったりして、意外性もないし。ただ一つだけ気になったフレーズがある。それは「嗅覚には言葉がない」である。考えてみると匂いを表す言葉ってのは実に曖昧である。“苺の匂い”とか言っても、苺を知らない人にはその匂いの感覚は伝わらない。“甘い匂い”とか“酸っぱい匂い”っていうのは味覚から匂いを連想させる言葉であって、匂いそのものを表す言葉ではないのだ。匂いって結構奥が深いのかも。私は匂うモノって何でもあんまり好きじゃないので、いろいろ考えさせられる言葉だった。ま、そんな事に気を取られるくらい、中身はフツーの娯楽小説だったって事で。妖怪シリーズの新作を本当に心待ちにしていますわ、京極先生!
ルー=ガルー ― 忌避すべき狼 ルー=ガルー ― 忌避すべき狼
京極 夏彦 (2001/06/23)
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