HOT SHOT! book
月1ペースで読んでいる小説の読書感想文です。
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クライマーズ・ハイ/横山秀夫
この題名から日航機墜落事故を結びつけるのは難しいだろう。私も昨年の年末にドラマ化されてなかったらノーチェックだったかもしれない。日航機墜落事故に関する書籍は諸々あるが、メディア側から事件を見た作品は少ないのではないだろうか。旧態依然とした地方新聞という立場、現場とトップとの認識の違い。そこら辺に普通にあるサラリーマンの葛藤を日航機墜落事故に絡めて描いた作品。群馬の地方紙だからこそ出来た、秀逸の設定に唸らされる。
 人間模様がテーマなので、登場人物の数も半端じゃない。ハッキリ言って覚えるのがちょっと大変だった…。翻訳物みたいに、巻頭に人物紹介ページが欲しかったくらいだ。それでも登場人物の全てにキチンとキャラクター設定がされていて、物語に奥行きを出している。人物がキチンと描けているからこそ、共感して感動するんだよね。この作者はそういう設定がホントに上手だ。
 ただし物語の方は…充分面白いんだけど、一流の社会派小説と呼ばれるには何かが足りない、そんな感じ。 肝心の山場での描写があっさりしてるんだよな~、それは『半落ち』の時にも感じたんだけども。物語のクライマックス、編集と販売が対立して立てこもるシーン。この結末は、テレビドラマの方がよっぽど感動的に描かれていたと思う。まぁ小説の方はそれ以外にも描かなきゃいけないエピソードが多かったせいもあると思うけど、ここはもう少し盛り上げても良いエピソードだったんじゃないかなぁ。
 記者としてのプライド。社会に対する責任と、公平性。旧態依然とした体質。ワンマンな社長。部下を自殺させてしまった悠木が抱える心の傷をえぐるような投書。題名の「クライマーズ・ハイ」とは、登山家が山を登っているうちにテンションが揚がってしまう状態を表す言葉だ。悠木は販売部の安西と登山する約束をしていたのだが、墜落事故があった夜に安西は病気で倒れてしまう。登山を通じて繋がる人間関係と、未曾有の大事故に関わった事によって変わってしまった男の人生をうまくミックスして描いた作品。ラスト、記者達の言葉に思わず落涙した。認められたり報われたり信頼されたりするのは嬉しいものなのだ。そう思われるのは幸せなのだ。サラリーマンが心のどこかに閉まっている感情を、優しく撫でられたような気分。日航機墜落事故の関連本と敬遠せずに、読んでみる価値アリの傑作。お勤めしてる人なら、何か感じるモノが絶対あるハズ!と思うな。

クライマーズ・ハイ クライマーズ・ハイ
横山 秀夫 (2006/06)
文藝春秋
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