HOT SHOT! book
月1ペースで読んでいる小説の読書感想文です。
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地下鉄(メトロ)に乗って/浅田次郎
最近『シェエラザード』を読み返していたので、他の浅田作品も読みたくなって探した本。あらすじを読むと好みではなかったのだが、映画化もされるようだし一応チェックしとくか、という軽い気持ちで読んだら、やっぱりイマイチだった…(笑)。タイムスリップはいかん!そんな事が出来たら、世の中の不思議が理路整然と説明できないではないか。まぁそういうファンタジーが理解できる人ならいいんだろうけど。
父は一代で築き上げた一流企業の社長。弟は父の会社で働いているが、自分はそんな家に反発して、小さな下着メーカーの営業マンをしている。彼には兄がいたが、父とケンカした夜に自殺した。そんな中、主人公の真次は地下鉄の通路を歩いているうちに、いつの間にか30年前にタイムスリップしてしまう。それは、兄が自殺する日の夜だった…。という序章から、徐々に昔の時代に遡ってタイムスリップを繰り返す真次。そして若い頃の父に出逢い、彼に対する意識も変わっていく。過去で意外な事実が明らかになった後、現世に戻った真次が見たものとは?
という物語なのだが、終盤に明らかになる“意外な事実”は、予想通りだった。別に隠しておくつもりもなかったようだけどね。時代を遡ってタイムスリップするので話が分かりづらく、なーんか明らかになってない事があるような気がしてならないのよねぇ~。父の子供時代のエピソードには何か含みがあったんだろうか…。エピソードが盛り沢山な割に、スッキリしなくて気持ち悪い感じだ。
それはやっぱり、みち子(=愛人)との関係が納得できなかったからだろうと思う。不倫してる男が主人公って設定は女性の共感を得るのは元々難しいのに、真次は“ちょいダメ男”であまり魅力的ではない。まぁ浅田作品に出てくる主人公って“ちょいダメ男”が多い気がするけどね。いづれにしても「思わず涙がこぼれ落ちる感動の浅田ワールド」は、タイムスリップというあり得ない設定の上に成り立っている。それを乗り越えられた上で、みち子との関係を良しと思えれば受け入れ可能って感じかな。
しかし映画のキャストは真次=堤真一、アムール(真次の父)=大沢たかおってのが笑った。この二人…雰囲気似てるよね??
地下鉄(メトロ)に乗って 地下鉄(メトロ)に乗って
浅田 次郎 (1999/12)
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テーマ:読書 - ジャンル:小説・文学

緋色の迷宮/トマス・H・クック
息子がベビーシッターをしていた家の少女が失踪した。犯人に疑われた息子を信じたいが、息子には今まで自分が知らなかった一面があった。果たして犯人は本当に息子ではないのか?という主人公の葛藤を描いた物語。前作『蜘蛛の巣のなかへ』から続く、家族モノだ。しかし今作はかなり切ない、というか悲しい気持ちになる物語である。遣り場のない悲しみに胸が締めつけられるような読後感だ。
主人公エリックには大学で講師をしている妻と15歳の息子キースがいた。ある夜、近所に住むエイミーのベビーシッターに行った息子は、深夜遅くに帰宅した。そして翌日、エイミーの失踪を知る。犯人として疑われるキース。しかしエリックは、キースが供述の中で嘘をついている事に気づいてしまう。そんな中、妻の不倫疑惑も浮上。様々な事実が明らかになるにつれ、エリックにとって衝撃の事件が起こってしまう…という物語。前作よりは分かりやすいし、主人公の苦悩には感情移入しまくりの設定だ。子を持つ親にとっても、親との関係が複雑になる思春期の子にとっても身につまされる物語である。
エリックは小さな町の写真屋さん、という設定がより「家族」への思いを募らせる仕掛けになっている。笑顔で撮影された家族写真、しかしその裏にはどんな苦悩があるのだろう?と他人の写真を焼きながらエリックは考えてしまう。そしてクック作品につきものの“主人公のトラウマ”という設定も健在。これまでのクック作品のファンにもお薦めだ。
親に信用されていないと感じる悲しみ。子をどこまで信じていいのかと迷う親の気持ち。その気持ちがすれ違う度に状況は悪化してゆく。それが読んでいてもどかしくて切なくて。誰でも一度は感じた事のある親子の葛藤を、少女の失踪事件に絡めて鮮やかに描いている。そしてクック作品お決まりのどんでん返しと、衝撃的なラスト。子の親だったら涙なくしては読めないかも、という結末だ。時間が経つにつれて記憶は風化してゆくけれど、親にとって子供に関する記憶は消える事はないのだなと深く感じた物語。主人公のこの先の人生が幸福である事を願わずにはおれない。そんな気持ちになるが、全てが悲しいだけの設定ではないのが救いだ。ミステリ作品として見ても、プロットが緻密でキャラクター設定が巧い。クックファンなら必読、それ以外のミステリファンも読んで損はない一冊だろう。
緋色の迷宮 緋色の迷宮
トマス・H. クック (2006/09)
文藝春秋
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