HOT SHOT! book
月1ペースで読んでいる小説の読書感想文です。
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スローグッドバイ/石田衣良
『池袋ウェストゲートパーク』などの前衛的ミステリで定評のある石田先生が描いたラブストーリー。現代の若者の生き様を鮮やかに描いてきた先生らしく、そこにあるのはホントに普通の男女だけど恋愛の形は様々、という物語ばかりだ。恋をして、時間を共有して、それでも別れてしまう恋人たちの風景がリアルに描かれている。
 『泣かない』は恋人に振られた女友達と 、その悲しみを分かち合う男の子のお話。女が恋を捨てる時の苦しみと、男友達という微妙な関係の異性のありがたさが分かる物語だ。『十五分』は大学のゼミの女の子と恋をして別れるまでの一夏の物語を描く。若いときの恋愛ってこんな風に簡単に始まって、のめり込んで行ったらあっという間に別れてしまう。これが若い頃にありがちな恋愛ってヤツなんだなって思う。『You look good to me』はネットで知り合った女の子と徐々に心を通わせてゆく課程を描いた物語。コンプレックスの重さってヤツは本人にしか分からないからやっかいだ。それをこんな風に解釈してくれる男がいたら、楽かもね。『フリフリ』は、ふとしたきっかけから恋人同士のフリをする事になった二人の行く先を描いた切ないお話。異性としてより人間として魅力的でありたいと思っている女性に、ふさわしい結末。『真珠のコップ』は風俗嬢とその客の間で芽生えた恋物語。ありがちなパターンなのか…?風俗の世界は未知数なのでよく分かりませんでした。『夢のキャッチャー』はシナリオライターになる夢を叶えようとする女性とその恋人の物語。お互いにない部分を補いあってこそカップルは巧く行くと私は思っているのだが、自分にない才能に焼き餅を焼くっていう感情もあるのかな??
  『ローマンホリデー』はネットの掲示板で出逢った女性とデートをするまでのお話。ネットなんて所詮は虚構の世界。それをうまくロマンティックに仕上げた作品。『ハートレス』はセックスレスのカップルが気持ちをすれ違わせてゆく物語。釣った魚に餌をやらないとか、妻を女として見れないとか、女性にとっては結構切実な問題をリアルに取り上げた作品でドキドキする。『線のよろこび』は新しい才能に出逢った時の喜びから恋が生まれる瞬間までを描いたお話。男を引っかけるのってこんな簡単なものなのか??とも思うが、芸術家の感性というのはそういうものかもしれない。『スローグッドバイ』は別れてしまった彼女と“さよならデート”に出かけた一日のお話。こんな風にお互いを思いやりながら別れられたらいいと思うのかもしれないけど、私はこんな後を引きずりそうな別れ方はキライだな。
  ラブストーリーというのは誰もが身近に感じられるテーマである事から、感情移入しやすい人と実際はこんなんじゃない!と思ってしまう人がいるのだろうと思う。私は間違いなく後者だ。と言うか、身も蓋もないけれど他人の恋愛模様なんてあんまり興味がない。実際の話ならまだしも、それが創作の世界なら尚更だ。マンガだと恋愛物も大丈夫なんだけど、小説だとなんか違和感を感じるのは何故だろう??主人公の姿形を自分で想像して読む分だけ、思い入れが強くなってしまうのかな。その分リアリティに欠けると引いてしまう…そんな感じだろうか。これが長編だったら分からないけど、私は短編のラブストーリーはあんまり好きじゃない事に気づいちゃったかも。森博嗣の『まどろみ消去』に収録されている『やさしい恋人へ僕から』みたいな恋愛小説だったらまだ可愛くていいのだが…。現代の若者の恋愛模様を「ふーん」って思いながら読むんだったら、いいかもね。
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石田 衣良 (2005/05/20)
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続巷百物語/京極夏彦
2005年5月にWOWOWで放送されたドラマ『巷説百物語~狐者異』の原作。それぞれが独立した短編の形を取っているが、共通したテーマが根底にあるため、一つの長編物語のような仕上がりになっている。分量は約760P、新書の厚さにして約5センチという大作である。これを2ヶ月に渡ってちびちび読んでいたので、読むたびに前の“仕掛け”を思い出すのに必死(笑)。全ての登場人物それぞれが背負った運命と業、そしてその生涯をしっかり理解して記憶してから読まなければいけないのでかなり大変だ。でも最終ページは、ちょっと泣ける。いや、泣くと言うかその前に「ええっ?これで終わり?」という気持ちになってしまうかもしれないけれど…。
 『野鉄砲』は百介が兄の軍八郎に頼まれて、八王子で起こった“頭に石がめりこんだ死体”に関わる殺人事件の真相を暴く物語。ここでは蝙蝠組の島蔵親方と治平にまつわる悲しい過去が明らかになる。『狐者異』は、何度斬首されても生き返る悪人・祇右衛門の謎を解き明かす物語。おぎんの過去と又市、小右衛門との関係が語られている。『飛縁魔』は丙午生まれの女と火事にまつわる物語。その後の物語に大きく関わってくる“白虎のおきょうと朱雀のおきく”という希代の悪女たちが登場する。『船幽霊』は百介とおぎんが、秘技「飛火槍」にまつわる事件に巻き込まれる物語。 北林藩、右近、太郎丸、楓姫、小右衛門など、次の『死神』に繋がるエピソードが満載だ。
 『死神』も以前WOWOWで『怪~七人みさき』という題名でドラマ化されている。北林藩にこれまでの登場人物全ての業が集結、そしてついに物語は収拾されるという壮大な物語だ。そして『老人火』は『死神』より六年後、一件落着して平和を取り戻したかに見えた北林藩に起こった新たな事件とは?という物語。その六年の間に闇の社会では大きな抗争があり、治平と西の傑物・十文字狸が死んでしまったらしい。私としてはこの辺の話をもっと知りたいと思うのだが…。数々の謎を残したまま、この時代での物語は一応決着する。え~?なんかスッキリしないんですけど?
 というモヤモヤはいくつか残るが、それは次作『後巷説百物語』で解明される事を期待しよう。前作では語られる事のなかった又市たちの過去。それを知ってしまったら、最終ページでは思わず胸がきゅんとしてしまうでしょう。御行姿から抜け出せなかった又市が黒装束を身に纏った時の決意は如何ほどのものであったのか。憎めない、いやどちらかというと愛すべき悪人達の末路を、もうちょっと知りたいと思う。 一言で言えば、「必殺シリーズ」の妖怪版。前作よりも人間味あふれる物語が多かったな、と感じたのは、やはり主要メンバー達にまつわる物語ばかりだったからだろうか。特に私は丙午生まれなので、『飛縁魔』はとても興味深く読ませてもらったわっ!しかしWOWOWのドラマのキャスティングが絶妙だったせいで、おぎんが出てくるたびに小池栄子の顔が浮かんでしまった…。前の遠山景織子もなかなか良かったけどね。WOWOWのドラマの出来は悪くないので、併せて見るのもお薦めです。
続巷説百物語 続巷説百物語
京極 夏彦 (2005/02/24)
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