HOT SHOT! book
月1ペースで読んでいる小説の読書感想文です。
200502<<12345678910111213141516171819202122232425262728293031>>200504
スポンサーサイト
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
闇に問いかける男/トマス・H・クック
WOWOWでドラマ化された『心の砕ける音』以来のトマス・H・クック。登場人物それぞれが負う傷と、そこに待ち受ける残酷な結末。そして明らかになる意外な真実。相変わらずのクック節は健在で、読後は何とも言えない切ない気持ちになる。でもそれが“救われない悲しさ”とはちょっと違った、どこか爽やかな印象を残すという不思議な物語である。今回はタイムリミットという設定だったので、登場人物に因縁を絡ませるのは難しいのではないかと思ったが、やってくれましたね~。さすがはクック。外国版:浅田次郎と呼ばせてもらおうかな。
 容疑者として捕まったスモールスは、読んでる側からすればいかにも犯人じゃない感じ。でも刑事達は彼を犯人だと信じ込んでいる。しかし警察署の中には怪しい人物が跋扈していて、真実が歪められるのではないかと読んでて不安を煽られる。しかし真実はそんな所にはなかったのだ。物語とはあまり関係がないのではないかと思われた人物のエピソードが、最後は見事に結末にハマってゆく快感。 これまでの「記憶シリーズ」とはちょっと違った手法だが、最後までハラハラしながら読める傑作だ。
 物語は刻々と過ぎてゆく時間を時計のイラストで表しながら進んでゆく。最初に与えられた時間は11時間だったが、それだけあれば1本の物語が書ける程、人は動けるものなのだなぁと感心したよ。そのスピード感や真実が明らかになってゆく過程の構成は、いかにも映画的。一番最初にピアースとコーエンが若かりし頃の取調室での模様が描かれていて、その後に本編の物語が始まる、という見せ方も映画にしたらキレイだな~って造りだし。映画にしたら『ボーン・コレクター』みたいな、どんでん返し系ミステリとして結構イケるんじゃないかな?
 今回は身近な人間が死んでしまうという悲惨な結末になるが、最後にキラリと光る未来が暗示されているところが良い。そしてその先を敢えて書かない終わり方だからこそ、 どことなく爽涼感を覚えるのだろう。何となく登場人物が多すぎてバタバタな感はあるが、面白かった。自分が過去に出来なかった事を、今になってどのように示したら良いのか?人から信じてもらえないという状況は、どれ程に辛いものか?子供を殺害された親は、人を憎むという感情とどのように向き合ってゆけば良いのか?人間が生きているうちに感じる様々な負の感情を、昇華しようともがく様が切ない。まぁどんでん返しの度合いとか切ない感情とか、過去の作品に比べると中途半端な気はしないでもないが、『アウトリミット』みたいなおバカな作品を読んだ後だと何となく高尚な気持ちになれるね。クック作品の代表として人に薦めるかどうかは微妙な出来だけど。
闇に問いかける男 闇に問いかける男
村松 潔、トマス・H.クック 他 (2003/07)
文芸春秋
この商品の詳細を見る
スポンサーサイト

テーマ:本の紹介 - ジャンル:小説・文学

アウトリミット/戸梶圭太
『溺れる魚』と同じ世界観のアクション小説。『溺れる…』で圧倒的な存在感を放っていた御代田警視正がサブキャラとして登場し、彼の部下である女性の神崎警視が男性顔負けのアクションを繰り広げるクライムノベルだ。独特のスピード感と、個性溢れる登場人物たちの物語がパラレルで進むという、作者お得意のストーリー運びで軽快に描かれた作品である。
 犯人を殺してしまった井川刑事は、警察には犯人を追跡していると見せかけながら犯人が残したメモリーカードを現金に換えるべく墨田区近辺を逃げ回る。タイムリミットは18:00。しかしその日は隅田川の花火大会が開催されるため、街は見物客でごった返していた。“死体を隠す”“現金の受け渡し”“犯人は生きていると警察に見せかける”という命題を背負った彼は元同僚の男を共犯者に選ぶが、彼の取った意外な行動が更なる混乱を生んでしまう。拳銃、三千万、ボールペン・ガン、ホモのカップル、警察署内にはびこるマルチ商法、スナックの屋上で繰り広げられる花火見物の宴…。それら全てが暴力によって粉砕されてゆく。 相変わらず、ぐちゃぐちゃな物語だ。
 と言っても物語は極めてシンプル。目的は一つしかないのに、それを多数の登場人物が絡んで複雑にしてゆくのだ。他人を意のままに操ろうなんて、絶対に無理なんだよなぁと納得させられる物語だ。そしてウソは必ず見破られるのだ、という事も。
  井川が次々と窮地に陥っていくので、その先が知りたくてついつい読んでしまう。そんな物語。そして結末はこれまた意外にシンプルで。でもそれまでの物語があまりに濃密なので、最後くらいあっさりして丁度いいのかも知れない。神崎警視の意外なプライベートがちょっぴり明かされて、物語は終わる。相変わらず痛快でクレイジーなドタバタ劇だ。いろんな事を深く考えずに、読んだままのシーンを想像するだけで充分楽しい。でもやっぱり『溺れる…』には適わないかな…。ヒット作のパワーを維持し続けるってのは大変な事なんだなぁと痛感するね。続編にも期待しよう。
アウトリミット アウトリミット
戸梶 圭太 (2005/02)
徳間書店
この商品の詳細を見る

テーマ:本の紹介 - ジャンル:小説・文学

copyright © 2004-2005 Powered By FC2ブログ allrights reserved.
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。