HOT SHOT! book
月1ペースで読んでいる小説の読書感想文です。
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バカの壁/養老孟司
新書界最大のベストセラーである本書。養老先生の事は『NHKスペシャル人体の小宇宙2~脳と心』のガイド役で出演していたので知っていたが、その時の柔和な先生の語り口を知らない人がこの本を読んだら「何て偉そうな事言う人なんだろう!」とびっくりするのではないだろうか。ま、そうやらテレビで見せていた柔和なイメージこそが“造り”だったっぽいけれども。この本は、脳みそのエキスパートである養老先生がひたすら持論を語っている本である。学問書ではないので、この本を読んでも脳みそに詳しくなれる訳では決してない。飲み屋でオヤジの持論をひたすら聞かされてる感じ、そこら辺を踏まえて読まないと「想像と違うわ…」という気持ちになってしまうので要注意だ。
 親友Sが私に「結局親は子供に自分の知ってる事しか教えられないんだよね」と言った事がある。そして私の持論は「価値観や考え方の違う人と語り合っても時間のムダ」である。リンゴを嫌いだと言う人にリンゴの良さを語ったって理解し合える訳ないじゃんと私は思っているので。この書はまさにそういう問題を掘り下げて語った本である。「結局われわれは自分の脳に入る事しか理解できない」と養老先生が言う通り、世の中には知らない事がたくさんあるけれども、人々は興味のない事を脳にインプットしないようにしている。それは何故か?それには教育や社会のあり方に問題があると先生は言うが、それを私たち一般庶民にアツく語られてもねぇ…って感じ。問題提示だけされて、解決法がないんだよね。持論をひけらかす書なんだったら、そこらへんももっと突っ込んで語ってくれればスッキリするのに。
 それでもさすがは脳みそのエキスパート、「脳内の一次方程式」や「ニューラル・ネット」「方向判断の仕組み」の説明なんかは面白かったよ。脳みその先生じゃなきゃ語れない内容だったし。あと「万物流転、情報不変」という定義もなかなか興味深かった。万物は流転するという事を分かっていないオトナが多いのは知っていたが、情報が不変だとは考えた事もなかったので。脳みそ先生の面白いところは、全ての内容について善悪や優劣を決めない事だ。情報不変という定義も、その情報が正しいかどうかは問題ではない。ただ、記録された情報の内容が変わることはないという現象だけを語っている。そこら辺が理系の頭なのかもしれないなぁ~、シンプルで好感が持てるね。
  思考は単なる電気信号の流れから生まれてくるものであり、脳みそは入力と出力しかしない臓器であり、脳を構成している神経細胞は興奮しているかしていないか、どちらか2つの状態にしかない。脳みそを知れば知るほど、ロマンティックとはほど遠い現実に直面する。でもやっぱり人間として生きている以上、絶対に心というものはあると思いたい。あんなに胸が痛くなるような思いを単なる電気信号の流れの結果とは思いたくないと、私は考えてしまうのである。「人間は働かなくても食える状態」が究極の幸せだと感じ、それを実現しようと努力してきたのだという先生の考え方を面白いと思えれば、宗教やテレビや共同体のあり方や一元論というものについても違和感なく読めるかもしれない。私は、極論じゃん?とか思っちゃったのであんまり共感はできなかったけれども。言うまでもない事だけど、「こういう考え方する人もいるのね」くらいの状態で読むならそれなりに面白い読み物かもしれない。私の感想は、「これがベストセラー??」って感じだけど。ま、ロマンティックな乙女にはあんまり向いてない、かもしれないな。
バカの壁 バカの壁
養老 孟司 (2003/04/10)
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ルージュ・ノワール赤・黒~池袋ウエストゲートパーク外伝/石田衣良
愛する石田衣良先生の最新文庫作は、『IWGP』の外伝である。主人公の小峰が行動を共にするのはマコトの同級生だったヤクザのサル、そして仕掛けの一部にはキングも登場して物語を盛り上げてくれる。ま、あくまで外伝なので彼らの活躍はサブストーリー的な構成なのだが。この作品、シリーズ2作に比べて断然文章が巧くなってて面白いぞ。
 真夏の早朝の池袋。狂言強盗の後に起こった、仲間割れによる殺人事件。ヤクザに脅されて犯人を捜し始める小峰。彼の本業である映画製作に絡んだ恐喝事件、明らかになった犯人、金を取り戻すための最後の賭け。ここまでの物語が335Pにぎっしりと、そしてスピーディーに描かれている。全てのエピソードに割かれたページ数も内容も丁度良く、テーマが多い割に飽きることがない。まぁ映画製作絡みの恐喝事件は、キングを登場させるだけの“つけたし”っぽいお話だけれども。
 カジノがテーマという事で、最後はルーレットの大勝負が仕掛けとなる。これはね…。ルーレットのルールや形状が多少なりとも分かってないと臨場感ゼロだろう。題名になっている「赤・黒」は、球の落ちる場所が赤か黒かを賭ける手法で倍率は2倍。1点賭けで戻ってくる金額は元金の36倍。それだけ覚えて、手に汗握るラストゲームの行く末を見守ろう。
  トリックにまみれた物語、カジノで身を滅ぼした男が這い上がってゆくクライム・サスペンス。話のネタは馳星周チックだが、相棒のサルが知性的でイイ味を出している。そこら辺が馳先生の物語と違うところ。ヤクザの種類も様々、それが池袋テイストなのかどうか分からないが、主人公にも知性の光が残っている分だけ救われる話だ。ま、最後の大勝負をルーレットでって辺りがちょっと強引だけれども。単なるノワール小説ではない、謎解きの楽しみも味わえる石田先生独特のストーリーだ。『IWGP』ファンなら必読、スマートな先生の知性あふれる物語を堪能しましょう!
ルージュ・ノワール 赤・黒 池袋ウエストゲートパーク外伝 ルージュ・ノワール 赤・黒 池袋ウエストゲートパーク外伝
石田 衣良 (2004/02/05)
徳間書店
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