HOT SHOT! book
月1ペースで読んでいる小説の読書感想文です。
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バスカヴィル家の犬/コナン・ドイル
ホームズ作品中最大にして最高傑作と言われる長編。今でも世界探偵小説のベスト10に入ると言われている傑作だけに、マジで面白かった。ホームズファンでなくても、充分に楽しめる作品である。犬種についての知識が多少あった方が、理解は早いかもしれないけれども。
目がらんらんと光り、全身を青い炎で包み、口から赤い炎を吐く猛犬。その正体は一体?先代当主の死の真相は?ホームズの元を訪れたヘンリー卿を尾行する人物は誰なのか?バスカヴィル家の裏手にある沼沢地をうろつく人物とは?バスカヴィル家の執事の不思議な行動の真意とは?先代当主が死亡した当日に密会の約束をしていた婦人とは一体どんな人物なのか?次から次へと提示される謎にもうムチュウ♪後半では思わず息をのむような事件も起こったりして、もう一時たらずとも目が離せない~!いや、ホントにこれは古典の枠を超えた傑作でしょう!
 上記の通り、次から次へと謎が出てくるがそれぞれは微妙なラインで事件に繋がっている。そのバランスが素晴らしい。齟齬もなく、矛盾もなく、嫌みもなく、全てが美しくまとまった物語だ。中盤はあまりホームズが登場しないのでファンとしては物足りないが、小説としてはそれで正解なのだ。ドイルのそういう所がまた好きなんだな~。自分の作った主人公の魅力に溺れないストーリーテラーとしての自信、みたいなものを感じる。最近の京極夏彦作品は主人公が勝手に動いちゃってる感があるからねぇ、初心忘れるべからずっていうのは大事だけれども実行するのはなかなか難しいものなのだろうなぁ。
 子供の頃この本を読んで私はとある物質の名前を初めて知って、その物質の特性というものもこの本から学んだ。今から思うとちょっぴり子供騙しな仕掛けかもしれないが、当時の私はあまりに斬新なアイディアに驚愕したものだ。何度も言うが、やっぱりホームズシリーズは子供の頃読んだ方が楽しい作品なのかもしれないなぁ。初めてホームズ作品を読む人には、是非とも本書をお薦めしたい。ホームズの魅力を堪能したい人にはちょっと物足りないと思うけどね。
バスカヴィル家の犬 バスカヴィル家の犬
延原 謙、コナン・ドイル 他 (1954/05)
新潮社
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テーマ:本の紹介 - ジャンル:小説・文学

シャーロック・ホームズの思い出/コナン・ドイル
『シャーロック・ホームズの冒険』に続いて発表された短編集。最後に収録されている『最後の事件』でホームズを行方不明にし、ホームズ物語に終止符を打った事で有名な作品集だ。しかしその後の読者からの反響に答え、8年後に発行された『バスカヴィル家の犬』でホームズは復活する。ホームズが何故生き返ったか、は『シャーロック・ホームズの帰還』に収録されている『空き家事件』で明らかにされるが、一瞬でもホームズがこの世を去る事になるこの短編集は、ホームズ物語の中で最も印象に残る作品と言っても良いだろう。
 本書に収録されている作品の中で注目すべきは『グロリア・スコット号』と『マスグレーヴ家の儀式』である。『グロリア…』はホームズが初めて探偵の仕事をした事件、『マスグレーヴ…』は探偵という職業について初めて扱った事件なのだ。『グロリア…』は学生時代に、同級生の父の死の真相を明らかにした事をホームズ自身が語るという物語。『マスグレーヴ…』はかつての同級生からの依頼で、彼の家に代々伝わる言い伝えの謎を解いた物語。『マスグレーブ…』の冒頭ではホームズが部屋の中で銃を撃ち、壁に弾痕でV.Rという文字を作ったというエピソードが紹介されている。このエピソードはファンの間でも有名で、ホームズの部屋を再現した博物館の壁にもV.Rの文字が描かれているらしい。この2作は、そういう意味でもファンの間では人気の高い作品なのだと言う。
 『白銀号事件』は失踪したサラブレッドにまつわる物語。『黄いろい顔』は妻の怪しげな行動の謎を解いて欲しいと依頼される物語。この二つは設定や結末がずさんで、あまり良く出来た作品ではない印象だ。『株式仲買店員』は『シャーロック・ホームズの冒険』に収録されている『赤髪組合』と似たような設定で奇抜なアイディアが面白い作品。『背の曲がった男』は現場に残された不思議な足跡から、誤認逮捕されている容疑者を救う。『入院患者』は開業医の出資者を巡る因縁の物語。『ギリシャ語通訳』は不思議な屋敷でギリシャ語の通訳をした男が事件に巻き込まれて行く物語。『海軍条約文書事件』はワトスンの幼なじみが機密文書を盗まれる事件。これは言葉の問題から違う人間が疑われるのがちょっと面白い。『最後の事件』はその名の通り、ホームズの最後を描いた物語。ラストの手紙がかなりグッとくる。彼が生き返ると知っていなかったら、かなりショックだっただろう。当時の読者の心情が偲ばれるなぁ。
 子供の頃読んで印象に残っていたのは『白銀号事件』の料理と『ギリシャ語通訳』のちょっとした仕掛けの話。『白銀号事件』では夕食にアヘンを混ぜて当直を眠らせる、というエピソードがあるのだが、その時の料理がマトンのカレー料理だった。私はこれを読んでマトンが羊だと言う事、マトンは匂いのある肉だと言う事、そしてアヘンには匂いがあるという事を初めて知った。そして『ギリシャ語通訳』では通訳をしている最中にこっそりと質問文を混ぜて、ギリシャ人から状況を聞き出すという設定に唸らされたのだった。今となって読んでみると、ギリシャ人は筆談だったというからちょっと無理がある設定だったかな、と思ったりもするけれど。そして忘れてならないのは『最後の事件』に登場するモリアーティ教授。彼はホームズの仇敵として有名だが、映画『ヤング・シャーロック ピラミッドの謎』のオチにも使われているのだ。スタッフロールの後に用意された短い映像を観た時の感動と言ったら!この粋な演出も、数あるホームズの思い出の中でも忘れられないエピソードの一つである。
シャーロック・ホームズの思い出 シャーロック・ホームズの思い出
延原 謙、コナン・ドイル 他 (1953/03)
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シャーロック・ホームズの冒険/コナン・ドイル
『四つの署名』を発表した後、「ストランド」誌で連載した短編をまとめた作品集。原書では12作品が収録されているが、この本には10篇しか収録されていない。ナニ~!?と思ったが、残りの2作品『技術者の親指』と『緑柱石の宝冠』は新潮文庫『シャーロック・ホームズの叡智』に収録されているのでホッと一安心。今になって全集を揃えるぞ!と暴挙に出たというのに未収録作品があったんじゃあ形にならないもんね。
 『ボヘミアの醜聞』『まだらの紐』あたりはトリック犯罪の名作として有名だが、私は違う意味で『ボヘミア…』が好きだ。探偵に私的感情は必要ないという朴念仁のホームズが、これに登場するアイリーン・アドラーという女性だけにはちょっと心が動かされてしまったようで愛らしいのだ。この作品を小学生の頃読んで、そんなホームズの秘められた想いにロマンスを感じたものだ。オトナになって読むと、よりその切なさが伝わってきてイイね。最後に彼女の写真を欲しいというあたりがかわいらしくていいではないか。
 『赤髪組合』は奇抜なアイディアが面白いが、犯人を断定する過程には少々不満が残る作品。『花婿失踪事件』は『まだらの紐』や『椈屋敷』と似たような設定で、財産を狙う義父が一計を講じる物語だ。『ボスコム谷の惨劇』は『オレンジの種5つ』同様、何ともやりきれない結末で終わる。『青いガーネット』はちょっぴりユーモラスな盗難事件を、『花嫁失踪事件』は戦争が招いた悲劇を描く。どれもホームズの魅力で彩られた傑作である。
 しかし有名な『まだらの紐』や『ボヘミアの醜聞』も、今となると結構無理のある作品だったのだな。当時の警察が無能なだけかもしれないが、現代だったら物語にもならないような事件ばかりである。ま、そこが古典の楽しいところでもあるのだけれども。短編なのでどれも濃厚なバックボーンがあるような物語ではないが、短編ならではのアイディア溢れる作品ばかりだ。私は「乞食は三日やったらやめらない」という話を『唇の捩れた男』を読んで学んだのだ。大人向けとは思わずに、子供の頃から親しむ文学として勧めたい作品だと私は思うよ。
シャーロック・ホームズの冒険 シャーロック・ホームズの冒険
延原 謙、コナン・ドイル 他 (1953/03)
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四つの署名/コナン・ドイル
シリーズ二作目である本作は、アメリカの雑誌で発表されたらしい。一作目『緋色の研究』から二年後の事である。これも前作同様、復讐がキーワード。発端は異国での出来事、父子二代に渡る復讐劇という設定も同じ。上記の通り発表した国が違うからプロットは似ててもいいと思ったのかどうかは知らないが、二作続けて読むとちょっと食傷気味だなぁ。いや、こちらの方がアクション要素が高くてハラハラしながら読んだけど。
 冒頭でホームズはいきなりコカインを吸い出す。ここで主人公像が一つ確立され、今後もその悪癖は続くのである。やはり改めてシリーズを1から読むと面白いなぁ、ワトスンの結婚のエピソードもこの作品で描かれている。前作で一緒に住む事になったばかりの二人なのに、もう別居なのね。シリーズ序盤からプチトラブルって感じ?
 依頼人と共に死体を発見したホームズは、警察に先駆けて独自の捜査を始める。四つの署名の謎やら犬を使った犯人探しやら、事件を追ううちに物語はテムズ河での船上戦へと発展してゆく…というお話。いやー、テムズ河での追跡劇はなかなかスリリングで面白かった。しかし当時の船の燃料は石炭だったのだね…。そりゃあまさに人力戦だったわけで、読んでる方も手に汗握る展開でしたわ。
 今回もホームズはキラリと光る嫌みで私を楽しませてくれる。初登場のジョーンズ警部が的外れな探索を続けている様を見ながら「ばかのくせにえらがる奴ほど始末の悪いものはない」とフランス語でつぶやくシーンなんか、あまりに意地悪で笑えるねぇ。そういう性格も結構好きだったりするんだけど。今回はインド王族の財宝を巡って様々な人の人生が狂わされていく複雑な物語。依頼人の女性と結婚する事になったワトスンもその一人かもね。解説にも書いてあるが、前作では左肩に銃創を負っていたはずのワトスンが本作からは脚を撃たれた事になっている。結婚時期も作品によって違った表記がされていたりするらしい。そこらへんがシャーロキアンのお楽しみってヤツらしく。私は物語に集中しちゃうとそういう細かい設定には興味がなくなってしまうのだけど、今後はちょっと気をつけながら読んで行こうかな。
四つの署名     新潮文庫 四つの署名 新潮文庫
延原 謙 (1953/12)
新潮社
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緋色の研究/コナン・ドイル
思わず“オトナ買い”してしまったホームズシリーズ全10冊。これは記念すべきホームズのデビュー作だ。世の中にシャーロキアンと呼ばれる熱狂的なファンは多いが、シリーズを一作目から順に読んでいくと、いくつかの矛盾が発見されたりして彼等はそれを楽しんでいると言う。私はそこまでのファンではないが、ホームズシリーズは私の金字塔的な作品だ。私は小学生の時にホームズシリーズを読んでハマり、推理小説を貪るように読むに至ったのだ。と言うわけで今回は彼等の進言に従い、全巻を発行順に読んで行こうと思う。これはドイルが開業医時代に書いたシリーズ一作目である。
 物語はワトスンが戦場で怪我を負ってロンドンに帰ってきたところから始まる。友人と街でバッタリ出会い、ルームメイトを探していると言ったところ紹介してもらったのがホームズという訳だ。今で言う変人であるホームズは、初見でワトスンの経歴を言い当てる。家の中で化学実験をするのが好き、趣味はバイオリン演奏。それも有名な曲は全く知らず、自分で作曲した曲を弾く。推理の種明かしを「あっけないものだ」と批判すると機嫌が悪くなる。「探偵はスゴイ」と誉めると顔を赤くして喜ぶ。180センチの長身痩躯、鋭い鉤鼻で目つきは鋭く、結構ハンサムであるらしい。そんでもって天才ならではの変人ぶり…とくれば、思い出すのは京極夏彦の妖怪シリーズに登場する榎木津礼二郎探偵である。言い回しこそ違うが、彼の原型はホームズと言っても良いのでは?そしてそんなエノさんを何故好きかと言ったら…やっぱりホームズが刷り込まれているのである。何と言っても私の小学生時代の理想の男性はシャーロック・ホームズだったんだもんね!
 第二の殺人が起こった後、警部たちが集まっているホームズの自宅に犯人が呼び出されて逮捕、事件の全容が語られる事となる。その物語はアメリカを舞台にした壮大な復讐劇で、当時(19世紀後半)のアメリカ事情が偲ばれる。巻頭にモルモン教に関する現在の状況についての断り文が掲載されているので、だいたいの想像はつくのだが。犯人の職業についても最初の事件現場の検分から分かってしまったのだけど、それは単にこの物語を記憶のどこかが覚えていただけなのかもしれないな。
 この本の初版は昭和28年という奥付を見てビックリ!平成7年に77刷で改版され、翻訳も新しくなったらしい。私が買ったのは平成15年2月の98刷である。ものすごいロングセラーだ。最初の翻訳者はもう亡くなったらしいが、翻訳者の印税も大したもんなんだろうなぁ…なんて下世話な事を考えてしまったわ。ホームズ作品全般を引用した解説は素晴らしかったが、書かれたのが1953年というのにもビックリだ。何と言っても19世紀後半の作品である。これから古典の探偵小説を読みたいという人にはお薦めのホームズシリーズだが、今時の探偵小説に慣れちゃった人にはキツいでしょうね…。
緋色の研究 緋色の研究
延原 謙、コナン・ドイル 他 (1953/05)
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