HOT SHOT! book
月1ペースで読んでいる小説の読書感想文です。
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図書館警察/スティーヴン・キング
気になっていた『図書館警察』の原題は『The Library Policeman』だった。これはね~、原題通りに『図書館警官』の方が内容にピッタリだったかも、ちょっと語感が悪くてイヤだけれども。この図書館警官が、サムの過去に大きく関わっているのだ。この辺が、いかにもキングっぽい設定。私の大好きなトマス・H・クックの『夜の記憶』にも似ていて、ちょっと心が痛む物語だ。
 ただし、これはミステリではなくてホラー小説なので。ラストはものすごい闘いになってくるのである。登場人物が抱えるトラウマがラストバトルに繋がってゆく設定は、キングの大長編『IT』に似ているかも。そしてここにも思わず涙が出ちゃうような物語がひっそりと隠されていて。不治の病に冒された子供に、メジャーリーガーのイラストと本物のサインをもらってくる話には感動で胸がきゅんとしたよ。そこがキングなんだなぁ、『図書館警察』はかなり気に入りましたわ。
 もう一つの中編『サン・ドッグ』は、『ニードフル・シングス』の前座的な物語。『ニードフル…』でゴーントが店を開いた場所の元の主であるポップ・メリルが登場して、何故ポップの店がなくなってしまったのか、が分かる物語となっている。また『ニードフル…』の副主人公であるエース・メリルは、ポップの甥という設定。これを読んだら『ニードフル…』が読みたくなる事必至である。
 この本の大きな特徴は、巻末に訳者と装丁者による解説座談会が収録されている事。これはキングファンなら必読の企画だ。『ランゴリアーズ』でも書いたが、この本と『ランゴリアーズ』を合わせると『Four Past Midnight』一冊分になる。両方の本を題材にしているので、座談会は先に『ランゴリアーズ』を読んだ方が楽しめるだろう。どちらも超自然現象を扱った、いかにもキングらしい作品。キングファンなら絶対損はしない、いやむしろお気に入りの一冊になる事間違いなしの作品だ。この後もちろん『ニードフル・シングス』を再読しますよ!
図書館警察―Four Past Midnight〈2〉 図書館警察―Four Past Midnight〈2〉
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クロスファイア/宮部みゆき
宮部みゆき初期の代表作がやっと文庫化された。ずっと気になっていた作品であるのだが、超能力モノはちょっとなぁ…。彼女の超能力モノの中で『魔術はささやく』は結構好きな作品なのだが、『龍は眠る』はあらすじ読んだだけで買う気になれなかったもんね。これも本屋でウンウン悩んだ挙げ句、とりあえず上巻だけ買ってみた。思っていたよりも面白かったので結局下巻も買ったのだが、下巻からの展開はどーなの?って感じ。やっぱり私は超能力モノはダメなのかも!
 最初は、超能力を持ってしまった人間の苦しみや悲しみ、みたいなものが人間くさくて良いなと思った。しかし相変わらず宮部作品の主人公たちは“やりすぎクン”である。アンタそこまでやらなくても…という派手な描写が続く。と、リアリティがなくなってくるのよね~。特に題材が超能力なのだから、“何でもアリ”である。それでもイヤがらずに読んでいたのは、淳子の根底にある悲しみに同情しちゃったから。でも、下巻に入ると展開はますます“あっちの方向”へ。う~む、これが映画化までされるような物語なのか?『魔術はささやく』の方がミステリしててイイと思うんだけどなぁ。
 超能力を殺人の手口に使う淳子と、事件を追う刑事の話が交錯しながら物語は進む。そこら辺がミステリ仕立てではあるのだが、純粋なミステリ小説としてはあまり出来がよろしくない。特に倉田かおりという新たな念力放火能力を持つ少女が出てきたあたりから、ぐちゃぐちゃな展開になってくる。淳子、石津、倉田と、物語のキーマンがゾロゾロ出てきて収拾がつかなくなってる感があるのだ。やっぱりガーディアンという組織は、いけなかったね…。思想は理解できるけど、警察に圧力かける程の力を持ったアンダーグラウンドな組織ってあたりがイカン。アメリカが舞台の物語なら「そんなのもあるかもね~」って感じですませられたかもしれないけれど。
 終盤は、淳子のラブストーリーと化している。ラストはハッキリ言ってチープなのだが、相手の男の子が好みだったのでまぁ良しとするか。彼女の作品には珍しい、クールで上品な金持ちの20代男性。いかにもなキャラなので、あざとさを感じてちょっぴり不快ではあるが。作者が現代社会に対して言いたい事を全て詰め込んじゃいました!みたいな出来の作品。お陰で物語の軸がズレてしまい、結局何が言いたかったのかよく分からない結果となってしまっている。彼女が言いたい事はよーく理解できるんだけどね、物語としてそれを読まされるのはどうかなぁと。扱うテーマを2つくらいに絞っていれば、かなりイイ出来の作品だったのではないでしょうか。スティーブン・キングの『ファイアスターター』へのオマージュとも言える作品。でも天才・キングが書く物語と比べちゃあ、可哀想だよね。
クロスファイア(上) クロスファイア(上)
宮部 みゆき (2002/09/10)
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クロスファイア(下) クロスファイア(下)
宮部 みゆき (2002/09/10)
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