HOT SHOT! book
月1ペースで読んでいる小説の読書感想文です。
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暗黒の塔2-ザ・スリー/スティーヴン・キング
すっかり気に入ってしまったキングの「暗黒の塔シリーズ」。しかし今回はかなりファンタジー入った設定。かなりデタラメ。それじゃあまるで「どこでもドア」じゃん!と何度つっこみたくなった事か。まぁ長い物語の中、こんな設定の時もあるよ。と、ファンタジー嫌いな私にしては寛大な気持ちになれたのは、もちろんこれがキング作品だからである。
 物語はいきなりガンスリンガーが右手の人差し指と中指をウミザリガニの化け物に食われてしまうシーンから始まる。無敵であるはずの主人公がいきなりハンディキャップを追ってどーする!というスタートだが、これが現実世界と行き来する時のちょっとしたフックになるのだ。しかしこのウミザリガニの化け物が不思議と可愛くて。ちょっとした知能を持つらしく、「ダダ・チャム?」などとしゃべりながら近づいてくるのだ。この訳わからない言葉が、不気味でありながらどこか愛嬌があってカワイイ。どことなく『デスペレーション』の登場人物がしゃべる「タック!」という言葉に通じる響きで気になるし。もしかしたら『デスペレーション』もこのシリーズに関係ある作品なのでは?なんて想像が膨らむね。
 今回は、瀕死の重傷を負ったガンスリンガーが不思議な扉をくぐりながら仲間を集めてゆく物語。集められた仲間には、一体どのような共通点があるのだろうか。それは今作では明らかにされていない。ただ黒衣の男の占い通りの人物たちが集合してゆくのだ。その仲間狩りの方法がかなり強引なのだが、まぁそれは置いといて。相変わらずキッチリ描き込まれたキャラクター設定で、現実世界で起こる現代の銃撃戦のシーンも臨場感に溢れている。そういう筆致の作品だからこそ、デタラメな設定も許せる気になれたのかも。
 前作の解説同様、今作の巻末もかなり出来がイイ。解説を読んでるとキングの『不眠症』が読みたくなるのだが、この作品はまだ文庫化されていないのだ。『暗黒の塔』と深い繋がりを持つ『不眠症』は、タイトルもかなりイイ感じだし。今までのキング作品とは明らかに趣が違う「暗黒の塔」シリーズ。それでも“騙されたと思って”食べたら案外おいしかった時と同じような感覚で惹きつけられてしまうのだ。次作は今回ガンスリンガーが取った行動で起こったタイム・パラドックスの渦に巻き込まれてゆく話。何となく恋の三角関係の予感も…?それは読んでからのお楽しみという事で!
ザ・スリー―暗黒の塔〈2〉 ザ・スリー―暗黒の塔〈2〉
スティーヴン キング (1999/05)
角川書店
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骸骨乗組員/スティーヴン・キング
『暗黒の塔 ガンスリンガー』の解説で引用されていた『霧』が読みたくて、本棚から引っ張り出して読み直してみた。発行日は1986年だから、16年も前だ。この頃私はキングにめちゃくちゃハマっていて、毎日のように文庫本を買っていた。その頃の本なので、本棚から出してきたはいいがカバーもしおりもなくてボロボロ。まぁそんな本でも逆に、読み込んだんだなあっていう愛情がわいてきたりするんだけど。
 『霧』を初めて読んだ時はあまりにデタラメな設定についていけず、私の評価は低かった。当時の私は若かったせいか、ご都合主義やデタラメなものというのを受け入れる度量がなかったのだ。小学生の頃に江戸川乱歩を読んだ時もそうだった。『霧』にも、乱歩と同じような体験がある。昔、キングファンの同僚と話をしていた時の事。彼はキングの真骨頂は『霧』だと言った。デタラメな生き物が出てくる話はリアリティがなくて恐怖を感じない、と反論する私に彼はこう言ったのだ。「あれが、いいんだ」。それ以来封印していた『霧』を改めて読む。彼が「いい」と言った世界を、今の私は理解できるだろうか!?
 その他の短編は、『握手しない男』以外はフツーの出来。目に見えない恐怖や、子供の頃に「こんな事があったら怖いだろうなぁ」と何となく感じていた世界を描いたものが多い。『握手しない男』は『痩せゆく男』を彷彿とさせるストーリーで、ふんわりとした感じのラストがイイ。しかし、この本の読みどころはやっぱり中編の『霧』だろう。ある日突然町にやってきた白い霧。霧の中に発生した不気味な生物に襲われる人間達。スーパーマーケットに閉じこめられた人たちの人間関係は、徐々にバランスを崩してゆく。不気味な生物の恐怖、群衆となった人間心理の恐怖。原因も結果もハッキリしない結末でありながら、舞台設定とその描写が見事な作品だった。傑作である。
 『霧』を改めて読んで、心から面白い!と思えた自分に驚いた。そして何だか嬉しかった。映像が目に浮かぶ緻密な描写がキングの魅力だが、だからこそわざわざ映画化する必要はないんだろうなと改めて思った。それくらい、これは視覚的な作品なのだ。この物語に出てくる生き物を、読んだ人みんなで描いてみたいなぁ。多分みんな同じ絵を描くんだろうと思う。でもやっぱり、この作品は映像で見てみたいと思ってしまう。最近のキングに失われてしまった、いかにもキング!な作品だ。これがキングの真骨頂だという気持ち、よーく理解できましたよ。
スケルトン・クルー〈1〉骸骨乗組員 スケルトン・クルー〈1〉骸骨乗組員
スティーヴン キング、スティーヴン キング 他 (1988/05)
扶桑社
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暗黒の塔1-ガンスリンガー/スティーヴン・キング
 『アトランティスのこころ』を読んだら、ふつふつと『暗黒の塔」(ダークタワー)』シリーズが読みたくなった。思えば『ローズマダー』を読んだ時も、『ダークタワー』の匂いを感じていたのだ。今まで何故読んでなかったのか不思議なくらいだ。て言うか、文庫本が出てる事を古本屋で見つけるまで知らなかったんだけど。
 物語はガンスリンガーが黒衣の男を追って旅をしている、というシーンから始まる。何故、とか黒衣の男って?と言った疑問は一切説明されないまま話が進む。でも、その世界にぐいぐい引き込まれてしまうのだ。それがキングマジックなのよね~。私はファンタジーなんて大嫌いなのに。魔法というデタラメな世界でも、それをご都合主義だと思わせない設定が素晴らしいのだ。
 この本のお薦めは、本文の後に収録されている解説である。ホントに、こういう内容の説明が欲しかったんだよぉ~!という、あとがき好きな私を大満足させる素晴らしい内容だった。最近やっと分かったのだが、「あとがき」と「解説」は違うのだね。「あとがき」は主観が入っていたりあらすじを紹介するだけの文章だったりで、あまり面白くない。あまりにくだらない「あとがき」を読むと、本を買った事を後悔する位ガッカリする。これからは「解説」の時代だ!主観が入った「あとがき」なんかいらない!と、私は思う訳なのだが、一般の読者はどうなんでしょうね?
 キング本人が「この物語が完成するまでには300年かかる」と言っている程、壮大な物語の序章。しかもこの物語の登場人物は、その他のキング作品にも深い関わりを持っている。やはり『アトランティスのこころ』を読む前に本作を読んでおくべきだった、と激しく後悔。物語の中で語られる、ガンスリンガーの過去にイマジネーションが膨らむ。中世の城、魔術師の陰謀。ガンスリンガーことローランドは、『ドラゴンの眼』の主人公と同じだと解説では言っている。これは…ファンタジー嫌いとか言ってる場合じゃないかも。もちろん既刊の『暗黒の塔2 ザ・スリー』も買いました。破滅後の荒涼とした世界で繰り広げられる切ない物語。例えファンタジー嫌いでも、キングファンなら読んどけ!の一冊だ。 
ガンスリンガー―暗黒の塔〈1〉 ガンスリンガー―暗黒の塔〈1〉
スティーヴン キング (1998/09)
角川書店
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