HOT SHOT! book
月1ペースで読んでいる小説の読書感想文です。
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アトランティスのこころ/スティーブン・キング
映画化もされたキングの最新作。これを読むなら、先に「暗黒の塔」(ダークタワー)シリーズ」を読んでおいた方が良いのかもしれない。私はそのシリーズをまだ読んでいないのだが、設定などが繋がっているような気がするのだ。それを読んでおいた方が、ラストのオチにも納得できるのかもしれない…私はファンタジー入っててちょっと苦手だったけれども。
 物語は大きく五つのパートに分かれている。一部はボビーの少年時代で、映画もここがメインになっているらしい。二部はそれから六年後、大学寮でハーツというトランプゲームにハマっていくピートが語る、キャロルとの出会いとヴェトナム戦争について。三部はさらに17年後、ヴェトナム戦争に従事したウィリーが戦中に再会したサリーや幼なじみのキャロルにした事を悔いながら生きている様を描く。四部は更に17年後の1999年、戦争から帰ってきたサリーが参列した葬儀で回想するヴェトナム戦争の悲劇を、そして五部はそれらの物語をまとめる完結編と言った造りになっている。
 原題は『Hearts In Atlantis』だ。このHeartsはトランプゲームのハーツにかけているんじゃないかと思うのだが、ハーツの綴りが分からなくて残念。このハーツというゲームは、絶妙なバランスで全ての物語に関わってくる。1966年当時、ヴェトナム戦争が若者に与えた影響とは何だったのか。反戦の立場と戦争に従事した立場から見たヴェトナム戦争がリアルに描かれている。これはアメリカ人が読んだらさぞかし心を打たれるのだろうが…正直私にはピンと来ませんでした、スミマセン。二部から四部までは正直言ってひたすら「長いなぁ」という感じだったのだが、ここの物語がなければ五部の感動はないのだ。下巻(二部~五部)の序盤は物語の背景もガラっと変わってちょっとツラいかもしれないけど、最後のちょっとしたギミックのために頑張って読みましょうね。
 映画は一部と五部で構成されているらしい。まぁ物語のおいしいとこ取りだね。なぜ彼らはそこまでやらなければならなかったのか、ヴェトナム帰りの兵士が今どのような状況に置かれているのか。その背景を知ってないとあまり感情移入できない。二度と戻らない過去、胸が疼くような切ない想い出。それは共有する過去がないと理解するのは難しいのではないかと思った。『刑務所のリタ・ヘイワース』」(映画題「ショーシャンクの空に」)ほどの感動を求めてはいけませんね。
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猟犬クラブ/ピーター・ラヴゼイ
シリーズ四作目というのは、あとがきで初めて知った。何の知識もなく、ただ何となくタイトルとカバーのあらすじに惹かれて衝動買いした一冊だったのだ。あとがきによると、本書はシリーズの中でも異色の一冊らしい。パロディ満載でライトな仕上がりらしいが、ミステリの名作を絡めたジョークはなかなか楽しかった。何と言ってもキーワードは「ミステリ愛好家の集い」だからね。
 猟犬クラブのメンバーは皆個性的で面白い。しかも全員ミステリの好みが違う。作品について語り合うシーンはクリスティやディクソン・カーなどの古典ミステリからエルロイなどのノワール系までのオンパレードで、ミステリの名作を読んだ事のある人ならくすりとするシーンが満載だ。『薔薇の名前』オタクっていうのも、いかにも海外~って感じ。小坊主が出てくる僧院モノなんて、いかにもな設定だもんねぇ。
 最初の殺人から徐々にメンバーがお互いを疑い出し、ついには連続殺人事件にまで発展していくのだが、物語がバタバタしてるうちに終わっちゃったかなって感じ。しかしキャラクター設定がしっかりしているので、混乱する事はなかった。こんなにキャラクターが生きている海外モノは久しぶりのような気がする。初めての作家だったけど、すんなり読めましたラヴゼイ。シリーズの前作はタッチが違うようなので、一作目から読んでみようかな。
 この本を読むと、昔のミステリが読みたくなる事請け合い。特にディクソン・カー。私は彼の作品をあまり読んだ記憶がないので、是非とも『三つの棺』は読んでみたいと思う。クリスティはほぼ全作読んだが、『なぜエバンスに頼まなかったのか?』は読み直したいなぁ。そしてこの間『シャーロック・ホームズの冒険』を読んでみたので、ホームズものも改めて全作読み返したいと思う。いい加減訳が分かりづらいので、文庫を買い直そうと思っているんだけどね。
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ピーター ラヴゼイ (2001/06)
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天使の囀り/貴志祐介
 『十三番目の人格-ISOLA』以来、久しぶりの貴志祐介。何となく軽い日本の小説を読みたいな、と本屋を物色している時に見つけたのが本書だ。ずっと読みたいと思っていたのに、何となく機会を逸していたので迷わず購入。初版は平成12年12月だから、1年半も前に文庫化されていたのだが、ずっと前に読んだ『クリムゾンの迷宮』よりも前に書かれた作品だとは思わなかったなぁ。はっきり言って『クリムゾン…』よりも断然面白かった!これぞ日本のホラー!って感じで、大満足の一冊だ。
 まず物語は、高梨が早苗に送ったメールの文章から始まる。これが結構新鮮。メールで近況を報告しながら、状況を読者にも説明しているのだ。ここでの登場人物が後に重大な意味を持ってくるのだが、高梨の視線から彼らの様子が描かれているので公平感がある。ま、一週間に一回くらいのメール交換とは言え、こんなに長いメールを受け取っても読むの大変だけどねぇ。
 物語は早苗と、信一という男性の二人の周りに起こった出来事が同時進行で進んでいく。信一は美少女ゲームにハマっているフリーター。彼がネットでとあるサイトのチャットに参加した事から、自己啓発セミナーに引きずり込まれていく。早苗は高梨が自殺した事を機に、新聞記者や学者と協力しながらアマゾン調査隊のメンバーの自殺事件を追うのだ。それが最終的にどう結びついていくのか…。ここら辺の描写は、かなり怖かった。『黒い家』とは違う、生々しくてグロテスクなシーン。私は、心理的な恐怖よりもこういうドロドロのが好みだけど♪
 しかし自殺者の身元を調べていくシーンや、学者が高梨に面影が似ているという設定がちょっとあざとかったかなって感じ。肝心のモノの正体が解明されるのを読者は心待ちにしているのに、回り道が多すぎてイライラするのだ。しかも科学系の専門用語が多くて説明的。まぁそんな事も気にならない程、プロットがしっかりしていて面白い話だったからいいけどさ。本書の解説もお薦めの一つ。何と『リング』の瀬名秀明が楽しい解説を寄せてくれているのだ、一粒で二倍おいしいって感じ。本書は絶対に損はさせません!「こんな話ある訳ないじゃん」と思わずに、良質のエンタテイメント小説を右脳で楽しめば良いのではないでしょうか。
天使の囀り 天使の囀り
貴志 祐介 (2000/12)
角川書店
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