HOT SHOT! book
月1ペースで読んでいる小説の読書感想文です。
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今昔続百鬼-雲/京極夏彦
久々の京極作品。しかも妖怪シリーズの番外編。私の大好きなエノさんは登場しないけど、「黒衣の男」は最後に出演するぞ。でも本編(妖怪シリーズ)に絡んだ話はほとんどないので期待してはいけない。それでも本編とは違った魅力で楽しめる事は間違いないだろう。
 何しろセンセイのオタクぶりがおかしくて。電車の中で笑いをこらえるのに必死だった。特に相手の名前がわからない時に「ぬ」と言ってしまうというエピソードが最高!日本人作家が作中で描く笑いはあざとくて性に合わないと思っていたのだが、これは笑った。映像が目に浮かぶような描写、絶妙な笑いの間。 豊富な知識と人物描写に優れた京極作品だからこそ、その笑いのセンスが生きてくるのだろう。ホントに見習って欲しいよ、“不思議の国のA.A”センセイ!笑いってのは知的レベルの高い芸術なんだからねー。
 この中には4本の短編が収録されているが、多々良センセイが登場する限り、それらは全て妖怪に結びつくのである。そのあたりは、語り部が違うだけで妖怪シリーズと一緒だ。戦後すぐという時代背景もあるが、日本にはまだまだこんな田舎があるのだなぁと思うような地域色豊かなエピソードも満載。そこがまた笑いのポイントだったりするんだけども。
 しかしこの本の挿絵はいただけない。絶対にいただけないぞ!これまでの挿絵は文庫版には収録されないのでわざわざノベルスをとってあるくらい好きだったのに、今回のテイストは一体…。あれが京極先生のチョイスだったとしたら、かなり幻滅だぞ。第一、多々良センセイの絵なんか作中の描写と全然違うじゃん!イラストの多々良センセイを見た時、あまりに私の想像と違ったので読解力がなくなったのかとドキドキしちゃったよ。まぁこの作品はめちゃくちゃ面白くて毎日楽しみに読ませてもらったので大満足なんですけど。やっぱ本編の新作が読みたいな~。私のエノさんが活躍する物語も、楽しみにしてますわ京極先生♪
今昔続百鬼―雲 今昔続百鬼―雲
京極 夏彦 (2001/11)
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テーマ:京極夏彦 - ジャンル:小説・文学

孤独の歌声/天童荒太
昨年の「年末年始に読む本」キャンペーン対象本だったので新刊かと思ったら、初刷は97年だった。道理であとがきとか著者のプロフィールとか読んでも『永遠の仔』が出てこない訳だわ。天童荒太と言えば『永遠の仔』!そして所沢在住!今回初めてカバーで写真を見たけど、スゴイ顔した人だなぁ~イメージと違っててビックリ。いや、悪い意味じゃないんですよ決して。
 これは今はなき「日本推理サスペンス大賞」で優秀作に選ばれた作品だそうだ。新人が書いたとは思えない、構成のしっかりした作品だ。それぞれの登場人物が抱えるトラウマが「孤独」というキーワードで切なく描かれている。この人はいつも人の心の一番悲しい部分を抉るような物語を書く。そうならざるを得なかった自分、そうしなければいけなかった自分という言い訳の出来ない、逃げられない状況に登場人物を追い込んでいくのだ。今回は最後にそれが解放されるので、救われた。過去を消す事はできないけれど、そこから抜ける事はできるんだなあと思ったよ。
 物語はちょっと強引でちょっと偶然すぎて、かなりフィクション。特に歌手志望の潤平という設定が、ちょっとやりすぎかなーって感じだ。しかし彼がいなければ、『孤独の歌声』というタイトルはありえない。また彼が解放されなければ、物語は完結しない。彼はこの物語の象徴みたいなものなんだけど、ちょっと頑張り過ぎちゃったね。女性刑事に抱く想いがもうちょっとシンプルだったら良かったのになぁ、なんて思ったりしたけど、あれはあれで一種の切なさなのかも。現実だったら赤面モノのセリフが私としては違和感あったんだけどね。
 トマス・ハリスっぽいサイコミステリ。『羊たちの沈黙』に似てる。親が子供にどのような影響を与えるのか、を実感する恐ろしい物語だ。10代だって心はまだまだ子供なんだ。私はオトナとして、子供の心を歪めるような事は決してしないと心に誓ったよ。自分の子供を虐待するような親に、是非とも読んで欲しいものだ。子供にとって親とはどういう存在であるか、考えずにはいられないはずだ。
孤独の歌声 孤独の歌声
天童 荒太 (1997/02)
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テーマ:本の紹介 - ジャンル:小説・文学

沈まぬ太陽/山崎豊子
ハードカバーで200万部という驚異的なセールスを記録した大ベストセラー作品の、待ちに待った文庫化。全5巻を夢中になって読んだ。そして色んな事を考えさせられた。サラリーマンとは?愛社精神とは?公心と私心とは?そして命の値段とは?なんて事も。彼の生き方を不器用と片づけてしまうのは簡単だ。彼がそこまでして筋を貫き通す意味は何だったのか。サラリーマンならじっくり考えたいテーマである。
 何しろ主人公を人間とも思わない会社の仕打ちが酷すぎる。小説なんだからと思いながら読んでいても、あまりの不条理に信じられないという気持ちと怒りがふつふつと沸いてくる。しかしこれは作者が綿密な取材をした上で、事実を再構築した話だと聞いて驚いた。政治家や外部から迎えられる会長など、実在の人物を容易に想像できる登場人物もいたが、まさか主人公・恩地に実在のモデルがいるとは思わなかったのだ。主人公のモデルとなった小倉さんは、写真で見る限り上品で温厚なおじいさんという感じだった。そしてその笑顔は純粋で美しく、小説の凄絶さをより際だたせるのだ。
 「アフリカ編」は恩地の不器用さにちょっとイライラし、「御巣鷹山編」は事故の壮絶な描写と遺族の悲しみに涙し、「会長室編」はモラルの欠如した大企業の裏事情にウンザリしながら読んだ。そして迎えた意外なラスト。誰もがこうであって欲しくないと思ったのではないだろうか。国見会長があの様な形で辞任したのにも、かなりショック。これは果たして事実だったのか、今になって当時のニュースを読み返したい気持ちでいっぱいである。
 本書が発表された当時、週刊朝日に批判記事が掲載された。この小説に書かれている事が事実かどうかは分からない。しかし著者は一方からの情報収集ではなく、いろいろな方面からきめ細かく取材をしてこの本を書いたと言う。いづれにしてもこれは小説であって、ノンフィクションではない。登場人物のうち実在の人物は誰かを想像しながら読める、これがフィクションの楽しみなのである。とにかくサラリーマンなら、色んな事を考えてしまう事請け合い。これを読んだ人に「自分ならどの登場人物になりたいか」と聞いてみたいものだ。労組がある会社に入った事のない私にはあのような会社の仕組みは理解できないが、やっぱ行天が一番「上手な生き方をした社会人」なんだろうな。私は仕事するなら大企業じゃない方が好きな事できるし気楽でいいなぁ~、なんて思っちゃいましたけど。
沈まぬ太陽〈1〉アフリカ篇(上) 沈まぬ太陽〈1〉アフリカ篇(上)
山崎 豊子 (2001/11)
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沈まぬ太陽〈2〉アフリカ篇(下) 沈まぬ太陽〈2〉アフリカ篇(下)
山崎 豊子 (2001/11)
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沈まぬ太陽〈3〉御巣鷹山篇 沈まぬ太陽〈3〉御巣鷹山篇
山崎 豊子 (2001/12)
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沈まぬ太陽〈4〉会長室篇(上) 沈まぬ太陽〈4〉会長室篇(上)
山崎 豊子 (2001/12)
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沈まぬ太陽〈5〉会長室篇(下) 沈まぬ太陽〈5〉会長室篇(下)
山崎 豊子 (2001/12)
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テーマ:本の紹介 - ジャンル:小説・文学

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