HOT SHOT! book
月1ペースで読んでいる小説の読書感想文です。
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自殺の丘/ジェイムス・エルロイ
ロイド・ホプキンズ刑事シリーズ三部作のラスト。前作のラストで虚偽の証言をしたため、ついに彼は警官としての最後通告を出される。そりゃそうだわ、あれだけ破天荒な捜査してれば目もつけられるわな。やる事やってるからいいじゃんか、では通用しないのが社会人である。ま、フィクションだからそれくらいのおてんばぶりで丁度いいのかもしれないけど。頭脳明晰なヤツほどやっかいだよね、良くも悪くも。
 このシリーズは回が進むにつれいろんな人の思惑がごちゃまぜになってきて、ロイドが何をしたいのかが段々わからなくなってくる。複雑になった分、最後の爽快感が損なわれているんだよね、最初の『血まみれの月』がものすごく叙情的で美しかっただけにちょっと残念だ。今回は特に何でロイドがあんな片づけ方をしたのかイマイチ分からなくて、何度も前の部分を読み返してしまったわ。犯人も終いにはコワレてっちゃって、最初の知能ぶりも台無しな設定。キーマンが限定されちゃってたから、犯人が割れるのも時間の問題だったし。前作ほど先読みする犯人でも興ざめだけど、シリーズラストだったらもうちょっと知的な犯人と対決して欲しかったな。
 一作目で明かされた15年前の殺人事件が、今回のラストに大きな影を落としている。シリーズが進むにつれ彼のトラウマってどうでも良くなってきているね。女好きっていうエピソードも、ラストでは全く登場しないし。そこら辺がシリーズとして物足りないところだ。作品ごとに主人公像が違うので、感情移入できないんだよなー。前も言ったけど、外見が好みじゃないのも原因の一つだと思うが。
 私はやっぱりどことなく切ない余韻を残すようなミステリが好きだ。考えてみればエルロイって、警察の不祥事を扱った作品が多い作家である。言うほど好きじゃなかったのかもしれないなあ。今回の作品では、もう一人の敵が抱える殺人事件の記憶がちょっぴり切ないエピソードになっている。ま、あれを切ないと思うかどうかは読み手のセンスだと思うけど…。そう言えばこの作品は、スティーヴン・ハンターのシリーズにちょっと似てる。ハンターの方がシリーズものとして完成されていたけれども。もうちょっと時間をおいてから読み返すと、また印象が違うかもしれない。一応、我が家の書庫にストックしておくことにしよう。読む時はシリーズの最初から、ね。
自殺の丘 自殺の丘
ジェイムズ・エルロイ、ジェイムズ エルロイ 他 (1990/12)
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ホプキンズの夜/ジェイムス・エルロイ
『血まみれの月』に続くロイド・ホプキンズ刑事シリーズの第二弾。相変わらず破天荒な仕事ぶりで周囲の反感をかっているロイド。女好きも、相変わらず。違法行為炸裂の捜査で見事に事件を解決した彼だが、今回はちょっとやりすぎかな~って感じ。彼のトラウマに触れるような現象もなかったのにね!?あとがきを読まなかったら、“大きな音に弱い”という彼のトラウマなんて忘れてしまうところだったわ。
 彼は背が高くて体格がいいハンサムという設定である。だから女にもモテる、と言うのだがそれがどうも想像できなくて困るんだよなぁ。体格のいいハンサムって、俳優で言うとどんなタイプなんだろう…。少なくとも私の好みじゃないから、思いつきもしないや。
 これも前作同様、犯人と刑事の話が同時進行しているスタイルである。今回の敵もかなりの知能犯。ロイドがいつその策略に気づくのか、ハラハラしながら読んだ。前作よりもかなり近くにいる人物だったし、かなり彼に騙されていたからね。その辺の判断力が、魅力的な女性の出現で鈍ってしまうあたりも相変わらずだ。やれやれ。どうやら私は彼のことがあんまり好きじゃないようだわ。それはやっぱり彼の見た目が想像できないせいのような気がするんだけど…。
 今回登場する絶世の美女は、思った通りしたたかな悪女だった。やっぱ美女はそうじゃなくちゃね!そのしたたかぶりが馳作品の女性みたいに行き過ぎだと冷めちゃうんだけど、リンダはラストでドカーンと悪女ぶりを発揮してくれたので気持ち良かった。でももうちょっといろいろ仕掛けてくれた方が楽しかったかな。それまでがのらりくらりとしているので、物足りない感じだ。て言うか、今回は全体的に物足りない造りだった。仕掛け、策略、登場人物の過去などの全てのファクトが中途半端。ロイドシリーズは次作の『自殺の丘』で完結するらしい。もちろん、現在進行形で読んでいますよ。その次の新作『キラー・オン・ザ・ロード』も買いましたよ。しばらくはエルロイ作品にじっくりつきあっちゃおうかな。意外と読むのに時間かかるんだけどね。
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夏草の記憶/トマス・H・クック
クックの記憶三部作のラスト。この作品が翻訳された時は『緋色の記憶』『死の記憶』と本書で三部作だったのだが、その後『夜の記憶』が発表されていているので四部作って事になるのかもしれないな。
 この本のお薦めは、ラストの解説。あとがきと解説ってのはこんな風に違うのか、と実感できる程すばらしい出来だった。彼の作品テーマについて、目の前で母親を殺された体験を持つというジェイムス・エルロイが引用されていた。エルロイと彼は一つ違いで、スティーヴン・キングはクックと同い年らしい。三人とも大好きな作家である、1948年生まれに縁を感じるわ。
 物語は現在と30年前、ベンがハイスクールの生徒だった頃の回想が交差しながら進んでいく。アラバマ州にあるチョクトーという小さな町に転校してきたケリー。ハイスクールで優等生だったベンは、彼女に恋するようになる。しっかし優等生ってのはプライド高くて恋には奥手で、読んでて本当にイライラした。本人は自分の気持ちがバレないようにしているつもりだけど、周りにはバレバレだ。そして彼は彼女に振り向いて欲しいがために、様々な妄想を始める。彼女が危機に陥った時に助けてあげれば自分を好きになってくれるかもしれない、とか考える男なんてイヤだよう。ついに彼は妄想極まるあまり、自分を好きになってくれないなら彼女なんか死んでしまえばいい、なんて事まで考え始める。お勉強しか能のない優等生は思い詰めると恐ろしいよ。やっぱ人生は何事もハーフ&ハーフでないとね。
 今回は、文章に騙された。ふと思い出されるシーンごとのセリフ、シチュエーション、全てに騙された。物事をこうだ!と思ってしまうと、全ての状況がそのように見えてしまうものだ。それって結構コワいなあと思う。そしてその辺を確信犯でやってるから、後で仕掛けが分かるとメチャクチャ悔しかったりして。そんな事する必要あるのかな、と思ったけど、だからこそベンの苦しみが際立ってくるのだ。相変わらずイヤらしい仕掛けしてくれるわ。「生あるものの芯に潜む悪意の源」、それは自分がかわいい人間にこそ身近に感じられるんじゃないかと思う。悪意なんて、持つだけ虚しいものだ。そう思える人間でありたいと私は思うよ。
夏草の記憶 夏草の記憶
トマス・H. クック (1999/09)
文藝春秋
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