HOT SHOT! book
月1ペースで読んでいる小説の読書感想文です。
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審問/パトリシア・コーンウェル
前作『警告』で危うく命を落とすところだった主人公のケイ・スカーペッタ。物語は事件の直後、現場である彼女の家で警察が調査をしているシーンから始まる。しかし前作を読んでから既に一年弱も経過しているので、いろいろな状況を思い出すのが大変だった。そうそう、犯人は身体に特徴のある人物だったんだ。彼はフランスのマフィアの一員で、彼の兄弟と思われる死体がアメリカのリッチモンド港で発見されたのが発端だったね。ケイの家に押し入って彼女を殺害しようとしたんだけど、彼女の姪であるルーシーが現れてケイは一命をとりとめた…らしい。いかん、完璧に忘れているわ。
 シリーズ第11作目、初の上下巻!という事で今回はこれまでの登場人物がゾロゾロ出てくる。しかし私は一度読んだ本の詳細は片っ端から忘れていく女なのだ。前々作『業火』でのエピソードを引きずられてもさっぱり分からん。『業火』でケイの恋人が惨殺されたのは憶えてるけど、その時の犯人もさらに前のシリーズ作品から登場している人物だったのだ。今回のお話はそれ位前から複雑に絡まった人間関係を総括したようなお話。と言ってもどことなく“後づけ”っぽい感じもしないではないが。
 今回のヤマは、ケイに殺人容疑がかかって検屍局長を辞任する、という事態に陥るあたり。何故彼女に殺人容疑が?前作の犯人「狼男」の正体は?という謎に加えて、前作で彼女と一夜を共にした美男子もどことなく怪しいムードを漂わせながら登場する。前作の本当のラストが明かされる、という設定の物語。さらに彼女の恋人ベントンが殺害された理由も明らかになる。親友マリーノの息子、友人アナの辛い過去、ケイ本人のプライバシーがバリバリ語られている本作は、これまでのシリーズ総まとめって感じ。シリーズの中で長いこと不倫関係にあったベントンとケイが晴れて公認の仲になってからの二人の関係についても、リアルに描写されている。
 ケイは検屍局長を辞めてしまったし、ルーシーもATFをクビになってNYで新しい生活を始める事になった。全ての出来事に終止符が打たれて、シリーズも一段落って感じか?しかし本作は日米英同時発売だったらしい。そりゃ翻訳者は大変だっただろうなぁ、米英は翻訳が上がるのを待っててくれたのかしら。とは言っても新たな出逢いもあり、舞台はNYへ移る予感。新たな敵も現れたようだし、このシリーズとのつき合いもまだまだ続きそうである。

審問〈上〉 審問〈上〉
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今夜はパラシュート博物館へ/森博嗣
ノベルス時代から犀川&萌絵シリーズを読んでいた方たちには久しぶりの二人って感じだろう。しかし私はそのシリーズは文庫でしか読んでいないので、ちょっと時間が前後してしまっている。前作『幻惑の死と使途』から本作までには読んでないシリーズが三作ほどあるのだ。『どちらかが魔女』を読む限りでは、二人の仲はかなりイイ感じになっているような気がする。私の知らない人物も登場していたし。知らぬ間に物語は進んでいるのね、シリーズは最初から順番に読まなきゃダメ、という言葉が胸にしみるね。
 その他のシリーズでもお馴染みの登場人物が出てくる短編は三つ。あとはファンタジィあり推理ものありアドベンチャーありの5作。特に推理ものの『ゲームの国』は設定がなかなか面白くて笑える。アナグラムだのキャスリングだの、いまいち意味のわからない言葉遊びの世界だ。犯人の動機などどうでもイイという森スピリットが生きるからこそ、デタラメな設定や終わり方も納得できるのだろうけど。
 でも『卒業文集』『恋之坂ナイトグライド』は、ラストでやっとその意味が分かるというまさに森ワールドな傑作。特に『恋之坂…』は、ラスト数行の種明かしに思わず「ほぅ」などと唸ってしまった。森作品のこういうちょっとした遊び心が好きなんだよね、単語一つ助詞一つで「実はね」って部分を表現してしまう巧みさ。物書きが文章でこれだけ遊べたら、さぞかし楽しくて気持ちイイんだろうなと思う。やっぱ生業としてる人の構成力って違うなぁ、こういう物語を書ける人には純粋に憧れてしまうわ。
 二日間の通勤時間内で読み切れるくらいのライトな仕上がり、日本語に騙される快感に浸れる一冊である。西之園が点対称、なんて考えた事もなかったよ。そう考えれば私の本名も全部点対称だな。言葉や文字をそんな風に考えるのってなかなか面白い。でも森作品の短編集だったら『まどろみ消去』の方が面白かったかな。ちょっぴり切なくて恋しくて愛おしい設定のショートストーリーって、読後感が長編とは明らかに違う。宮部みゆきの『返事はいらない』という短編集も傑作だよ、改めて読み返してみようかな。

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