HOT SHOT! book
月1ペースで読んでいる小説の読書感想文です。
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模倣犯/宮部みゆき
中居正広主演で映画化された宮部みゆきの代表作。いや~「長い!ひたすら長い!」の一言だった…。映画の評判はさておき小説の評判は良いようだが、私の評価はあまり高くない。言いたい事いっぱい!読了した人と語り合いたい事いっぱい!特にこの作品を評価している人の意見を聞きたいなぁ…。「どこが良かったの??」
 1巻は第一部として女性の右腕が発見される事から事件が発覚し、犯人がメディアを使ってアピールを始めてから事故で死亡するまでを時系列で描く。2巻と3巻は第二部、犯人である栗橋浩美の人生を紹介しながらピースとの関わり方や事件の詳細を公開し、死の直前までの様子を描いた。4巻と5巻は第三部で、ピースが表舞台へ登場して事件が終結するまでを描いている。つまり読者には犯人が栗橋とピースである事を第二部から明かしていて、警察や世間の目が見当違いの所に向かっているのを傍観するような形で物語は進んでいくのだ。何で栗橋は事故を起こしたのか?いつ警察はピースに辿り着くのか?等々、先を知りたい一心で先へ先へと読み進んで行ったが、無駄なエピソードが多すぎる…!登場人物の無駄な妄想シーンやどう考えても不必要と思われるキャラクターに関するエピソードをごっそり削って、3巻くらいに収めた方が良かったんじゃないかしらん。
 まず私には塚田真一というキャラクターの必要性が全く分からなかった。宮部作品には高校生の男の子がよく出てくるのだが、そのショタコンぶりにも心底うんざり。事件に直接は関係のない、人間的に未熟なティーンエイジャーが悩んで経験して成長して…なんてエピソード、はっきり言ってミステリには邪魔なだけなんですけど。少年と老人という泣き所を押さえたキャラ配置で好感度を狙ったのかも知れないけど、あざとさを感じる。その他、前原滋子や高井由美子など、登場する女性キャラがどれも好みじゃなかったので感情移入できず。女性キャラ、特に前原滋子の言葉遣いが下品で気分が悪い。「スベタ」「アホンダラ」「ゲロする」「クソったれ」…死語でしょ。そんでもってどういう育ちの女性がこんな言葉を遣うのか、理解と想像に苦しむな。
 とは言え、物語の構成はとても巧い。次から次へと“知りたいこと”が出てくるので、長編ながら飽きる事はない。但しあまりに同じような描写がしつこく続くので“ななめ読み”する場面もしばしば。誰々がこんな事考えてますよ、という個人の妄想をアツく長く語られてもねぇ…。連載だったせいか、部分部分でスピード感が違うのが気持ち悪い感じだ。あと登場人物の精神が次々に崩壊して自滅してしまうのも考えものである。そんなにすぐ人は狂ってしまうものなのだろうか?実際、身内が殺人事件に関わったら仕方がない事なのかもしれないが、「精神に異常を来していたので」という理由は免罪符にはならない。リアリティに欠ける気がする。そう、この物語の中で起こる事件の手口は実にリアルでありながらも、登場人物達が紡ぎ出す物語にはどれもリアリティがない。そんな印象だ。事件が残虐であればあるほど、「何故そんな事をしたのか」という犯人達のリアリティは遠ざかってゆく。それはやはり、彼らの動機が良く分からなかったからなんだろうな。唯一、栗橋の気持ちが良く理解できるのが三巻の終わり。高井和明とのやり取りはリアルで、とても悲しい。その分だけ、ピースの陽炎みたいな嘘くさい人物像だけが後味悪く残る物語だ。残酷な事件描写と自分の事しか考えない登場人物たち、被害者の絶望や遺族達の悲しみ。どこを切り取っても陰鬱で気分の悪いエピソードばかりだ。ミステリにつきものの“ラストの爽快さ”も、そこまでの過程がご都合過ぎてポカーンって感じだった。ま、読むというなら反対はしないけど、どうしようか悩んでいるなら読まなくてもいいんじゃない?私だったらそんなアドバイスをするでしょう。ただタイトルの意味だけは、秀逸!と思ったけどね。
模倣犯1 模倣犯1
宮部 みゆき (2005/11/26)
新潮社
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理由/宮部みゆき
ハードカバーで読んで以来、6年ぶりに文庫版を読んだ。最初に読んだ時はあんまり面白くないと思っていたので「なんで直木賞なんか取れたんだろ」なんて書いた事があるが、その頃の私はこの作品の独創的な手法や「家族」について理解できてなかったんだろうなぁ…。第一読むの二回目だっつーのに犯人を忘れてるし!いや、普通に読んでも犯人はある程度予想できるのだが、殺人の「理由」が分からなかったのだ。この物語では、「理由」が非常に重要なキーワードになっている。そして登場人物全てが抱えるそれぞれの「理由」に共感できるかできないか、が評価の分かれる所のような気がする。若い頃の私には、その「理由」の意味が分からなかったんだなぁ…。
 そして二つ目のキーワードは「家族」である。この物語にはたくさんの家族が登場する。そしてその家族はそれぞれに問題を抱えている。借金地獄に陥った家族、進学問題で父親と対立する息子、嫁姑問題が激化する家、10代の未婚の母を抱える家族、父親が失踪して残された姑を養う妻…。しかしそれらは決して“単なる小説の中の出来事”ではないのだ。 いつ自分たちが同じ目に遭うか分からない、非常にリアルな問題に翻弄されてゆく登場人物を見ると、恐ろしさすら感じてしまうのである。
 一言で言えば、「競売物件を巡る殺人事件と、それをとりまく人間模様」ってヤツである。 超高層マンションを買ったがローンが払えず、競売に出した小糸家。そのマンションを競り落とした石田。しかしマンションは砂川一家に占有されていた。そして起こる殺人事件、犯人と疑われた石田は逃亡する。徐々に明らかにやってゆく、砂川家の人々の正体。そして逃亡する石田を発見した片倉家の人々。そして未婚の母となった宝井綾子と事件との関係は?一つの事件を中心に、蜘蛛の巣のように様々な人間が事件に絡め取られてゆくのだ。
 登場人物が多いので覚えるのに大変かと思ったが、全然そんなことはなかった。インタビューに答えるという形で登場人物たちが自分の言葉でしゃべるので、人間性やその人の育ちなどが想像しやすいのだ。独特なドキュメンタリータッチの作風が功を奏している。 その口調がまどろっこしく感じる部分もあるが、この実験的な手法を理解していれば不快ではないだろう。「家族」という血の絆に関わる、いくつもの悲劇が描かれた作品。オトナになった今なら言えるよ、「やっぱこれは直木賞受賞作品にふさわしい作品だったよ!」ってね。
理由 理由
宮部 みゆき (2004/06/29)
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クロスファイア/宮部みゆき
宮部みゆき初期の代表作がやっと文庫化された。ずっと気になっていた作品であるのだが、超能力モノはちょっとなぁ…。彼女の超能力モノの中で『魔術はささやく』は結構好きな作品なのだが、『龍は眠る』はあらすじ読んだだけで買う気になれなかったもんね。これも本屋でウンウン悩んだ挙げ句、とりあえず上巻だけ買ってみた。思っていたよりも面白かったので結局下巻も買ったのだが、下巻からの展開はどーなの?って感じ。やっぱり私は超能力モノはダメなのかも!
 最初は、超能力を持ってしまった人間の苦しみや悲しみ、みたいなものが人間くさくて良いなと思った。しかし相変わらず宮部作品の主人公たちは“やりすぎクン”である。アンタそこまでやらなくても…という派手な描写が続く。と、リアリティがなくなってくるのよね~。特に題材が超能力なのだから、“何でもアリ”である。それでもイヤがらずに読んでいたのは、淳子の根底にある悲しみに同情しちゃったから。でも、下巻に入ると展開はますます“あっちの方向”へ。う~む、これが映画化までされるような物語なのか?『魔術はささやく』の方がミステリしててイイと思うんだけどなぁ。
 超能力を殺人の手口に使う淳子と、事件を追う刑事の話が交錯しながら物語は進む。そこら辺がミステリ仕立てではあるのだが、純粋なミステリ小説としてはあまり出来がよろしくない。特に倉田かおりという新たな念力放火能力を持つ少女が出てきたあたりから、ぐちゃぐちゃな展開になってくる。淳子、石津、倉田と、物語のキーマンがゾロゾロ出てきて収拾がつかなくなってる感があるのだ。やっぱりガーディアンという組織は、いけなかったね…。思想は理解できるけど、警察に圧力かける程の力を持ったアンダーグラウンドな組織ってあたりがイカン。アメリカが舞台の物語なら「そんなのもあるかもね~」って感じですませられたかもしれないけれど。
 終盤は、淳子のラブストーリーと化している。ラストはハッキリ言ってチープなのだが、相手の男の子が好みだったのでまぁ良しとするか。彼女の作品には珍しい、クールで上品な金持ちの20代男性。いかにもなキャラなので、あざとさを感じてちょっぴり不快ではあるが。作者が現代社会に対して言いたい事を全て詰め込んじゃいました!みたいな出来の作品。お陰で物語の軸がズレてしまい、結局何が言いたかったのかよく分からない結果となってしまっている。彼女が言いたい事はよーく理解できるんだけどね、物語としてそれを読まされるのはどうかなぁと。扱うテーマを2つくらいに絞っていれば、かなりイイ出来の作品だったのではないでしょうか。スティーブン・キングの『ファイアスターター』へのオマージュとも言える作品。でも天才・キングが書く物語と比べちゃあ、可哀想だよね。
クロスファイア(上) クロスファイア(上)
宮部 みゆき (2002/09/10)
光文社
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クロスファイア(下) クロスファイア(下)
宮部 みゆき (2002/09/10)
光文社
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人質カノン/宮部みゆき
この文庫本が本棚に入っているのに気づいて、ちょっとビックリした。少し前に、違う本と一緒に買っていたらしい。そのくらい、私にとっては“気にならない本”だったという事だ。宮部みゆきの短編は割と好きだが、外れる確率もかなり高い。何故かというと、彼女は明らかにショタコンだからだ。私は子供が登場する物語ってあんまり好きじゃない。思考回路が違う彼らに感情移入ができないし、理不尽な行動も“子供だから”で片づけられてはミステリは成り立たないと思う。まぁそういう人は、この本は読まない方が良いだろう。
 何しろ短編のほとんどの物語に子供が登場する。子供と言っても小学生から大学生まで様々だが、要するに自立していない人種という事だ。それ故に、彼らは家族に甘えきっている。人生でちょっとイヤな事があると、ふてくされて社会生活を放棄してしまったりする。『過去のない手帳』も『八月の雪』も、そんな彼らがとある事件をきっかけに立ち直っていくという物語。私にしてみれば「そんな甘えたさんが何を言ってやがる!」って感じなんだけど。
 『十年計画』は、途中までは割と面白かった。二人の女性の会話から読みとるシチュエーションを想像するのも楽しかったし。でもその楽しいシチュエーション当ても、裏表紙の解説でネタばらしされてて興ざめだ。表題作も残忍さだけが印象に残って、結局何が言いたかったのかイマイチ分からなかったし。この短編集は、ハッキリ言って“外れ”でしょう。
 日常のささいな出来事が、人の人生観を変えてゆく。同じように過ぎていくように見える毎日だけど、見方を変えれば自分も変わってゆくんだよ。そのような事を言いたかったのだろうが、う~ん、何か辻褄合わせな説教みたいでイヤだなぁ。宮部みゆきは東京の下町生まれ。人情溢れる町で生まれ育った彼女は、都会の我関せず的な人間関係を淋しいと思っているのかもしれない。人は淋しがりな生き物なのだなぁと、彼女の作品を読んでいるとしみじみ思う。人は見栄を張る生き物なんだなぁとも。でもそういうのって、ハッキリ言ってくだらない。と、私は思っちゃうんである。もっと若いうちに読んでいれば、印象も違ったかもね。
人質カノン 人質カノン
宮部 みゆき (2001/09)
文藝春秋
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