HOT SHOT! book
月1ペースで読んでいる小説の読書感想文です。
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バグ/松岡圭祐
『催眠』や『千里眼』シリーズで有名な松岡圭祐の作品。これは『催眠』の後に書かれた著者の長編第二作目らしい。私の所属するゲーム業界が舞台だったので、思わず手にとってしまった。エンターテイナーの松岡がゲーム業界をどんな風に描いているのか?楽しみ半分、不安半分って感じである。
 そしてその不安は見事的中。て言うか、まず大人気ゲームの名前が「アクセラ」ってのが大笑いだ。それを知って思わずこの本をレジに持っていってしまったと言っても過言ではない。これは3Dタイプのパズルゲームなのだが、シリーズ3作目までで総数三千万本を売り上げたのだそうだ。シリーズって言っても全て同じシステムのパズルゲーム。『テトリス』をモチーフにしているのは間違いないけど、いくら何でも三千万本はふかし過ぎだろう。しかもアクセラマークってのが小中学生に大人気で、文具や飲料などのタイアップ商品を出している会社は200社にも及ぶ…らしい。第一「アクセラ」を動かすハード「プロシード」に契約しているサードパーティの数が46社ってのは少なすぎだ。上記の提携会社の数と逆なんじゃなの?って感じ。てな具合に、ゲーム業界人なら突っ込みまくりの作品なんである。
 物語の方は、小学生の自殺未遂事件から始まって、津久井に対する疑惑、ライバル会社の陰謀、桐生の家庭事情などのトラブルを経て、意外な真犯人が発見されるまでを描いたミステリ。それぞれのピースが全てパチッとはまって終了するが、肝心の自殺未遂の動機だけはイマイチ分からなかった。おまけにねぇ、全国に広がった小中学生の事故の原因っていうのが笑っちゃうのだ。ネタばれになるので詳しくは言えないが、普通分かるって、あんな事したら!著者はお酒飲めない人なのかな?なんて思ってしまいました。
 一般の人はゲーム業界をこんな風に見てるんだなぁ、としみじみ。テレビドラマ『ビューティフルライフ』を見た美容師の友人が「あんな事実際にはあり得ないよ!」と言ったのを思い出してしまった。上記で触れた点以外にも突っ込み所は満載である。リアルとフィクションの狭間ってのは本当に難しいものだ。この本を業界人じゃない人が読んでどう思うのか、是非とも聞きたいものである。違和感なく読めたなら、アナタは業界人じゃありません!と言い切っても良いでしょう。
バグ バグ
松岡 圭祐 (2001/08)
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千里眼 ミドリの猿/松岡圭祐
水野美紀主演で映画化もされた『千里眼』の続編。感想文でも書いたが、一作目の『催眠』の主人公・嵯峨と前作の主人公・岬がついに出会う事になる。そして映画版『催眠』で原作とかなり違っていた由香の変貌ぶりの理由も明らかになった。映画版『催眠』の感想文で「これじゃあ単なるオカルトだよ」と書いたが、それには深い意味があった訳だね。
 しかしこれで『催眠』ワールドの全てが丸く収まった、と思ったら大違い。このシリーズはまだまだ続くんである。一作目の『催眠』から続きこの本のタイトルにもなっている“ミドリの猿”の謎は明かされないままだし、ラストには驚愕の事実が判明して岬は捕らえられてしまうし。この本は次作『千里眼 運命の暗示』の上巻扱いと言ってもいい内容なのだ。そして物語は更に『千里眼 洗脳試験』へと続くらしい。当初『千里眼』シリーズは全三作とされていたのに、ワールドはまだまだ広がっていくのね。
 今回の敵はメフィスト・コンサルティングという史上最大のマインドコントロール組織である。それに政府の思惑も相まって、知美、岬、嵯峨、嵯峨の前の上司の倉石が陰謀に巻き込まれていく。『催眠』ワールドのどれから読んでも齟齬はないが、できれば映画も原作も全て知った後に読むと、様々な軌道修正がいじましくて面白い。本作の嵯峨は明らかに映画版で嵯峨役を演じた吾郎ちゃんをモチーフにしてるしね。小説『催眠』の嵯峨とは全然違う見かけに変身してるのだ。
 今回のテーマは「人を自分の思い通りに動かすのは可能か」という事である。それは一見難しい事のように見えるが、マジックの世界では当たり前の定義。ドラマ『古畑任三郎』でも同じテーマを扱ったお話があった。相手に「自分に選択権がある」と思いこませる手段、これは結構奥が深い。何かを決断しなければいけない時、「選ぶ道はこれしかない」という状況に陥るのはよくある事だ。でもそれは、何重にも張りめぐらされた蜘蛛の糸の中で相手の意のままに操られているだけかも知れない。そういう道を選ばざるを得ないように仕組まれた罠かも知れない。そんな事を考えてしまう物語。できれば操る側にいたいものだと思うけれど、私みたいに単純で面倒くさがりなヤツには絶対できないんだろうな。陰謀を企む、これは結構根気がいるもんだと最近の仕事でもしみじみ感じたりしている私なのであった。
千里眼 ミドリの猿 千里眼 ミドリの猿
松岡 圭祐 (2001/03)
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