HOT SHOT! book
月1ペースで読んでいる小説の読書感想文です。
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沈まぬ太陽/山崎豊子
ハードカバーで200万部という驚異的なセールスを記録した大ベストセラー作品の、待ちに待った文庫化。全5巻を夢中になって読んだ。そして色んな事を考えさせられた。サラリーマンとは?愛社精神とは?公心と私心とは?そして命の値段とは?なんて事も。彼の生き方を不器用と片づけてしまうのは簡単だ。彼がそこまでして筋を貫き通す意味は何だったのか。サラリーマンならじっくり考えたいテーマである。
 何しろ主人公を人間とも思わない会社の仕打ちが酷すぎる。小説なんだからと思いながら読んでいても、あまりの不条理に信じられないという気持ちと怒りがふつふつと沸いてくる。しかしこれは作者が綿密な取材をした上で、事実を再構築した話だと聞いて驚いた。政治家や外部から迎えられる会長など、実在の人物を容易に想像できる登場人物もいたが、まさか主人公・恩地に実在のモデルがいるとは思わなかったのだ。主人公のモデルとなった小倉さんは、写真で見る限り上品で温厚なおじいさんという感じだった。そしてその笑顔は純粋で美しく、小説の凄絶さをより際だたせるのだ。
 「アフリカ編」は恩地の不器用さにちょっとイライラし、「御巣鷹山編」は事故の壮絶な描写と遺族の悲しみに涙し、「会長室編」はモラルの欠如した大企業の裏事情にウンザリしながら読んだ。そして迎えた意外なラスト。誰もがこうであって欲しくないと思ったのではないだろうか。国見会長があの様な形で辞任したのにも、かなりショック。これは果たして事実だったのか、今になって当時のニュースを読み返したい気持ちでいっぱいである。
 本書が発表された当時、週刊朝日に批判記事が掲載された。この小説に書かれている事が事実かどうかは分からない。しかし著者は一方からの情報収集ではなく、いろいろな方面からきめ細かく取材をしてこの本を書いたと言う。いづれにしてもこれは小説であって、ノンフィクションではない。登場人物のうち実在の人物は誰かを想像しながら読める、これがフィクションの楽しみなのである。とにかくサラリーマンなら、色んな事を考えてしまう事請け合い。これを読んだ人に「自分ならどの登場人物になりたいか」と聞いてみたいものだ。労組がある会社に入った事のない私にはあのような会社の仕組みは理解できないが、やっぱ行天が一番「上手な生き方をした社会人」なんだろうな。私は仕事するなら大企業じゃない方が好きな事できるし気楽でいいなぁ~、なんて思っちゃいましたけど。
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