HOT SHOT! book
月1ペースで読んでいる小説の読書感想文です。
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最も危険な場所/スティーヴン・ハンター
新刊コーナーで何となく見つけたハンターの新作。あらすじを見ると、主人公はアール・スワガーだと言うではないか。彼は『極大射程』『ダーティホワイトボーイズ』『ブラックライト』の主人公ボブ・スワガーの父である。ボブ・スワガーのシリーズを読んでいた私としては、これは読まなければいけないでしょう!と一気に読んだのであるが、あとがきを読んだらアール・スワガーのシリーズは既刊の『悪徳の都』の方が先だったらしい。最後まで読んじゃってから分かってもな~。道理でこの本の中でアールの父の話がたまに出てきたはずだよ、『悪徳の都』ではアールの父・チャールズの死の真相が明かされるらしいのでね。
 前述のボブ・シリーズにも登場し、ボブを影ながら支えていた弁護士のサム。彼が調査係、アールが実行部隊という役割分担で物語が進んでいく。そのサムは『ブラックライト』で殺されてしまったのだよね…。そんな事を思うと、何となくしんみり。この物語は、彼がいなければ始まらない。そして彼がいなければ、真実を知る事はできなかったのだ。
 ティーブスという町がどのようにして出来上がったのか。命からがら逃げ出したサムが調査をしてゆく過程の中に、真実が隠されている。いろいろな人物の名前が出てくるが、混乱しないように。ここをキッチリ理解しておかないと、ラストでの“秘密の暴露”のシーンでビックリできないからね。
 しかし…私はアールが取った行動を正当だとは思えない。どんな理由があるにせよ、人間を“狩る”なんて行為は許されないのだ。なのでティーブス壊滅作戦が続く下巻は、かなりヤな感じ。上巻の後半、アールが拷問を受けるシーンもヤな感じだが…。それでもサムが事件の真相を暴いていく過程がめちゃくちゃ面白くて、やっぱりハンターはストーリーテラーだなぁと感心せずにはおれない。銃に関する知識の豊富さも、相変わらず。最後に用意されたサプライズっていう設定も私好みだ。最後にさわやかな(?)ビックリ感を楽しめるように、複雑に絡み合った真実をしっかり捉えながら読みたい一冊だ。ちなみに原題は『PALE HORSE COMING』、「蒼ざめた馬が来る」である。これは物語のキーワードになる言葉。下巻の中盤、涙せずにはおれないかもね。
最も危険な場所〈上〉 最も危険な場所〈上〉
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最も危険な場所〈下〉 最も危険な場所〈下〉
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テーマ:本の紹介 - ジャンル:小説・文学

ブラック・ライト/スティーヴン・ハンター
『ダーティホワイトボーイズ』に続くシリーズ三作目。感想文には「これをシリーズと呼ぶのはどうかなぁ」と書いたが、実は前作がなければこの『ブラックライト』は成り立たないのだ。この作品はこれまでの二作の集大成って感じ。しかもラストでは意外な事実が判明したりする。いやぁ、何となく上巻で怪しいなぁと思ってはいたのだが、まさかねって感じ。もー!どうして皆すぐ若くて健気な女と関係しちゃうかな。こりゃ作者の趣味だな、きっと。
 これまでのシリーズの中ではさらっと流されていたボブの父親の死だが、この作品で初めてその裏側が明らかにされる。ギャング団のボスによる様々な隠蔽工作を乗り越えて真実に迫っていく彼らだが、遺体を火葬しちゃう日本だったら真実は闇の中だったんだろうなぁ。40年前に土葬された遺体を掘り起こして検屍しちゃうんだもんね、棺桶ってのは案外保存状態良いものなのね、なんて変なところで感心してしまったわ。
 このお話では赤外線暗視スコープがキーワードになっている。それが一番最初に読んだスティーヴン・ハンター作品である『魔弾』にもどことなく通じる所があって面白かった。スコープに映し出される画像が詳細に説明されているので、私も実際にスコープを覗きたい気持ちになってしまったよ。赤外線を使用すると、その熱を感じて蛇が現れるというエピソードもなかなか面白い。そのエピソードが何度も引用されるので、最後はスナイパーが蛇に咬まれてあっさり死亡!なんていうストーリーも考えていたのだが、もちろんそんなクダラナイ設定で終わるお話ではない。林の中で繰り広げられる死闘のラストは、スコープの特性を逆手にとった作戦で痛快だ。そんなの銃を知らない私に思いつく訳ないわ、私にはストーリーテラーの才能はないようである。
 善と悪、家族愛、なんて事を考えさせられるお話。愛憎っていう言葉がある位だからね、憎しみと愛情はまさに裏返しなんだなぁと実感。そしてパイ親子とボブ親子の繋がりを考えてたら、性善説・性悪説なんて言葉を思い出してしまった。また子供の教育とは、なんてテーマも。そんでもって相変わらず主人公にはちょっと頭の回転の悪い従者がつくわけよ、これはもうハンター作品の定番と言ってもいいのかも。前作でバドの長男として紹介されていた頃のラスはもうちょっと頭のいい子だと思っていたのになぁ。お勉強できてもお仕事には全く関係ない、なんて実社会でありがちな設定で笑えるわね。

ブラックライト〈上〉 ブラックライト〈上〉
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ダーティホワイトボーイズ/スティーヴン・ハンター
『極大射程』に続くシリーズ二作目。という見解で読み始めたのだが、前作の主人公ボブは全然出てこなかった。物語の途中でボブのお父さんの話がチラッと出てきたので、これで一応“ボブ繋がり”になっているのだろう。でもこれをシリーズと呼ぶのはどうかと思うなぁ、まぁ外伝という扱いという事ならOKでしょう。
 前作とはガラッと違う舞台設定。物語の始まりは刑務所である。しかも主人公は罪悪感というものが欠如したラマーという白人男性。“ダーティホワイトボーイズ”は『どーしようもない白人のワル』ってな意味らしいが、まさにラマーにピッタリ!という言葉である。この人がねぇ…頭は切れるんだけど、下品なのよ。体つきもマッチョだし。つまりは私の好みじゃないって事なんだけど、その他の登場人物がうまくまとめてあるのでイヤがらずに読めた。前作でも思ったけど、この作家はホントに登場人物の設定が上手である。しかもヒーロータイプの主人公には小心者の従者がつく、というのがパターンのようだ。しかしこれが意外と功を奏して物語に味が出るのよ、今回のラストなんて痛快!って感じである。
 ラマーを追い続ける警察官のバドもまた様々な事情を抱えたややこしい人物だ。頭はいいけどひきこもりがちな長男と、ちょっぴり出来は悪いけど野球の腕だけは一流の次男、そして既に愛情を失ってしまった妻との暮らし。そんな家庭環境の彼は、同僚の若い妻との不倫に溺れている。積極的に彼を求める愛人との不倫生活を続けるために、彼は毎日せっせと嘘を重ねる。その様が痛々しくて滑稽でイライラするのよ、不倫するならもうちょっとさっぱりと出来ないもんかなぁ、なんて思う。奥さんには嘘をつくべきだけど、愛人に嘘ついちゃいけないよね。まあそういう不器用なところが、この物語にはピッタリなキャラクターなのかもしれないけれど。
 これまでのスティーヴン・ハンターものと同じく、これも追う者と追われる者との攻防がスリリングで楽しい作品である。あとがきにも書いてあるが、本書はこれまでの軍事アクション物とは趣が異なる作品。それでも相変わらず銃に関しては豊富な知識で、その魅力と存在感が生き生きと描かれている。でもねぇ…何度も言うけど主人公が好みじゃないってのは結構イタイんだよね…。あと訳し方も好みじゃなかったなぁ、スラングをそこまで汚い日本語にしなくてもいいんじゃあ?って感じ。まぁオデールが知的障害者っていう設定だったので、ちょっとファンタジー入っちゃったような言い回しもあるんだろうけどさ。次作の『ブラックライト』はホントにボブが登場するシリーズもの。でもこれが扶桑社だと、また同じ様な訳し方になっちゃうのかも。…新潮文庫から出てくれれば良かったのに…。なんて思ってしまうのは失礼かしら?

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