HOT SHOT! book
月1ペースで読んでいる小説の読書感想文です。
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樒・榁/殊能将之
講談社ノベルス創刊20周年の「密室本」シリーズの一冊。メフィスト賞受賞作家が密室をテーマにした書き下ろし作品を刊行してゆくというシリーズである。121ページというライトなミステリだ。しかし…薄いだけに内容も薄かったかな?
 物語は過去の事件を追った「樒」と現代の「榁」の二本立てである。「樒」は著者の前作『鏡の中は日曜日』に登場した鮎井の追悼作品として発表されている。この辺の仕組みを語るとネタバレになってしまうのだが、この本を読む前に是非前作を読んでおく事をお薦めする。別に読んでなくても楽しめる作品だが、前作から続いている仕掛けのタネ明かしがあっさりしてるので分かりづらいかもしれない。
 しかし前作ほどのインパクトはなかったな。「榁」のオチのために「樒」があるのだが、密室ネタとしてはちょっと掟破りっぽい。どちらかと言うと「榁」はライトコメディって感じの造りなのだな。ちょっといろんな意味で強引な展開だし。石動の過去についてもいかにも“あとづけ”だもんねぇ。
 これを読んだら『鏡の中は…』を読みたくなる事必至。もちろん私も読みました。それで改めて前作の面白さを味わって、殊能センセの才能を再確認するのだ。この作品で彼を評価してはいけない~!しかし「樒」には水城が扱った「空穂邸事件」の関係者がチラッと登場している。水城が扱った事件については『鏡の中は…』で題名だけ紹介されているので、いづれ全ての事件簿が刊行される事だろう。それを楽しみに待ちましょう。何度も言うけど、この作品で殊能センセを評価してはいけないからだ。
樒・榁 樒・榁
殊能 将之 (2002/06)
講談社
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鏡の中の日曜日/殊能将之
前作『黒い仏』でちょっとガッカリしちゃった殊能センセの最新作。今回も石動が名探偵ぶりを発揮してくれる。すっかり殊能作品のメインキャラとして定着したなぁ、石動。しかし何度読んでも彼の風貌が想像できない。どうしても太った人を想像してしまうのは、一体何故…?
 今回の 事件は私の大好きな「歪な館」が舞台。参考・引用文献の一覧にズラリと綾辻作品が並んでいたので思わずニッコリしちゃったわ。 しかも巻頭に館の図面と外観の絵が掲載されていて、とてもわかりやすかった。歪な館って、想像力が命だからねぇ。私のように記憶力のない女にはありがたいサービスである。
 相変わらず読みやすい文体で、セリフも自然で好みだ。今回もウンチクネタ満載で、殊能センセの知識の深さには毎度感心する。その辺はちょっと京極っぽい。そして途中に詩的なフレーズが挿入されたりするところは、森博嗣っぽい。館殺人事件と言えば、綾辻だ。そりゃ私が好きな訳だよ、京極も森も綾辻も、全作品読破した愛読者だからねぇ。
 そして今回も、ラストで思わぬどんでん返しが待っている。これはデビュー作『ハサミ男』に通じるギミックで、私はこういう仕掛けがとても好きだ。最初っから怪しいぞっていう感覚がビリビリきてて、最後に来る「やっぱり~!」みたいな爽快感がたまらないのだ。しかも今回は二段構えのギミック。最初の仕掛けはすぐ分かったんだけど、もう一つのは分からなかったなぁ…。読了した後すぐに頭から読み返したのは言うまでもない。しかし今回のはちょっと出来すぎな感も。まぁ、ありきたりなシチュエーションと会話って言われればそれまでかも知れないけどね。でも前作の汚名をすすぐ、ナイスな作品だった。287ページなので、二日もあれば読める分量もブレイクにはぴったり。 名探偵殺害という衝撃的な煽りに負けない、爽快感のある一冊である。やっぱりスキ~殊能センセ。 次作も楽しみにしてますわん。
鏡の中は日曜日 鏡の中は日曜日
殊能 将之 (2001/12)
講談社
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黒い仏/殊能将之
『美濃牛』でデビューを飾った名探偵・石動戯作の二作目。今作はやけに薄いなぁ、前作は京極並みの分厚さだったのに…。と言う漠然とした不安はあったのだが、その不安は見事に的中。やっちゃったね、殊能さん。こりゃイカンよ。そして講談社も本格ミステリとか謳っちゃイカンよ。前作の知的さや巧みさとは無縁の世界だし、ちっとも本格じゃないじゃん!
 それでも最初は身元不明の死体、怪しい天台宗の僧侶、中国からの秘宝など、それなりに本格ミステリの匂いはしていたのだ。目撃者から得た情報を元に、徐々に被疑者が絞られていくという流れも推理小説っぽくて良かった。ちょっと強引な展開かな、と思いもしたが、それはこの本の薄さだったら仕方ないと納得。全く関係ないと思われていた二つの出来事が一人の人物で繋がってゆく辺りは、それなりにワクワクしながら読んだものだ。
 物語が急転するのは中盤から。世界は急激にあっちの世界へ飛んでいく。その章を読み始めた時は、あまりの変化に思わず「夢オチ?」とか思ってしまった。そりゃないよ、殊能さん。それをやられちゃあアリバイも証拠品も何もあったもんじゃないじゃない。それまでの福岡県警の捜査や石動の調査は一体何だった訳?
 続編が出そうな終わり方をしているけど、この世界はもう結構ですわ。この薄さだし、とりあえずお試しでこんな世界はいかがでしょう?てな扱いであって欲しいと心から願う。これまでの精彩さはどこへ行っちゃったの殊能さん~!まぁ相変わらず色んな事キチンと調べてあるなぁと感心はしたけれど。でもそういう登場人物出すのは禁じ手だと思うなぁ、本格ミステリと謳うのであれば。まあ一言で言えば『殺したハズの女が蘇る。しかし殺されたのは双子の姉だった!』レベルのオチ。じっくり構想を練って、次作の完全復活を願いますわ、殊能さん。わざわざ発売日に買いに行ったファンの私をガッカリさせないでね。 

黒い仏 黒い仏
殊能 将之 (2001/01)
講談社
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