HOT SHOT! book
月1ペースで読んでいる小説の読書感想文です。
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ぼっけえ、きょうてえ/岩井志麻子
「ぼっけえ、きょうてえ」とは岡山弁で「とても、怖い」という意味である。と言うことを、この本で知った。当たり前だが。その名の通り、この本に収められた短編の舞台は全て岡山である。想像通り、筆者の出身は岡山県だそうで。生まれ育った土地の言葉で、こんな印象的な題名がつけられていいなぁ。関東地方出身の私にとっては、ちょっぴりうらやましいぞ。
 表題の「ぼっけえ、きょうてえ」は女郎の一人語りというスタイルで物語が進む。これがとても巧みで、彼女が話しかけている相手の描写が一切ないだけにラストの一言にゾーッとするのだ。言われた相手がどんな顔をしたのかも、分からない。それが余計に怖くてねぇ…。また、彼女も大事なくだりを出し惜しみしながら話す。しかも「こんな話を聞いたら旦那さんホントに寝られんようになるよ」などと何度も繰り返し言いながら、徐々に確信に迫る話をしていくのだ。スタイルとして、とてもよく出来た作品だと思う。最後に明らかになった事実が、本当に怖いかどうかは別として。
 「密告函」は明治時代に岡山の田舎で流行ったコレラ病にまつわる恐怖の物語。これを読むと、本当に怖いのは人間なんだなぁとつくづく思うよ。誰かをないがしろにしたり傷つけたり甘えたり、他人の気持ちを踏みにじって勝手な事ばっかりやってるといつかしっぺ返しがきますよ。それも自分が想像していた以上の形でね…という物語。奥様に迷惑かけて好き勝手やってる世のお父様方、これを読んだらかなり背筋が寒くなるのではないでしょうか?
 漁業の村に嫁いできたユミの人生を描いた「あまぞわい」は、全体的にファンタジー入ってる物語。民俗学や伝説に基づいた造りは面白いが、その世界に入っていくのがちょっとツラかったかな。「依って件の如し」は農業で細々と生計を立てている村で起こった殺人事件にまつわる物語。これは舞台設定が横溝正史チックだっただけに、もう少し物語をわかりやすく描いていれば面白い作品だったのに…という感想。主人公のシズが見る「牛のお化け」というものの正体が実はリアルであったにも関わらず、ラストで種明かしされるまでは幻想の世界の生き物のような扱いで登場するので「あっちの世界のお話」っぽい造りになっているのが残念だ。
 岩井志麻子は初めて読んだ作家だったが、なかなか味わいのある物語でどれも面白かった。京極夏彦が解説を書いているのにも注目だが、その内容は今ひとつ…。まぁ軽くホラーしたい気分の時にぴったりな本なのでは。全体で200ページ位なので、一日でさくっと読める。この四篇の中でもう一度読みたい!と思うのは「密告函」くらいかなぁ…という感じではあるけれども。
ぼっけえ、きょうてえ ぼっけえ、きょうてえ
岩井 志麻子 (2002/07)
角川書店
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