HOT SHOT! book
月1ペースで読んでいる小説の読書感想文です。
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ドリームキャッチャー/スティーヴン・キング
映画の予告編を観た限りでは「恐ろしいウィルスの話」だと思っていた。1巻を読み終わった時も、そう思っていた。話がヤバい方向に進んでいったのは、2巻の終盤から。むむ、これは私の苦手な宇宙人モノなのでは?と気づいた時はもう遅かった…。すっかり物語にハマってしまっていたのだ。
 不思議な自然現象、二手に分かれた四人組を襲う異常事態、不気味な怪物、特殊作戦部隊の出動、人間の身体に生える赤い黴、四人組の少年時代の思い出に共通する旧友ダディッツの存在…。それぞれの「?」の行方が気になって気になって。確かに恐ろしい話なのだが、純粋なホラー小説とは違う巧妙な物語。悲しい中にも希望と感動が混ざり合う、不思議な読後感を残す作品だ。
 とは言え、基本は異星人の侵略物語である。ミスター・グレイと呼ばれる異星人がジョーンジーの身体に取り憑き、種を残すための旅に出る。身体を乗っ取られたジョーンジーは精神世界で異星人と戦う。閉じこめられたジョーンジーと精神世界でコンタクトを取りながら異星人の陰謀を止めようとするヘンリー。その犠牲になる幼なじみのピートとビーヴァー、より強いテレパシーの力でヘンリーの手助けをするダディッツ。こう書くと結構デタラメな話である。何かを暗示するようなエピソードや精神世界での記述が多いので、その世界に入り込んで読まないと結構きつい。“キング好き好きフィルター”がかかってない人にはツライかもしれないね。
 しかし逆にキングファンには「これぞキング!」という設定が嬉しい作品である。ジョーンジーは交通事故で瀕死の重傷を負うが、これは実際にキング本人が体験した出来事。舞台となるメイン州デリーはキング作品の『IT』と同じ。少年時代の特異な体験が成人後にも影響するというモチーフは『IT』や『スタンド・バイ・ミー』を、特殊な能力を持つ愛すべき友人というモチーフは『グリーン・マイル』を連想させる。クソ鼬と呼ばれる怪物が出てくるのも、いかにもキング。しかしこの作品は、これまで以上の悲劇を孕みながらも感動を呼ぶ傑作である。子を思う母の気持ち、友人を愛する気持ち、人を信頼する気持ち。そんな純粋な気持ちの象徴がダウン症のダディッツなのである。『ローズ・マダー』や『暗黒の塔シリーズ』を読む時のように、イマジネーションを駆使して読まなければならない物語。それでも最後に訪れる何とも言えない読後感は『刑務所のリタ・ヘイワース』のようでもあり、私は結構好きな作品である。“キング好き好きフィルター”のかかってない人は3巻がツラいと思うが、それを乗り越えた先にある感動を是非とも体験していただければと思う。
 ところでこの作品の終盤に使われるハンビーという軍用車は、今回のイラク襲撃でも活躍した四輪駆動車で今日本では大層人気があるのだとか。新聞などでの記述はハムビーとなっているが、これは私の大好きなハマーとは違う車両なのか…?軍用車にイマイチ詳しくない私に残った、小さな謎である。
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ジェラルドのゲーム/スティーヴン・キング
あとがきでは似たような設定に『ミザリー』を挙げていたが、私は『クージョ』に近いかな、と思う。両手をバンザイした格好で手錠に繋がれたまま放置される…。想像しただけで恐ろしい状況だが、そこに次々と新たな敵が現れるのだ。それは実在するものだったり、精神的なものだったり。そして最終的に彼女がとった行動、これがかなり読んでいて辛かったなぁ…。
 あとがきに「彼女はかなり出血する」と書いてあったので覚悟はできていたが、ものすごいスプラッタである。かなりグロテスクな小説もへっちゃらぴーな私だが、このシーンは電車の中で読んでいて力が抜けてしまい、これ以上読んだら貧血起こすかもしれないと思って読むのをやめた程。あまりにリアルな描写のシーンは読み飛ばさせてもらったよ。本を読んでいて気持ちが悪くなってしまったのは二度目かな…。ハッキリ言って、血や痛みに弱い人は絶対に読まない方が良いでしょう。傑作!っていう訳でもないしね…。
 物語は緊張状態におかれたジェシーの思考に過去の出来事を語る様々な“声”が入り込んできて、その“声”とジェシーが語りながら進んでいく。そういう設定から彼女の過去や現状が説明されていくのだが、そこらへんがちょっとイっちゃってて馴染めない人もいるかもしれない。そこがキング・ワールドとリンクする重要なシーンなのだけれども。
 1963年に起こった皆既日食が、この物語の大きなポイントになっている。そこで思い出すのが『ドロレス・クレイボーン』」(映画名「黙秘」)だ。この二作は、主人公が幻想の中で互いの姿を認め合う、という形でリンクしている。物語そのものは独立しているので、どちらから先に読んでもどちらかを読まなくても全く問題ないけれども。しかし本作は設定にいろんな要素を盛り込みすぎてしまい、今ひとつまとまりのない仕上がりである。特にラストのオチとも言える人物、この設定はなくても良かったかもね…。恐怖にはいろいろな形がある、というのを同時に感じる事のできる設定にしているのは理解できるが、ちょっと偶然に過ぎるきらいがあって素直に納得できなかったかな。でも絶対に経験したくないリアルな出来事の方が、現実にはあり得ないクリーチャーが出てくる物語よりもフィクションを感じる。そんな事に改めて気づかせてもらった作品として記憶に残るかも。
ジェラルドのゲーム ジェラルドのゲーム
スティーヴン キング (2002/09)
文藝春秋
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図書館警察/スティーヴン・キング
気になっていた『図書館警察』の原題は『The Library Policeman』だった。これはね~、原題通りに『図書館警官』の方が内容にピッタリだったかも、ちょっと語感が悪くてイヤだけれども。この図書館警官が、サムの過去に大きく関わっているのだ。この辺が、いかにもキングっぽい設定。私の大好きなトマス・H・クックの『夜の記憶』にも似ていて、ちょっと心が痛む物語だ。
 ただし、これはミステリではなくてホラー小説なので。ラストはものすごい闘いになってくるのである。登場人物が抱えるトラウマがラストバトルに繋がってゆく設定は、キングの大長編『IT』に似ているかも。そしてここにも思わず涙が出ちゃうような物語がひっそりと隠されていて。不治の病に冒された子供に、メジャーリーガーのイラストと本物のサインをもらってくる話には感動で胸がきゅんとしたよ。そこがキングなんだなぁ、『図書館警察』はかなり気に入りましたわ。
 もう一つの中編『サン・ドッグ』は、『ニードフル・シングス』の前座的な物語。『ニードフル…』でゴーントが店を開いた場所の元の主であるポップ・メリルが登場して、何故ポップの店がなくなってしまったのか、が分かる物語となっている。また『ニードフル…』の副主人公であるエース・メリルは、ポップの甥という設定。これを読んだら『ニードフル…』が読みたくなる事必至である。
 この本の大きな特徴は、巻末に訳者と装丁者による解説座談会が収録されている事。これはキングファンなら必読の企画だ。『ランゴリアーズ』でも書いたが、この本と『ランゴリアーズ』を合わせると『Four Past Midnight』一冊分になる。両方の本を題材にしているので、座談会は先に『ランゴリアーズ』を読んだ方が楽しめるだろう。どちらも超自然現象を扱った、いかにもキングらしい作品。キングファンなら絶対損はしない、いやむしろお気に入りの一冊になる事間違いなしの作品だ。この後もちろん『ニードフル・シングス』を再読しますよ!
図書館警察―Four Past Midnight〈2〉 図書館警察―Four Past Midnight〈2〉
スティーヴン キング (1999/08)
文藝春秋
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ランゴリアーズ/スティーヴン・キング
本当は発売された時すぐに買おうと思っていたのだが、飛行機事故の話だと思って止めておいた作品。発売は1999年7月、私が新婚旅行に出掛ける直前だったのでナーバスになっていたのね。実際はかなりSFチックな作品でしたけれども。
 これは10年前に読んでいたら、評価の低い作品だったと思う。『霧』に通じる不条理の世界、日本語版がなかなか発売されなかったのも納得できる。確かに『霧』ほどのインパクトはないが、最近の私はSFも受け入れられる体質になったのさ!あんなに苦手だったファンタジーだった読んじゃうんだからね!もちろん愛するキング様の作品に限りますが。
 つまりは“キング大好きフィルター”がかかっていなければ、ちょっとツラい作品かもって事。『秘密の窓、秘密の庭』も途中までかなり怖くて面白かったのだが、ラストのオチを読むと「うーん」って感じだ。人が狂気に墜ちていく様は恐ろしいが、狂っている人間の頭の中は“何でもアリ”だからな。現実と妄想の境目なんて、彼らにとってはどうでも良い事。それをリアルに語られるとツラいものがあるなぁ。
 『ランゴリアーズ』は突っ込みどころ満載の作品。『秘密の…』は精神的恐怖にハラハラさせられる良作。この本は既刊の『図書館警察』と合わせるとキングの作品集『Four Past Midnight』一冊分になる。『図書館警察』のあらすじを読んだ限りでは“いけないオーラ”がぷんぷんとしていたが、キングファンとしては読まずにはおれないでしょうね。しかし『図書館警察』って…。もっとマシな訳し方はなかったんだろうか?是非とも原題が知りたいものである。
ランゴリアーズ ランゴリアーズ
小尾 芙佐、スティーヴン・キング 他 (1999/07)
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