HOT SHOT! book
月1ペースで読んでいる小説の読書感想文です。
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痕跡/パトリシア・コーンウェル
検屍官シリーズももういいよなぁと思いつつ買ってしまった最新作。ところが読了した後に、前作『黒蠅』を読んでいなかった事に気づいた。…主人公を取り巻く様々なシチュエーションが理解できなかった訳だよ…。私が最後に読んだシリーズ作品は2001年発売の『審問』。4年も前だから細かい設定を忘れているだけかと思ったら、途中をすっ飛ばしていたんだね。読んでる途中で気づけよ!って感じでしょーか。
 という状態で読んだ本なので、やはり最後まで主人公の苦悩を理解する事が出来なかった。細かい状況設定が分からなかったからかもしれないが、全てが中途半端で気持ち悪い終わり方をしているなぁという感じ。新しい検屍局長がゴミ収集員を病的に恐れるシーンとか、あんなにじっくり説明されていたので伏線だな!と思っていたら全然関係なかったし…。ヘンリ・ウォルデンの奇行もあんなに詳しく紹介した割に、結論は気が抜ける程あっさりしていたし…。マリーノが警官という職業に未練を持っているという事は分かったが、それがどーした!っていう程度のエピソードだし…。読み終わった時、思わず「え?これで終わり?」と口にしてしまった程あっけない終わり方だった。エピソードが濃密な割に全てが中途半端な結論。すごい講釈たれて料理にとりかかったら、出来上がったのはゆで卵だった、みたいな感じかな。
 事件そのものも、極めて単調。よくよく考えてみたら、科学捜査で犯人を割り出す過程が面白いシリーズなのに、 主人公が一般人になっちゃったら設定が破綻してしまうよね。いかに彼女を検屍官として事件に関わらせるか、という辻褄合わせばかりが目につく造りだ。犯人の過去に彼女が関わっているという設定は面白かったが、犯人の美学のなさが物語を薄っぺらくしている。て言うか、犯人とその母とのエピソードはあんなんでいいのか?煽るだけ煽って途中で放り出したわね…。そんな設定ばっかで、何かフラストレーションが溜まるなぁ。
  まぁ何と言っても一番の驚きは『業火』で死んだはずのベントンが生き返っていた事だ!私が読んでいない『黒蠅』でその経緯が説明されているのだろうが、そうとは知らずに読んだのでビックリしたなぁ…。こうなったらやっぱり気になるので、今さらながら『黒蠅』を読んでみようと思う。今作の結末がああなった以上は、二人の関係は知っておきたいもんね。物語を盛り上げるだけ盛り上げといて結果はあっさり、という造りの作品だが、それは作者のいつものパターンとも言える。なのに毎回それを不満に思ってしまうのよね。作品や事件の内容よりも、登場人物たちの“その後”が気になって読み続けているのかもしれない。でも彼らが正規の捜査官でなくなった以上、このシリーズを続けるのもツラいんじゃないかなと思う。センセイ、何事も引き際が肝心ですよね?
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審問/パトリシア・コーンウェル
前作『警告』で危うく命を落とすところだった主人公のケイ・スカーペッタ。物語は事件の直後、現場である彼女の家で警察が調査をしているシーンから始まる。しかし前作を読んでから既に一年弱も経過しているので、いろいろな状況を思い出すのが大変だった。そうそう、犯人は身体に特徴のある人物だったんだ。彼はフランスのマフィアの一員で、彼の兄弟と思われる死体がアメリカのリッチモンド港で発見されたのが発端だったね。ケイの家に押し入って彼女を殺害しようとしたんだけど、彼女の姪であるルーシーが現れてケイは一命をとりとめた…らしい。いかん、完璧に忘れているわ。
 シリーズ第11作目、初の上下巻!という事で今回はこれまでの登場人物がゾロゾロ出てくる。しかし私は一度読んだ本の詳細は片っ端から忘れていく女なのだ。前々作『業火』でのエピソードを引きずられてもさっぱり分からん。『業火』でケイの恋人が惨殺されたのは憶えてるけど、その時の犯人もさらに前のシリーズ作品から登場している人物だったのだ。今回のお話はそれ位前から複雑に絡まった人間関係を総括したようなお話。と言ってもどことなく“後づけ”っぽい感じもしないではないが。
 今回のヤマは、ケイに殺人容疑がかかって検屍局長を辞任する、という事態に陥るあたり。何故彼女に殺人容疑が?前作の犯人「狼男」の正体は?という謎に加えて、前作で彼女と一夜を共にした美男子もどことなく怪しいムードを漂わせながら登場する。前作の本当のラストが明かされる、という設定の物語。さらに彼女の恋人ベントンが殺害された理由も明らかになる。親友マリーノの息子、友人アナの辛い過去、ケイ本人のプライバシーがバリバリ語られている本作は、これまでのシリーズ総まとめって感じ。シリーズの中で長いこと不倫関係にあったベントンとケイが晴れて公認の仲になってからの二人の関係についても、リアルに描写されている。
 ケイは検屍局長を辞めてしまったし、ルーシーもATFをクビになってNYで新しい生活を始める事になった。全ての出来事に終止符が打たれて、シリーズも一段落って感じか?しかし本作は日米英同時発売だったらしい。そりゃ翻訳者は大変だっただろうなぁ、米英は翻訳が上がるのを待っててくれたのかしら。とは言っても新たな出逢いもあり、舞台はNYへ移る予感。新たな敵も現れたようだし、このシリーズとのつき合いもまだまだ続きそうである。

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